ep.5 紅き救済
朔夜の前に突然現れた異常個体のコープス。朔夜は勝負を決めるために生能を使う。
朔夜「天罰!!」
轟音とともに雷が刺殺のコープスへと落ちる。土埃が舞い、地面に大きな穴を開けるほどの特大威力の攻撃だった。これで決める、そう決めた一撃だった。
朔夜「まじかよ…まだ生きてんのか…!?」
傷こそ負わせたもののまだ刺殺のコープスはその場に立っていた。
朔夜は不意を突かれて胴体を刺される。
朔夜「がはっ…!!」
咄嗟に腹を押さえるが出血が止まらない。
朔夜(くっそ…こんなとこで…死ぬわけには…)
すると突然、さっきまで全く止まらなかった出血が止まる。まるで操られているかのように。
澪「無茶はダメですよ。朔夜さん。」
朔夜「澪!?サポートのお前がなんでここに!?」
澪「灰崎さんから聞きました。異常個体のコープスがいるみたいですね。」
―――回想―――
冷たい。
頬に触れる風が痛い。
澪はゆっくりと目を開いた。見上げた空はどこまでも白い。
「……っ」
足に走る激痛。どうやら斜面で足を滑らせたらしい。立ち上がろうとして初めて気づく。右脚が深く裂けていた。赤い血が雪の上へ落ちる。
ぽたり
ぽたりと
規則正しく
「……まずい、かな」
苦笑する。最初は帰れると思っていた。少し休めば歩けると思っていた。けれど時間が経つほど身体は重くなり、指先から感覚が消えていく。
寒い
とにかく寒かった。震える手で携帯を取り出す。
圏外
表示された二文字がやけに残酷だった。
「はは……」
乾いた笑いが漏れる。誰もいない。風の音だけが聞こえる。助けを呼んでも返事はない。それでも何度も立ち上がろうとした。
帰りたかったから
まだやりたいことがあったから
明日も来ると思っていたから
だが、足に力は入らない。視界がぼやける。雪の上に広がる血だけが妙にはっきり見えた。
赤い
綺麗なくらいに
まるで花が咲いているみたいだった
眠い。少しだけ。少しだけ目を閉じたい。そう思った瞬間、本能が叫ぶ。
眠るな
眠ったら終わる
澪は唇を噛んだ。痛みで意識を繋ぎ止める。
「誰か……」
声は風に消えた。
助けて
その一言が言えなかった。誰かに迷惑をかける気がして。そんなことを考えている余裕なんて、本当はなかったのに。
視界が暗くなっていく。身体から熱が抜けていく。最後に見えたのは、白い雪原に広がる、自分の血の色だった。
――――――
澪「私は助からなかった。ゆっくりと絶望するしかなかった。もう、そんな思いはさせたくない。私は、手を差し伸べたい。」
澪の生能『紅き潮汐』
澪「誰も死なせない。私が絶対助ける!!」
仲間が助けにくるってかっこいいよね。なんか自分も書きながら読者気分です。死因が能力になるというテーマなので死に方というか回想シーンをしっかり書きたいと思ってます。その方が話に重みが出るかな?みたいな。語彙力不足で稚拙な回想ですが楽しんで呼んでくれると幸いです。




