王妃様との会話②
「いらっしゃい、クラウディアちゃん」
「先程ぶりでございます。王妃様」
母と一緒に王妃様のところまで行くと笑顔で出迎えられた。
好意的に接してもらえるのは嬉しいけどこの場ではあまり関わりたくない。
前世の頃から接待とか苦手だったし。
「私は貴女の伯母でもあるのだから、そんなにかしこまらなくても良いのよ?」
「ここが私的な場でしたら気を緩める事も出来ますが、本日は王妃様主催のお茶会です。ご無礼がないようにするのは当然の事ですよ」
しまった。
そう思ったのは王妃様に言葉を返してからだった。
こんな流暢に人様の意見を否定する八歳児がいてたまるかという気分だ。現に王妃様とお母様はそっくりな顔を驚かせていた。
流石は姉妹ね。って言ってる場合か。
「アデリナ、貴女の娘は凄いわね。まるでうちのルードのようだわ」
「私も驚いていますわ、お姉様」
目の前でそんな会話が繰り広げられる。
王妃様の言ったルードはおそらくルードルフの事だ。幼い頃から大人びていたとゲーム内で語られていたからおそらく今の私のようにしっかり話せる子なのだろう。
向こうは正真正銘の八歳児なのだけど。
「お、王妃様。私にお話があると聞いたのですが…」
「あぁ、そうだったわね」
先程の発言を誤魔化すように会話を変えるとすぐに応えてくれる王妃様に内心ホッとする。
下手に賢い子とか礼儀正しい子だと思われたくない。婚約者にさせられる可能性が高いから。
「私の息子のルードルフの事だけどね。今日は婚約者を探しているのよ」
「父から聞きました。良いご縁が見つかると良いですね」
他人事のように言葉を返せば王妃様が戸惑った表情をした。
婚約者選びは私のいないところでやってほしかったという思いが強いのだ。出来るだけ無関係でいさせてほしい。
「え、えぇ…。クラウディアちゃんは興味ないの?」
「王妃様には申し訳ないのですが、はっきり言ってしまうと答えは『ない』です」
婚約者になったら破滅ルートしかないのに選べるわけがない。
ゲームの場合は完全にクラウディアが悪いのだけどね。
私がルードルフに興味がない事が分かった途端に落ち着かない様子を見せる王妃様がいた。
その姿に悪い予感が確信に変わっていく。
おそらくゲームの中でルードルフとクラウディアが関わりを持ち始めるきっかけを作ったのは王妃様だ。
この国では第一王子以外の王子は基本的に王位継承権を持たない。第二以降の王子はいずれ臣籍降下して公爵となるか良家の婿となる。
つまり王子が婿となっても問題が発生しない家は娘のみを持つ公爵家だけとなる。女では爵位を継ぐ事は出来ないからだ。
そして国内でその条件に当てはまる公爵家は今現在だと我が家だけ。
王妃様からしてみれば大切な妹がいる家でもある。自分の可愛い息子を婿に出すのには最高の場所なのだ。
ゲームの中でもクラウディアが自身の息子であるルードルフに惹かれる事を期待した王妃様が二人を出会わせたのだろう。そして期待通りクラウディアはルードルフに出会い一目惚れをして婚約に漕ぎ着けたというわけだ。
普通の八歳児からしたら王子様の婚約者の座はどんな宝石よりも魅力的に見えるものね。それも相手が美少年ときたら速攻捕まえるのも分かる。
今回ルードルフの婚約者選びを行うという話は他の貴族からの波風を立てないようにする為の張りぼて。最初からクラウディア達の婚約は決められていたも同然だったのだ。
そしてそれは現在も変わらない。
状況を変えるには私の対応が重要になってくる。どう切り抜けるかと考えていると遠くから衛兵の声が響いた。
「ルードルフ第二王子殿下のご入場です」
ようやく来ましたね、私の破滅フラグ様。
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