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第13話『急襲』⑤

「やったな」


 カイゼルから手を出し、ハイタッチをかわす。すぐさま優は用心の為、周囲を見渡すが、一掃出来たのか、それとも逃げたのか、他の敵の姿もなくなっていた。


「さすがですね。今のオオカミもあのゴリラ並みの強さだっただろうに、こんなにあっさり倒せるなんて」

「こっちを舐めてかかってきていたからな。実力を発揮する前に倒してしまおうと思った訳さ。これで、力も温存できただろ」

「ええ、お陰様でさしたるダメージも疲労もないですしね」


 優は切り裂かれた部分を確認したが、この後の戦いに影響する程のものとは思えなかった。念の為、咲に通信し、

「特に損傷ないよな?」

「ええ、想定内です。でも、気を付けて下さいよ。これからウォーグと戦うんですよね」

「ああ。決戦だ。帰るのを待っててくれ」

「そんな気楽な気分で待てませんよ」


 咲の声は不安で一杯の様子だった。


「そうだよな……。なら、一緒に戦ってくれ! それが俺の力になるから。それに、咲が待っているって思えば、絶対に生きて帰るって気持ちになるから」

「先輩……」


「オホン……」

 カイゼルが咳払いして、優を見る。


「あ、すみません」

「愛する者に誓いを述べるのは結構だし、それが実力以上の力を引き出す事もあるから否定はせん。だがな、悠長な事も言ってられないようだぜ……」


 カイゼルが黒い怪物共が湧いてきた辺りを指差す。優のマスクも怪しいエネルギーの塊を捉えた。現れたのは、元凶ウォーグと父マインズだ。


「咲、待ってろ。必ず勝って帰る」

「先輩っ……」


 優は通信を切った。そして、カイゼルと共に前方に出現した敵に対して身構える。


「こんな所まで追って来るとは、相当な執念だな、カイゼル」

 ウォーグがゆっくり歩を進めながら口を開く。

「お前だけは、今、倒さねばならない。宇宙の平穏の為にもな」

「宇宙の平穏……か。キサマにそれを言う資格があるのか?」

「どういう意味だ」

「わからずば死んであの世で学ぶがいい!」


 叫ぶと共にウォーグが突進してくる。前に出てそれを受け止めるカイゼル。脇にいるだけでも凄まじい両者の迫力と圧力が感じられる。


「ウォーグ様の邪魔は出来ん。離れて親子喧嘩といこうか、優」

 マインズが優に相対する。意図的にウォーグから距離を取ろうという意志が感じられる。しかし、隙はなく、優は誘導されるままに、ウォーグとカイゼルから離れさせられた。


「優、よくもまあこんな所までやって来たな」

「父さんにカイゼルさんが発信機を付けていたのさ。気付かなかったのかい」

「そういう事か……迂闊だったわ」


 呟きながらマインズは構える。横目で見ると、既にカイゼルとウォーグの小競り合いは始まっている。父が隙を見せる筈はないし、とても横から手を出せそうにはない。


「どうしたって父さんとは戦うしかないようだね」

「そのようだな……」

「俺も今日、あの人と共にウォーグとの因縁に決着を付ける! 父さんを倒してでも」

「いい覚悟だ。来いっ、優!」


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