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 ソラが意識を失って倒れるのをサーティ支える。

 周囲が暗くなり、太陽を厚い雲が覆い隠す。

 

 「陛下に何をした」


 その場で気を失ったソラを見るなり、レイは地を這うような声でサーティを睨みつけた。

 サーティは意識のないソラを抱え上げ、ソラの意識を奪った張本人はレイが弾かれた魔法陣に難なく侵入する。

 

「やれやれ、もっとスマートに行くんじゃなかったのか」

 

 声の主を見るなり、真っ先に声をあげたのはヴォルフだった。


「シャカル、どうして貴方が」


「私を種族名で呼ぶのをやめてくれるかい、もう9貴族の当主じゃない。今この時から私はあんた達の敵なんだからさ」


 そうその女はいい、魔法陣が淡く光出す。


 レイがソラへと手を伸ばすも、魔法陣とレイの手の間に炎が上がり、魔法陣への侵入を拒む。

 しかしレイは気にも止めずそのまま手を魔法陣へ入れ、ソラを掴もうとする。


「ソラ」


 そうレイは呟いてソラを掴もうと腕を伸ばす。

 レイの腕がじわじわと焼け爛れていく。


「早く!」


 焼けていくレイの腕を見たサーティが叫ぶ。


「まだ位置の設定ができてないってのに!」


 女が焦ったようにいうと、次の瞬間サーティ達はレイたちの視界から一瞬にして消えた。

 ポツポツと雨が降りだし、今までソラがいたはずの場所を雨粒が濡らしていく。


「まだ遠くには行っていないはずだ、門を閉めてくまなく探せ!」


 徐々に強くなる雨足の中、ヴォルフは周囲の兵士にそう指示を出す。

 

「この雨の中だが、お前の翼なら陛下をさがせるかもしれない」

「言われなくともすぐにそうするさ、倅にも事情を伝えてくれないか」


 9貴族の一人にそう告げるとイブーの族長は天高く飛び立った。


 周囲がソラの捜索に慌ただしくなる中、レイは焦げた自分の腕を見つめていた。


 様子のおかしいレイに気づいたのか、ライレが近寄って来る。


「シュナーベル閣下、どうなされ」


 ライレは全てを言い切る前に、レイの腕の火傷に気づいた。


「なんてひどいやけど、早く治療しなければ」


 ライレがそういうも、レイはその場から動こうとしない。

 ライレが再度声をかけようとした時、レイその火傷の腕に自分で掴み爪を立てた。


 雨粒が大きくなり、地面に落ちる音も大きくなる。

 レイの叫び声は雨によってかき消された。


 


 ーーーーーーーーー

 雨が際限なく降り続いている。


「ソラ!」


 レイの悲痛な叫び声が雨音によってかき消される。

 あれから数時間、総動員でソラとソラを連れ去ったサーティとシャカル族の族長を探しているが、見つかるどころか目撃情報すらない。


「ソラ!」


 レイの髪から雨が滴り落ちる。

 そんなことを気にも留めずレイは馬を走らせソラを探していた。


(あのサイズの魔法石では王都を出ることはできないはずだ、逃走手段を準備していたとしても、まだ王都の周辺にいるはず)


 しかしレイの予想に反して王都の外、リュナの街までの道中にソラたちの目撃情報すらない。


「レイ、いったん城に戻ろう、お前の腕も手当しないと」


 ロザがそうレイに進言するが、レイは馬を止めることはしない。

 ロザが舌打ちをしてレイに立ち塞がるようにして馬を止めた。


「今ここで焦っても陛下は見つからない。一度城に戻って体制を整えよう、陛下ならきっと大丈夫だ」


 レイは納得していないようだったが、渋々馬を城に向けた。

 ロザが上を見上げると、雨の中大きな翼が2つ空の中を羽ばたいていた。




 ーーーーーーーーー

 雨が強く視界が悪い。

 翼は水分を含み重たくなっていて、雨が体温を奪う。


「倅! 一度城に戻るぞ」


 族長が雨にかき消されないよう大きな声で叫ぶも、次期当主と言われるイブロは翼を休めることはない。


「落ち着け! この雨では体力を奪われるだけだ」


 降り続ける雨の勢いは強く、イブロの翼を濡らし、イブー族自慢の眼も雨でうまく機能しない。


(雨さえなければ、一日中だって探し続けるのに)


 イブロの思いとは逆に雨足が弱まることはない。

 ふと下を見ると、ロザとレイが城に向かって走り出した。

 あの二人も捜索を諦めたのだろう、余計に自分だけはとイブロの気持ちだけが焦る。


「倅!」


 もう一度族長が大声でイブロを呼ぶ。

 諦めたくない気持ちがイブロの心を占めていたが、族長である父親の言葉には逆らえず、イブロは自らの唇を強く噛んだ。

 イブロが城に向けて大きく羽ばたくと、族長はイブロの隣を並走して飛ぶ。


「雨足が弱まったらすぐにでも捜索を再開しよう。この雨だ、サーティたちもそう遠くへは行けまい」


 息子の気持ちを理解して、族長は優しく伝える。

 その顔は立派な父親の顔であり、イブロはその表情を見て自らの幼稚さに気づき何も言えなくなってしまった。

 

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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