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リングドッグが向かった先は、父の写真の前
リングドッグのモカが向かった先は、亡き父の写真だった。
念願のジューンブライドが叶って、幸せいっぱいだった。
だけど、一つ叶わなかったのは
父が結婚式を待たずに病気で亡くなったこと。
「俺が死んだら若い時の一番かっこいい写真を飾ってくれよ!」
なんて冗談言って笑ってたのが本当になっちゃったね。
結婚式当日、指輪を運ぶ役は、父も溺愛していた犬のモカ。
父が生前、保護犬だったあの子を連れて帰ってきて、
「この子は家族を見つけるのが上手い」
と笑っていたなあ。
本番、モカは私たちの方へまっすぐ来るはずだったのに、
途中で向きを変えて、父の写真の前で座り込んだ。
会場が少しざわついた。
私も焦ったけど、母だけが泣きながら笑ってた。
あとで知ったんだけど、モカの首輪につけた小さな箱の中には、
指輪のほかに、父が死ぬ前に残した私宛の手紙が入っていた。
多分父は結婚式を見に来てくれてて、
モカは父と一緒に指輪を運んでくれたんだと思ってる。
ちなみに手紙には、
『結婚おめでとう!
俺の娘に生まれてきてくれてありがとう。
いつも前を向いて、幸せになれよ!』
と書いてあった。
お父さん、ありがとう!ゆっくり休んでね!




