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あの日、言えなかったありがとう  作者: 二晴


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4/10

リングドッグが向かった先は、父の写真の前

リングドッグのモカが向かった先は、亡き父の写真だった。


念願のジューンブライドが叶って、幸せいっぱいだった。


だけど、一つ叶わなかったのは

父が結婚式を待たずに病気で亡くなったこと。


「俺が死んだら若い時の一番かっこいい写真を飾ってくれよ!」


なんて冗談言って笑ってたのが本当になっちゃったね。



結婚式当日、指輪を運ぶ役は、父も溺愛していた犬のモカ。

父が生前、保護犬だったあの子を連れて帰ってきて、


「この子は家族を見つけるのが上手い」


と笑っていたなあ。


本番、モカは私たちの方へまっすぐ来るはずだったのに、

途中で向きを変えて、父の写真の前で座り込んだ。


会場が少しざわついた。


私も焦ったけど、母だけが泣きながら笑ってた。


あとで知ったんだけど、モカの首輪につけた小さな箱の中には、

指輪のほかに、父が死ぬ前に残した私宛の手紙が入っていた。


多分父は結婚式を見に来てくれてて、

モカは父と一緒に指輪を運んでくれたんだと思ってる。


ちなみに手紙には、


『結婚おめでとう!

俺の娘に生まれてきてくれてありがとう。

いつも前を向いて、幸せになれよ!』


と書いてあった。

お父さん、ありがとう!ゆっくり休んでね!



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