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第5話 お願い精霊さん


「まいったなぁ・・・・・」と頭に手をやったまま続きの言葉が出ないシアン。


畑は見るも無残な姿になっていた・・・・。


勢いよく蔓を伸ばしていたキュウリは葉が千切れ飛び、蔓も折れてしまっている。収穫を待っていたキュウリもいくつかは無事だが、ほとんどが水に浸かってしまっている。

 トマトも茎が折れ、赤く熟れていた実は泥水に沈んでいる。あんなに艶々だったナスも傷だらけで転がっている。


「ひどい・・・・・。お父さんがあんなに一生懸命育ててたのに・・・・」と目に涙を浮かべるクルア。


「しかたがない。こればっかりは()()に(・)は(・)どうしようもないからな・・・・。また育てるさ」と力なく言うシアン。


父の言葉を聞きながら何か引っかかったクルア。

・・・・・『人間には』・・・・・・。


(そうだ!)


家に戻り、秘密の箱に入れて大事にしていたクレヨンを取り出す。おばあちゃんがクレヨンと一緒にくれた石板も出す。


息が上がるほど急いで畑に戻り、

(お願い精霊さん。お父さんの野菜たちを元気にして)と願いながら必死で絵を描いていく。


勢いよく空に向かって伸びていく蔓にぶら下がるたくさんのキュウリ。

ぷっくり丸い赤や黄色のトマト。

艶々で紫が濃いナス。


思いを込めて描いていく。一生懸命書いているクルアは気づいていないが、荒れ果てた姿の畑にぼんやりと光る靄が広がり始めた。


何とかならないかと畑で悪戦苦闘してたシアンは自分を包み込む靄に戸惑い辺りを見る。


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