私が泣いた日だけ、少し残してこっちを見る。
いじめられてた。
親には恥ずかしくて言えなくて、
空き地にいる野良猫に愚痴を言って
餌をあげるのだけが楽しみだった。
何匹かいたんだけど、1匹だけ警戒しながら近づいて
餌を1つ食べたらさっと逃げる、
また近づく、逃げるみたいな猫がいた。
なんか自分と重なって、その猫だけ気になるようになった。
何度も通ううちに慣れてくれたんだけど、不思議だったのは、
私が泣いた日だけ食べ始めても途中でやめて、少し残してこっちを見る。
最初は偶然だと思った。
でも毎回だった。
泣いて座ってると、少しだけ残す。
「お前も食え、元気出るぞ」
って言われてる気がして、笑えた。
卒業までいじめは続いたけど、あの子がいたから耐えられた。
中学に入ると、いじめは自然となくなった。
でも変わらず餌をあげに通ったし、
落ち込んだ日は、変わらず少し分けてくれた。
ある日、その子が来なくなった。
いつも餌を置いていた場所に、カリカリが1つだけ落ちてた。
死んだのか、どこかへ行ったのか分からない。
ただ、もう会えない気がした。
予感は当たって二度とその猫に会うことはなかった。
あの日が最後だと分かってたら、
もっと豪華なご飯を持って行ったのになあ。
もう伝えられないけど、ありがとう。
君が分けてくれた優しさのおかげで、私は今もちゃんと生きてる。




