↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の終演を君に。  作者: 遠藤
PR
11/15

10

懐かしい、とても懐かしい夢を見ていた。


「……きて、起きて」


「っ……」


呼ばれて目を開けば、目の前には芽依の姿。思わずタワーの上であることも忘れて飛びのこうとする……が、もちろんそれは「落下」を意味するわけで。


「危ないっ……」


間一髪、芽依が僕の腕を掴んだ。寝ぼけていたとはいえ、大失態。そもそも、目の前に敵がいるのに気付かなかった時点で生きていることが不思議なくらいだ。


……目の前に、敵?


「なっ……なんで芽依がここに……!?」


ありえない、そんなことはあり得るはずがなかった。


だって僕は、もう電源も落としたし、報告さえ集まれば起爆して終わりだと、彼女がここへ来るはずがないと眠ったはずなのに。


「なんでって……君を殺しに来たんだよ」


台詞にそぐわぬ朗らかな笑顔で芽依がそう言った。


「そうじゃない、僕は全部電源も落として、ここには上がれなくしたはず……」


外には見張りが、と言いかけ、


(1人で、全員倒した……のか?)


恐ろしい可能性を知ってしまう。


「ここはセオリー通りに、外の見張りさん達には眠ってもらったよ、とか言うべきかな?」


実際のところ、眠らせちゃったんだけど、と笑って見せる彼女に、不意にあの違和感が蘇る。


小さな違和感は、ひっそりと忍び寄り、形を変え姿を大きくして……何かに変わる。今、それがわかった。


……恐怖だ。


(なぜ、タワーに入った時、すぐ追ってこなかった?なぜ、見張りを倒せた?なぜ、あがってこれた?…………なぜ、目の前で眠りこける敵を殺さなかったんだ?)


考えれば考えるほど、なぜ、なぜ、と不思議なことは湧いて出てくる。それと同時に、自分の中で何かが鎌首をもたげるのがわかった。


 


それは恐怖。


それは不安。


それは不快。


それは憔悴。


それは諦観。


それは抵抗。


それは絶望。


 


目の前の少女1人。


たった1人されど1人とはよく言ったもので、未知数の彼女の力が、今はただ恐ろしくてならなかった。


それに。


 


(余裕で笑っているってことは、切り札があるってこと)


 


彼女の手中の切り札は、どんなにか鮮やかなものなのだろう。


きっとそれが切られれば、僕は死ぬ。


 


死ぬのは怖くない。死んだら凪斗に会えるのだから、死は僕にとって救いの言葉ですらあった。


でも。


(世界を道連れにしてやるって、決めたんだ)


僕から凪斗を奪うような世界なんて、滅んでしまえと。


無意識にノートPCを抱き締める。


 


不意に、目覚める直前の凪斗の笑顔を思い出した。


彼はなんて言っていたのだったっけ……。


まあそんなことはどうでもいい。


(どうせあと1時間もせずに、夜は明ける)


思っていたよりも眠り込んでいたようで、あと数時間もすれば、太陽が完全に上がりきる筈だ。


目の前に佇む芽依をしかと見据える。


「チェックメイトと行こうか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。