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AGAIN and AGAIN

 神の代行者、正義の使徒であるミネルヴァ国軍により、神々の敵、災いの元凶リリスは処刑された。

 リリスは斬首された後、骨が灰になるまで焼き尽くされた。

 そして、リリス処刑の地である大都市アトラスの、多くの民の憩いの場である中央広場では、リリスを庇護し、その手先として人類に謀反を起した反逆者レディン・クレイオの遺体が晒されていた。

 四つの丸太が等間隔に並べて立てられてあり、その一本一本には、レディンであった肉体部を貼り付けられていた。

 処刑時に切り落とされた部位を左端から左腕と左足、胴体部、頭部、右腕と右足の順番でそれぞれ丸太に括り付けられている。

 その周りには屈強な柵が設けられ、誰にも手が触れられる様な事が無いように配慮されている。

 アトラスを訪れた者は誰一人の例外も無く中央広場を訪れ、見物していくという。

 それは風化して肉が朽ち骨になろうともその場から撤去される事はなかった。

 人々の関心が完全に薄れきった頃、レディンの遺体は何者かに持ち去られてしまった。

 当初はリリスの呪い、レディンを信望していた反逆者に荷担する何者かの仕業ではないかと噂が広まったが、設置当初強固だった柵も所々脆くなっていた為に動物の仕業である、といつしか纏まり、ミネルヴァも特に犯人探しを行う事無く、丸太なども撤去され、中央広場は久々に民の憩いの場に戻る事が出来た。


 そしてレディン・クレイオ処刑より、およそ20年の後。

 ミネルヴァ国は、開戦のわずか数年前に傭兵団から立国した傭兵国家パンドラと、5年に渡る長き交戦の末、敗北した。

 国王であるユピテルが討ち死にしたことで、栄華を極めた大国ミネルヴァは崩壊した。

 人々はミネルヴァを打ち破ったパンドラを畏怖し、称え、この世界で大きな発言力を持つ国へと育て上げていった。

 その傭兵国家パンドラを率いた偉大なる王の名はクロノス。

 そして王の傍には常に寄り添う二人の人物、隻眼の女性将軍と、精霊使いの男が居たと云われた。


 世界情勢が刻一刻と変化していく中で、リリスを取り巻く状況も著しく変化を生んでいた。 

 今までの歴史の上では長くても数年経てば、この世界のどこかでリリスは目撃されていた。

 しかしリリスは処刑後、約50年の間目撃される事は無かった。

 人々がリリスの伝説だけを記憶し、その存在を忘れかけた頃、再び人々の前にその姿を現した。

 そして歴史は繰り返され始めた。小さな綻びを内に秘めつつ。

 人々はリリスを求め、リリスを欲し、リリスを亡き者にする。

 人の歴史は流れるにつれ信仰心も薄れていく。

 信仰心は無くとも風習、習慣としてリリスは今も狩り続けられる。

 光の神から『この世の全ての災いの元凶』だと告げられた年端も行かぬ少女。

 リムと言う名前の心優しき少女を護るような人間は、レディン以外現れることは無かった。

 だからリリスと呼ばれる少女の本当の名は、もう誰も知らない、知られる必要も無い。

 見つけ次第捕らえられ、リリスとして処刑されるのだから。

■お疲れ様でした。これにてリリス戒は終了となります。最初に発表してからもう10年近くは経っておりますため、今となっては反逆ものは珍しいものではありませんね。

■蛇足になりますがオマケとして年表のようなものを載せておきます。

(今現在での設定で将来外伝など書くとき変更となるかもしれません)


??????????年:

光の神ミロン降臨。リリスなる存在が世に登場する。

神現期001年:

信仰大国ミネルヴァ建国。光の神ミロン降臨後、信仰心の厚い有力者が世界中から集まり、百余年かけて建国。その時、世界基準の年号は神現期とされる。年を重ねるごとに世界中へと支配を広める。

神現期00?年:

処刑人ドハッガーによりリリス判別。人相書が世界中に配布される。

神現期05?年:

魔族に強力な指導者が現れ、人類から魔王と呼ばれる。魔族との力関係が一時的に崩れ、世界中で魔族による被害が増大する。魔王討伐の為にミネルヴァが中心となり世界中の強豪を募り人類連合を結成。

神現期10?年:

