第4話 嵐
「クレヨン・・・・?」
「そうだよ。森の精霊の力が宿った特別なクレヨンさ。それに導かれた者の願いをかなえてくれる。もっとも、悪しき心を持つ者には使うことさえできんがね。そうか、お前が選ばれたんだねぇ・・・・・・。」としみじみと言うおばあちゃん。
「もらっていいの?」と恐る恐る聞くと、
「箱にはクルア名が刻まれている。もう他の誰も使うことはできん。クルアが心から何かを願うときに使ってごらん」と優しく頭に手を置く。
「・・・・うん。ありがとう、おばあちゃん。大事にするね」と答え手の中の箱を愛おしそうに見つめる。
おばあちゃんのケーキとお茶をゆっくり味わい「またくるね」とあいさつをして家を出る。
精霊のクレヨンをもらったものの、何だか使うのをためらい数週間が経った。
父親の畑はすくすくと野菜が育ち、収穫の時期を迎えていた。
赤や黄色のトマト、瑞々しいキュウリ。艶々としたナス。一度に実りを迎え収穫は家族総出で頑張っていた。
そんな中・・・・・・・。
「お父さん。野菜大丈夫かなぁ・・・・」
窓の外では季節外れの嵐が猛威を振るっていた。風はゴウゴウとうなり、横殴りの雨がバラバラと家に打ち付けてくる。時折り『ギシリ』と唸る家に思わず体がビクッとする。
そんな私を側に寄せて「大丈夫さ。心配するな」と優しく頭を撫でてくれた。
本当はシアンも畑を心配していたが、不安な顔を見せず母親のリーナと目を合わせては頷き合う。
不安な夜を家族みんな体を寄せ合って過ごし、静かになった翌朝、シアンと一緒に畑を見に行く。




