あいつが出てきました
フラグが立っている事につゆ知らず、カランはと言うと・・・・・・
「はあはあ、ち、ちくしょう」
水道にて火照った顔と頭を洗っていた。
『い、良い人かと思えば! やっぱり、見た目道理だった!! 遊び人だダメ人間だ!!!』
火照った顔と頭を冷し、持っていたタオルで顔と頭を拭いて髪をキレイに整えて、最後にリボンを結んだ。
「・・・よし!」
頭を冷して冷静になったところで理事長室の方に向かった。
『もうあの子達はいないだろうし、大丈夫でしょう』
――理事長室
コンコン
「おお、入って構わんよ」
「失礼します」
ドアを開けた先には、立派な髭をはやした優しげな顔をした老人が来客用の席に座っていた。この人が理事長だろう。見た目が某ファンタジー小説の校長先生みたいな人だ。
「遅くなって申し訳ありません」
頭を下げる私に理事長は変わらず笑ったままだ。
「構わんよ。ちょうど君で最後だよ。さあさあ、席に座りなさい」
「はい。失礼します」
席に座っると理事長がじっと私の顔を見た。
「……何で君、頭が濡れているんだい?」
「スコールにあいました」
「ス、スコール?」
「はい」
我ながら下手な嘘をついたな。
「そ、そうか……それより本題に入ろう」
理事長はスルーして本題に入っていった。(ツッコミがなくてちょびっと恥ずかしい)
「まあ、君の話はアイニアによく聞いているよ」
「そうですか。その、ご迷惑をかけて………この話も義母が無理矢理薦めたんじゃないですか」
「いやいや。アレとは腐れ縁でな、無茶振りについてはもう諦めているよ。それに推薦は期限内にきたし、あっちから来なくても推薦の合格通知をするつもりだったよ」
「えっ」
義母さんの事はさておき、合格するてどうゆうこと?
「実はここだけの話し、君はアイニアの他に王直々に推薦されていたんだよ」
「・・・・・・はぁ!?」
「ちなみに君の他にもう一人王に推薦されたのがいるが……」
まてまて。確かに彼とは小さい頃一回会ったことがあるが、だがその一回だけでそれ以降話したことも顔を合わせたこともないぞ。
「君の活躍は王の耳に入っているよ。なんでも古代文明の文字解読を十件も解読し、Sランクの魔物討伐を五件も討伐していれば自然と耳に入るよ」
「はー」
いやいや。そんな偉く言うけど、義母さんやセレスさん達に比べたら全然大したことしてないじゃん。こんな私を推薦するなんて大丈夫なのか王様。
「ちなみにアイニアやセレスちゃん達と比べるじゃないぞ。アイニア関してはあれは化け物だ」
「……心読みましたか?」
「顔に出てたよ」
……そうなのか。今度から出さないように気をつけよう。
「さて、本題に入ろうか」
とんでもない話をされたが、どうやら本題に入るようだ。
「推薦者はだいだい百人ぐらい応募されてくる。しかし合格者は十人も満たない。何故なら私や私が選んだ教師が厳しく選考する」
「基準は何かあるのですか?」
「それについて秘密としか言えないが、功績を中心に、この学園で実力が伸びる可能性がある者。充分活躍できる者を選考している。推薦合格者は入学当時から相当の実力者と認められている。その為推薦者はある程度の優遇がされているんだ」
「具体的には?」
「食券を三年間無料、学費免除に期末テスト以外のテストの免除」
なかなか良い待遇だな。でも、期末以外のテストは免除しなくて良いのではないのかな? 一般生徒の反感を買いそう。
「ただし、期末テストで此方が決めた点数を下回った場合は即退学」
「厳しいですね」
やはり甘い話には裏があった。それなら一般生徒も納得すると思う。でも、即退学は厳しすぎな気もするな……
「推薦者は他の生徒の模範になって欲しいからね。……それに何かと推薦者は優遇されているから他の一部の生徒や遺憾だが、教師の中からこの事に反感を持っていてね」
「成る程。不満を取り除くための策ですね」
「それでも少なからず嫌なことにあってしまうことは覚悟したらいいね。こっちも無くなるたもの最善のことはするよ」
