ピンチな時に助ける事が出来るのがヒーローのお約束
「クソ・・・・・・!全員校舎に入れ!!」
「こんな事ならあのバカの説教を校長と主任だけにすればよかった!」
後悔後にたたずとはこの事だろう。ミリアは思わず舌打ちをしたくなったが、今は我慢した。
この場はまだ魔術の魔も知らない生徒達しかいない。使い魔だって似たり寄ったりだ。
「ともかく、接近はするな!あの鎌にかすったら死ぬぞ!!他の先生が来るまでこの銃で攻撃しろ!」
「「「はい!!!!」」」
援護として推薦組であるクスノキ姉妹とファザード、名前を知らないが白髪眼鏡の少年だけでだった。
『アンソニーとヤノハラは・・・・・・いや、いない方が良いだろう』
推薦組とはいえ仮にも彼らは生徒。何かあってはいけない。レイピアが使えないのは辛い。せめて生徒が逃げ切れれば・・・・・・
「っ!ソコ速く逃げろ!!」
ハンデッドの視線の先を見ると女子生徒が腰を抜かしているのか座り込んでいた。
しかも最悪な事に死神が女子生徒に気づいた。そして無情にも女子生徒に向かって鎌を振り上げたのだ。
「あ、あ・・・・・・ああ」
生徒は絶望の表情で身体を振るわしていた。
「やめろォォォォオ!!」
ミリアは急いで女子生徒の方へ走った。
ミリアやハンデッド達が女子生徒から注意を惹こうと弾を撃ち続けたが、そんなミリア達の必死の攻撃は蚊に刺さる程度と言わんばかりに死神は無視をした。
そして、死神の鎌は少女に向かって降り注いだ。
誰もが最悪の結末を予想し、皆目を瞑っていた。
カキイィィィィィン!!!!
金属がぶつかり合う音がした。
急いで音がした方を見ると。
「その子は!?」
「大丈夫。気絶しただけ」
カイリ・ヤノハラが身丈以上の大剣で死神の鎌を受け止めている。
そしてカラン・アンソニーは女子生徒を抱き抱えてカイリ・ヤノハラから数歩離れていた。
恐らくカイリが鎌を受け止める前に女子生徒をコンマ数秒の早さで助け出しただろう。
「ああ、ちょうど良かった。そこのキミ、ちょっとこの子を抱えて逃げてくれないかね?」
「えっ?・・・・・・あ、はいっ!」
カランは木の陰に隠れていた男子に気絶した女子生徒を渡した。男子生徒は女子生徒をおんぶすると脱兎の如く逃げていった。
「ハァ!」
カイリは気合の入った声で鎌を打ち返し、カランの方へ下がった。
「な・・・・・・!し、死神の鎌を打ち返しただと!?」
ハンデットは驚きのあまり銃を落としそうになったが、何とか落とさなかった。
「ハハハ! 今年は豊作だな!!」
ミリアは大声で笑いながら魔力を仕込んだ弾を死神に撃ち込んだ。
獲物を逃した死神は今度はミリアに狙いを定めた。
「私が囮になるからその間撃ち込め! ただし無理だけはするなよ!! 鎌には絶対に触れるな!!」
「「「はい!!」」」
クスノキ達は元気に返事をすると、バラバラに散りながら死神に攻撃し始めた。
その頃カイリとカランは――
「所で死神を呼んだ人達は?」
ヤツはキョロキョロと辺りを見回した。
「・・・・・・あそこにいますよ」
私は死神の足下にあるグチャグチャの肉片の塊を指差した。
ヤツは何かに気付いたのか顔を顰めた。
「・・・・・・あのアクセサリー見覚えがある」
「そうでしょうね。先程貴方につかかったDQN達ですから。まあ、貴方が気にする必要がありませんよ。彼等の自己責任ですし」
「? 何で責任を感じるんだ?」
「・・・・・・別に」
死んでいるので想像でしかないが、恐らくDQN達はコイツのせいでプライドをズタズタにされたと逆恨みをして、教師でさえ恐れられている死神を呼んで見返そうとしたのだろう。
しかし、いくらDQN達が合わせて魔力を注いでも『死神』を呼び出すには全然足りなかった。止めようとしたのかもしれないが、ただの人間がそう簡単に『死神』の召喚を止める事が出来ず。身体が維持出来なくなるまで魔力を取られ続けた結果がアレなのだ。
……まあ、コイツが鈍感以前に、何でDQN達が『死神』を呼ぼうとしたのか分からずじまいだ。先程言った通り、コレは私の想像で、事実は違うかもしれない。
「ところでアレの攻略は?」
コイツは大剣を構える。(やはり主人公体質なのか身の丈以上の剣を平然に扱えるようだ)
「・・・・・・死神の攻撃パターンは一つ。鎌を使うだけです。しかし、鎌をかすっただけで死んでしまいます。それから絶対に殺してはいけません。知っての通り死神達の結束は家族よりも恋人よりも親友よりも強い事は貴方も知ってる筈です。アレを敵にまわしたらこの世界は消えます」
「つまり、鎌の攻撃には絶対かわす、死神を殺さないて事?」
「まあ、そうです。アレを倒すと言うか帰ってもらうのは、一番有効なのは呼び出しだ魔力が空にすることですね。奴等の魔力もたかが知れてますし、その証拠に段々小さくなってますし」
私の言った通り、微々たるものだが死神は小さくなている。
「援護の要請をしていますし、ヤツの魔力がなくなるが、召喚師によって強制返還のどちらかですね。だから、私達は先生達の指示に従い戦うこと。間違っても死神と闘いたいとは思わないように」
「・・・・・・」
「小声で『アレと闘いたいな』と言ってたの聞こえましたよ」
この戦闘馬鹿め。
「取り合えず、この銃で先生の援護をしましょう」
「ところで銃を使っても死神は死なないの?」
「死神が殺せるのは心臓を神のご加護を承けた剣を刺すことです。もうひとつは無理矢理冥界に帰させないようにして冥界の力をなくす事。魔力を込めた銃を撃っても死にやしません」
「へぇ~つまり、生き地獄になった召喚師て無知だったわけ?」
「まあ、そうなりますね。・・・・・・てかご存知なのです?」
「伝記本とか良く読んでいたからね」
「成程……無駄口はここまで。早くあいつを止めましょう」
コイツに銃を渡した後、私は直ぐに私の銃で死神に攻撃し始めた。
しかし、『私』だとバレたらどうしょうと思ったけどバレてる様子はないな。死神が女子生徒に鎌を降り下ろしたとき、とっさに身体が女子生徒を助けようと無意識に動いたけど、あの時あいつが手助けしてくれなかったら二人共死ぬ所だった。そこは後で感謝しないと。




