意固地の果て
「非常用散水ホース……!ちくしょう……!ちくしょう……!」
悪魔は叫び声をあげる。
その声は、明の胸の奥に響くように、鋭く、震えていた。
「はいはい。もうこれで終わりにしましょう。消化器の粉とか噴射したら、後で掃除とかも大変でしょ?そういう所も気遣ってあげようよ」
神様は呆れた声で呟く。
言葉の端に、どこか疲れたような優しさが滲む。
「うるせぇ!勝ち誇ってんじゃねぇよ!」
悪魔は振り返り、神様を怒鳴りつける。
その瞳に、苛立ちと、屈辱が渦巻いている。
「別に僕は勝ち誇ってなんかないよ……そもそも、こんな事に勝ち負けなんてないでしょ?なぁ〜んか、意固地になっちゃってない……?」
神様は困った顔を浮かべ、悪魔に問いかける。
声は穏やかだが、言葉は静かに核心を突く。
「……い、意固地になんてなってないですぅ〜」
悪魔の目が泳ぐ。唇の先は尖っている。
その仕草は、まるで追い詰められた子供のように、どこか幼く、脆い。
「じゃあ、もう終わりにしようよ。意固地になってないなら、これで終わりでいいでしょ?」
神様は悪魔に穏やかに促す。
声に、諦めと、しかし優しい押しが混じる。
「い、いやっ……!このままでは悪魔の俺のプライドが許さねぇっ……!こうなったら、究極奥義だ……!」
悪魔は再び力を使い始める。
その背中は、震えながらも、決意のように固く張りつめていた。
「プライドが許さないってのは、僕には意固地になってるように見えるんだけどなぁ……?」
神様は静かに続ける。
言葉は穏やかで、しかし容赦なく、悪魔の影に落ちる。
「幸い、アイツらがいる踊り場は一階……!この究極奥義で、纏めてぶっ殺せるはずだ……!悪魔の究極奥義……!お前も目に焼き付けろ……!」
そして悪魔の力が放たれた。