「分かりました」
まあ、嫌がらせは前の世界で味わったから大丈夫だけど。
「あとは書類に名前を書いても貰って、終わりだからキチンと内容を確認して欲しい」
「はい」
義母さんの時は、大量の書類整理をめんどくさくって中身を確認せずに自分の名前を書いてしてしまったから、今度はキチンと見よう。
「はい書きました」
「うむ。あとは特にないから帰ってもいいよ。明日から頑張りなさい」
「はい。ありがとうございます」
理事長から激励され、理事長から出ていこうとすると。
「おお、そうだった」
理事長が自分の席に戻り何かを取り出した。
「これはキミが在籍するクラスメイト達の名前が書いてある。色が付いているのはキミと同じ推薦者合格者だ。学園では推薦者合格者は皆、同じクラスにしているんだよ。これは生徒達にお互いの名前を覚えるために配っているのだよ。」
理事長からクラスメイトの名前が入った小さな本手渡しされたのを受け取り今度こそ理事長室から出ていった。
そのあとすぐにセレスさんと合流し、慌ただしい一日が終わった。
・・・・・・このあととんでもない事実を知ることになる。
「ほわ~、人が沢山いる~」
「やはりレイシン学園は有名学園ですね。今映ったのカラン様では?」
「よく分かったわね。あ、ほら今もカランが映った」
我が家で今日の入学式のビデオを吹雪、白露、セレスさんが見ている。(義母さんはギルドで今までサボった書類を監視付きで泣きながら片付けている)
「吹雪。そんなにテレビを近くで見たら眼を悪くするからやめなさい」
「は~い」
吹雪が素直にテレビから離れるのを確認すると教科書に名前を書いた。
『よし。教科書はこれで最後。さて、今度はクラスメイトの名前を覚えるか』
クラスメイトの名前はキチンと覚えよう。こんな時にあの神様には感謝しなきゃね。
『ん?この人の名前赤色になっている? ………ああ、理事長が言ってた推薦者合格者か』
なになに。ハイド・ミンシオか。
銀色の髪に黒い眼。髪質は柔らかそうに肩にまで伸ばしている。私から見ても綺麗な顔立ち、いや美人さんだ。
写真にはハイドは優しく微笑んでいて、思わずクラッとするが、私には何か腹黒さが見え隠れするのは気のせいか。
それからあの子達。この子達は見なくていいだろう。確かこの子達によると六人推薦者合格者がいる。て、事は私とハイドて奴とあのこ達抜かしてあと二人。
「げっ」
コイツはあの女タラシ!! コイツも推薦者合格者かよ……。
ライヤ・ファザード。コイツの名前か。ホント、女にだらしない顔だな。こんな奴でも実力者なのか。学園生活頑張らないと。コイツだけには負けたくない。
あと一人は……。
ページを捲って最後の赤色の名前を見つけた。
「お、お母さん大丈夫!?」
「カラン様どうなさいましたか!?」
「貴女今、頭打ったでしょう!大丈夫!?」
吹雪達が私のまわりに囲んでいる。
無理もないか。
いきなり大きな音を出してイスごと倒れていたらそりゃ心配するわな。
「だ、大丈夫。ちょっと、とんでもないフラグが立っていたからちょっと驚いただけ」
「は? フラグ?」
三人の頭にクエスチョンマークが出ているのを尻目に私はもう一度写真を見た。
白銀の髪にオレンジ色の意識の強そうな眼。イケメンの類に入る顔。
どこかで見たことある顔だな~と若干嫌な予感がして名前の方を見た。
カイリ・ヤノハラ
あいつ、前世の世界の名前と一緒じゃないか。すぐに思い出したよ。
主人公体質でこっちでは救世主になる予定の、私が忘れたまま一生を終えたかった相手。そう言えば……
「理事長が言ってたもう一人の王様推薦者て、まさか……」
ファンタジーの定番を考えれば、十中八区。
「フラグ乱立フラグの予感だなこりゃ」
自分で言ったのもアレだが、意味が分からないな。
かくして私の二回目のハイスクール生活の始まったのである。
……学校生活の目標は余計なフラグを全力で折ること。これだけは絶対守ろう。
………ダメっぽい気がするけど




