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世界の終演を君に。  作者: 遠藤
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8/15

7

__芽依side


タワーへ真先に走り出した斗羽君に背を向け、タワーの東側へ回り込む。


「……やっぱりね」


そこには思った通り、共犯者らしい人の姿。おそらく私がタワーに侵入するのを防ぐためだったんだろうけれど。


もう既に、地に伏していた。


「ごめんね……結構いいとこに蹴り入っちゃったから、しばらく起きれないかも……」


もう1度ごめんね、と呟いて、北側へ向かう。


「……あと、6人」


 


__斗羽side


「っ……」


肺が痛い。1月の冷気は、こんなに殺意を持ったものだっただろうか。


「あと、4階登って……外に出れば……」


息も絶え絶えにPCを見る。本当は今すぐタワーの電源を落としてしまいたいけれど、そうすると非常階段の扉が動かなくなるから出来ない。


「急ぐしかない……か」


芽依がこのタワーに来る前に、早く電源を落とさなくては。


冷え切った階段の手すりを握った。


 


__??side


「おはよう、今日はどう?」


つぶらな瞳で、きゅ、と覗き込まれる。


「今日もげんき!もう学校でしょ?」


「うん……でも今日は休む」


「も〜、昨日もそう言ってた!俺は平気だからさ、いって来なって」


このやりとりも、何回目……いや、何年目だろうか。


「ほら、遅刻しちゃうから!」


「う〜……わかったよ……」


寂しげにトボトボ歩く背中を押し、半ば強引に「いってらっしゃい!」と見送る。


 


……これも、あと何日続けられることなのか。


 


何も知らされていない俺は、ずっとその怖さと戦っている。


今日「いってらっしゃい」って言ったら、もう会えないかもしれない。


明日「おはよう」って言ってもらえないかもしれない。


昨日の「またね」が最後かもしれない。


 


「っう、……」


不意にヒュ、と喉が鳴って、目の前が見えなくなる感覚。息が出来なくて、音も聞こえなくて。最初は怖かったけれど、結局はこれにも慣れてしまった。


「最近増えたなぁ……」


どこか他人事のように呟いてみる。他人の事だと思っていれば、遠ざけておけば、まだ先延ばしに出来る気がするから。


「だからっ……泣いちゃダメ、だろっ、俺……!」


まだ泣く時じゃない。まだ死ぬ時じゃない。


「あいつ、まだ俺がいないと全然ダメだし」


あの屈託のない笑顔を、声を、「凪斗!」って呼んでくれる日々を失うわけにはいかない。


 


俺と斗羽は、絶対引き剥がされてなんてやるもんか。


どうせ死ぬのなら、精々足掻いてから死んでやる。


「俺と斗羽、舐めんなよ。カミサマ」

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