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20の後の話です
「さて、サブール砂漠のマカについて詳しく話してもらおうか」
セラカーンは目の奥に怒りを宿しながらゲパールとジラフに迫った。
ゲパールはジラフを守るように背後に隠し、セラカーンを睨んだ。
その反抗的な態度にオルカとセターが何か言おうと口を開くが、セラカーンはそれを制する。
「……この国を守るためだ」
ゲパールの背後に隠れていたジラフが小さく声を出す。
ゲパールは驚いたようにジラフを見る。
ジラフの瞳には涙がたまり、握った拳は小さく震えていた。
ジラフ、とゲパールが名を呼ぶとジラフは自分の腕で涙を拭った。
「サブール砂漠のマカが制御できなくなれば、僕の領土では作物が育たなくなる。そしたらこの国の多くの民が飢えに苦しむことになるだろう、だから、」
「その件についてはもう9貴族と私で決定が降りたはずよ」
ジラフの言葉を遮るようにコルネが話し出す。
「陛下はまだ幼い子供よ、もう少し彼女の成長を待って」
「それがもう待てないと、そう何度も訴えただろう!」
今度はコルネの言葉を遮るようにゲパールが叫ぶ。
「何度も、何度も、何度も!」
ゲパールはそう叫ぶと両手で顔を覆った。
後ろからジラフがゲパールを抱きしめる。
「妖精王ジョーヌは気まぐれでいつだって僕たちの味方になってくれるわけじゃない、マカが増大しジラフの土地がやられたら、もうこの国の民はただ死を待つだけだ」
ジラフの声は震えている。
ゲパールとジラフの必死の訴えにコルネは黙るしかなかった。
「エルフとルーブの血を引く君の性分では子供を犠牲にするなんて選べないだろう」
セラカーンがそういうとオルカとセターが続ける。
「コルネ様、貴女が気に負うことはありません」
「私たち9貴族は生まれた時から9貴族として育ちます、ある時神託によって国王になる貴女とは違います」
オルカとセターがコルネの両手を優しく握った。
「なら、多くの民を見捨てろと?」
「多くの民を救うために一人の子供を犠牲にする、罪の重さは同じだと僕は思うがね」
ゲパールがセラカーンを睨み、セラカーンは淡々と言い返す。
「ゲパール!」
会議室の扉が勢いよくあけられ、イブーとルーブ、セルフが駆け込んでくる。
セルフは一匹のヒョウを抱えており、ゲパールはそのヒョウを見るなり血相を変えて、そのヒョウに駆け寄った。
ゲパールがそのヒョウを抱えると、ヒョウはなんとか力を振り絞り小さい声で一鳴きする。
それを聞いたゲパールはその場に崩れ落ちる。
「ゲパールがマカに飲まれた、私の後継がなんとか街への侵入を防いではいるが、あの娘の力ではマカが街を侵食するのも時間の問題だ。今からでは間に合わない……」
それを聞いた全員が言葉を失う。
「あ、あ、ああぁあ……!」
ゲパールの悲痛な声が会議室に響き渡る。
ジラフがゲパールを優しく抱きしめて、他のものたちは悔しさに唇を噛んだ。
「行きましょう、ゲパールへ」
無音の空間を打ち破りコルネがそういうと、ゲパールは涙を流しながらコルネを睨みつけて叫ぶ。
「今から行って間に合うわけないだろう! もうゲパールは終わりだ! もう、」
ゲパールがそこまでいうとコルネはゲパールの胸ぐらを掴み上げた。
ヴォルフが自身の母親を止めに入るも、コルネはその手を緩めることはない。
「まだ己の子供が頑張っているのに、諦める親がありますか!」
コルネの叱咤にゲパールの涙は止まる。
イブーが何かに気づき、窓の外を見つめる。しばらくしてガタガタと窓ガラスが揺れ皆が異変に外をみると、大きなドラゴンが窓の外で翼を羽ばたかせ飛んでいた。
窓の外のドラゴンはゆっくりと地面に降り立ち、会議室の窓から顔が見えるように少し姿勢を屈ませた。
コルネはゲパールから手を離し、窓に駆け寄る。
イブーとルーブ、セルフはそれを見るなり顔色が真っ青になる。
コルネ様、と名を呼びコルネを止めようとするも、コルネは窓を開け勢いよくドラゴンの鼻先に抱きついた。
「フラー、よくきてくれたわね」
『雨で時間を取られた、すぐに来れなくてすまない』
フラーと呼ばれたドラゴンにイブー、ルーブ、セルフの3人は跪いた。
『もう俺は引退した身、そのようにされる存在ではない』
フラーはそう3人に告げると、ゲパールを見て続ける。
『俺の翼に乗れ、さすれば明日の昼過ぎにはゲパールにつけるだろう』
ゲパールはそれを聞き表情を変える。
「フラーの翼があれば絶対に間に合うわ、まだ諦めるには早くてよ」
ゲパールは涙で濡れた顔を腕で拭い、両手で勢いよく自身の頬を叩いた。
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