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あの日、言えなかったありがとう  作者: 二晴


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10/13

このために字を書けるようになりたかったんだ…

旦那が事故で亡くなった。


4歳になる娘は最初こそ


「パパいつ帰ってくる?」


と聞いてきたけど、

娘なりに帰ってこないことを理解したのか、

もうパパのことは忘れたのか、

そのうち何も言わなくなった。


ある日、娘から字を教えて欲しいと言われた。


じっと座ってることが苦手な娘が珍しい!

こうやって大人になっていくのかとしみじみ思いつつ教えた。


どうせすぐに飽きて別の事教えてって言い出すんだろうと思ってたけど

いつの間にか毎晩教えてた。


いつものように幼稚園に迎えに行くと先生に呼び止められた。

七夕が近くみんなで願い事を書いて飾っていたようで、見て欲しいと言われた。


まだ字を書けなくて絵を描いている子も多い中

娘は自分の字で書いてた


「いいこにしてるので、ぱぱをかえしてください。おねがいします。」



あー…このために字を書けるようになりたかったんだ…



娘が近づいてきて笑顔で言った。


「お星さまに願い事したら叶うんだよ!

パパもうすぐ帰ってくるねー」


気づいたら泣きながら娘を抱きしめてた。


「ごめんね。パパはもう帰ってこないんだよ…」

「いいこにしてても?」

「うん…ごめんね…」


娘は少し黙って、


「……そっか」


とまた短冊を書き出した。


「ぱぱがひとりでもさみしくないようにしてください」


娘なりにずっと旦那のことを想ってくれてるんだと思ったら

涙が止まらなかった。

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