およそ50年にわたる長き闘いにより魔王撃退。魔王は西方大陸端へ逃亡。全滅させるまで至らなかったが、各地で魔族は身形を潜めた為、被害が激減する。人類連合解散。以後各国独自で対魔族軍による鎮圧が続いてゆく。

神現期20?年:

魔王逃亡からおよそ100年が過ぎた頃、魔王に次ぐ実力者が現れ各地で暴れ始める。この頃から魔族の危険度に貴族階級を用いた呼称を用いる。

神現期265年:

レディン・クレイオがギルドへ傭兵登録を行う。同時期にクロノス、アプリコットと知り合う。

神現期268年:

この頃よりレディンの能力と低報酬による任務遂行が注目され始める。同時期ゼス、ハウゼスと知り合う。

神現期270年:

ギルドより西方大陸での魔族討伐任務にレディンが推薦される。レディンは侯爵級の魔族を打ち取った事で、勇者の称号を得る。

神現期272年:

レディン西方大陸での魔族討伐任務から帰還。

神現期273年:

クロノスと再会。ドラゴン退治でジーグ村へ。

       「リリス戒」へ続く

神現期275年:

レディン/リム両名ミネルヴァに捕縛後処刑される。半年後クロノス、レディンの亡骸を奪取。

神現期276年:

ティシフォネとゼス・ハウゼスがクロノス達と再会。

神現期278年:

クロノスを団長とする傭兵団パンドラ設立。

神現期280年:

傭兵団パンドラの総人数が約100名となる。

神現期285年:

クロノスがギルドの幹部連中を買収&暗殺。実権をほぼ手中に収める。

神現期286年:

ギルドの後押しを受け、パンドラが傭兵団から傭兵国家へ立国。

神現期290年:

傭兵国家パンドラが大国ミネルヴァへ宣戦布告。

神現期291年:

パンドラ国ティシフォネ隊がミネルヴァ第二師団を壊滅する。

神現期293年:

ミネルヴァ第三から第五師団まで壊滅。空挺船団が本国より離反、パンドラへ投降。

神現期295年:

ミネルヴァ国ユピテル王の討ち死にを機に降伏。ミネルヴァ崩壊。ミネルヴァ属国がパンドラへ次々に降伏。しかし幾つかの属国と小競り合いが続く。

神現期300年:

ミネルヴァ協力国全てがパンドラと和睦。世界で最大の発言力を持つ。

神現期302年:

パンドラの呼びかけにより全国各地で一斉に魔族狩りが開始される。

神現期308年:

ほぼ全ての魔族を西方大陸へ追い込むことに成功する。世は束の間の平和を得る。

神現期31?年:

一部魔族とパンドラと協定が結ばれ、使い魔システムが構築され始める。アプリコットの魔術研究によりクロノスと一部の関係者の延命魔術が使用される。

神現期325年:

リリスの目撃報告が平民の間に流れ始める。

神現期326年:

辺境の村でリリスと判断された少女が処刑される事件が発生する。この事件をきっかけに各地で誤認による悲劇が多発してゆく。

神現期331年:

傭兵国家パンドラの勅命により、以後パンドラ監視の下、基本的に個々でリリスを捕縛する事が禁止される。数年毎に志願者を集い”リリスハンティング”がパンドラ主導で開催される。

神現期411年:

5歳のミルト・レディンストークがリリスの惨劇を目撃。

神現期424年:

ミルト17歳の誕生日にパンドラ軍ポーンマスターの称号授与。

神現期425年:

この年開催のリリスハンティングにミルト参加。

       「リリス」へ続く

神現期425年:

リリスであったリムは、慈愛の神へ昇華する。

神現期430年:

ミルトとレルナが結婚。生まれた子供にリムと名づける。

神現期453年:

ミルト、西方大陸での魔族討伐中に戦死。享年47。

神現期5??年:

傭兵国家パンドラは西方大陸の端地へ全ての魔族を超巨大封術により封印。これにより世界から魔族の姿が見られなくなる。また、封印後傭兵国家パンドラの人々は全て消息不明となる。

数百年経過 :

魔族、リリスの記憶が皆無となり、大小さまざまな国が覇権を求めて戦争を始める。群雄割拠の戦国時代も小さな弱国が淘汰された事により、大国による領地の均衡が保たれ始め一時の平和が訪れるようになった。

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