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あの日、言えなかったありがとう  作者: 二晴


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5/11

私に傘を届けに来る途中で、父が亡くなった

中学生の時、私に傘を届けに来る途中で、父が亡くなった。


6月の放課後、急に雨が降って帰れなくなり

たまたま休みで家にいた父が、私に傘を届けてくれることになった。


その向かっている途中、雨でスリップした車に巻き込まれて亡くなった。


それから私は、どれだけ晴天の日でも降水確率0%でも

折りたたみ傘を持ち歩くようになった。


これは就職してからも続いていた。


でもある日、乾かしていた傘をしまい忘れて出勤してしまった。


そういう時に限って急に雨が降る。


当時付き合っていた彼氏からLINEで


『傘あるの?』


と聞かれ、彼には父の亡くなった原因の話をしていたから


『買うから大丈夫』


とだけ伝えておいた。


仕事が終わって帰ろうとしたら

会社の前に彼が傘を持って立ってた。


その瞬間、父の事故がフラッシュバックして


「買うから大丈夫って言ったじゃん!!」


と周りの人が全員振り向くような大声で怒鳴ってしまった。


彼は、驚いた顔をした後、困ったように笑った。


「傘を届けに来たんじゃなくて、

一緒に帰りたくて来たんだよ。」


その彼が今の旦那。

旦那は、今でも雨の日ばっかり私と一緒に帰りたくなるらしい。


ありがとう。

あなたのおかげで少しだけ雨の日が楽しくなったよ。


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