早速ピンチです
さて、長い長い入学式がやっと終わった。何度欠伸を噛み殺した事か。
さっきチラッと保護者席を見たら最前席でセレスさんを見つけた。(この時ビデオカメラを持っていたのは義母さんや白露達に見せるだろう)
それ以外は他の生徒に見習ってぼーっと終わるのを待っていた。
『これで入学式を終わります。最後に推薦合格者はこのあと理事長室に来てください。その他の生徒は教室に戻って下さい』
退場したすぐに生徒達がガヤガヤと騒いだ。自分の教室を探したり、友達と同じクラスで喜んだり、逆のパターンで離れてしまった友達と悲しんだり沢山の感情がそこにあった。
私はそれを横目に理事長室に向かった。セレスさんは先生から保護者説明を受けている。
『地図には……講堂から曲がってすぐに理事長室だな』
推薦合格者に事前に配られた地図を見ながら歩いていると。
「……ねえ、何人合格したの?」
可愛らしい声が聞こえた。何処と無く私と口調が少し似ている。
「確かあたしと雪花入れて六人だって」
今度は少し乱暴そうなそれでいてこっちも同じで私と口調が似ていた。
私は咄嗟に物陰に身体を隠した。物陰から声をした方を見てみた。
……嫌な予感がする。
「・・・・・・嘘だろ」
「あんまりいないね。けっこう推薦受けた人がいたでしょ?」
一人は可愛らしい顔立ちの少女だ。ぱっちりおめめがよく似合っていた。
「理事長と先生達が選んで決めるってよ。まあ、何を基準に選ぶのかは分からないけどさ」
もう一人はボーイシュな少女だ。髪は首筋まで見えていているほど短く、ズボンを着てたら間違いなく男に間違われるだろう。此方も良く見れば可愛らしい顔だ。
良く見れば二人共、髪の色や顔立ちが私と良く似ていた。
「まあ、あたしらは合格して当然だけどね」
「六花。クスノキ家の名前背負っているからバカな事しないでね」
「分かってるて」
・・・・・・・・・久しぶりに三つ子の妹達の姿を見たわ。
まあ、確かに? レイシン学園は一流の魔術師を育てる学校だし、魔術師の名家であるクスノキ家がここを選ぶのは無理もないし、あの子達は王宮のお抱え魔術師より強いて言われてるけどさ。
「……何故いる」
やはり、あの子達も同じ推薦合格者なのか。
『ここを通ったら間違いなくあの子達と鉢合わせになるな。・……仕方ない回り道にしょう』
クルリと回って校舎側から歩く事にしよう。
「……まだ、あの子達と会う勇気もないし」
遠回りになるが余計なフラグを立つよりましか。
渡り廊下を歩いていると桃色のナニカが視界に入った。
ふと、桃色のナニカが飛んできた方を見ると。
「………こんな所に桜があるなんて」
クローデア王国は気温とかの問題で桜が咲かないハズなのに。近づいて見て花弁が手のひらに落ちてきて、触れた途端消え散った。
「……魔法か」
確かに魔法の中に幻術もあるのだが、ここまでリアルに作れるのは相当の実力者でなければ作れない。
『そういえばギルドの名前も『サクラ』だったな……そう言えば名前の由来聞いていないな。後で義母さんに聞いてみよう』
そう思った時だった。
春一番と思うほどの強い風が突然吹いてきたのだ。
「うぉ!」
我ながら女らしくない声を出して思わず座り込んだ。
幻術の桜もパラパラと花びらが空に飛んでいった。
そんな時だった。
「あっ!!」
結びが緩かったのだろうか。吹雪がくれた赤いリボンも、花びらと同じように空に飛んでいこうとした。すぐに手を伸ばしてリボンを取ろうとしたが、後少しの所で届かなかった。
幸い、リボンは桜の木の枝に引っ掛かった。
同じ時に風も止んでいった。
私はすぐに立ち上がって木を見上げた。
最悪なことにリボンは手を伸ばしても届かない高い所に引っ掛かっていた。
「ど……どうしようどうしよう」
あれは大事なものなのに。せっかく吹雪が自分のお金で買ってくれたものなのに。
「登れば、嫌、無理だ。でも……」
本当に泣き出しそうな時だった。
「ねえ、どうした?」




