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あの日、言えなかったありがとう  作者: 二晴


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9/12

私が泣いた日だけ、少し残してこっちを見る。

いじめられてた。


親には恥ずかしくて言えなくて、

空き地にいる野良猫に愚痴を言って

餌をあげるのだけが楽しみだった。


何匹かいたんだけど、1匹だけ警戒しながら近づいて

餌を1つ食べたらさっと逃げる、

また近づく、逃げるみたいな猫がいた。


なんか自分と重なって、その猫だけ気になるようになった。


何度も通ううちに慣れてくれたんだけど、不思議だったのは、

私が泣いた日だけ食べ始めても途中でやめて、少し残してこっちを見る。


最初は偶然だと思った。

でも毎回だった。


泣いて座ってると、少しだけ残す。


「お前も食え、元気出るぞ」


って言われてる気がして、笑えた。


卒業までいじめは続いたけど、あの子がいたから耐えられた。


中学に入ると、いじめは自然となくなった。


でも変わらず餌をあげに通ったし、

落ち込んだ日は、変わらず少し分けてくれた。


ある日、その子が来なくなった。


いつも餌を置いていた場所に、カリカリが1つだけ落ちてた。


死んだのか、どこかへ行ったのか分からない。


ただ、もう会えない気がした。



予感は当たって二度とその猫に会うことはなかった。


あの日が最後だと分かってたら、

もっと豪華なご飯を持って行ったのになあ。


もう伝えられないけど、ありがとう。


君が分けてくれた優しさのおかげで、私は今もちゃんと生きてる。


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