王妃との会話①
ついに王妃様主催のお茶会の日がやってきた。
風邪の一つでも引いたら合法的に休めたのに。自身の健康優良児っぷりに鼻で笑った。
目立ちたくないと思っていてもそれを許してくれないのがうちの両親だ。整った容姿を持つお父様やお母様達と共にいるとなにもしなくても自動的に目立ってしまう。分かっているから早く二人の傍を離れたかった。
主催である王妃様への挨拶を済ませた後すぐに子どもだけの席に案内され両親は「また後で」と言い残して離れていく。
気合十分といった女の子達に囲まれるがそれぞれの話に相槌を打つだけで良いのが幸いだ。今のところ平穏な時間を過ごせていると思う。
第二王子であるルードルフが来てないからだと思うけど。
きっと彼は場がそれなりに盛り上がったところで登場するのだろう。
招待を受けた令嬢達は皆そわそわと落ち着かない様子。おそらくルードルフの婚約者探しの事を伝えられており楽しみにしているのだろう。私はまったく興味がない…とは言えない。婚約者という立場に興味はないが幼少期のルードルフの姿は気になる。オタク心というものだ。
「見たら帰れないかしら」
同じ席に座る子ども達に聞こえないように小さく呟く。
王妃様には挨拶を済ませた。だから、さっさと帰りたいところなのだが両親は許してくれそうにない。
お父様は仕事の同僚らしき人達と笑って会話をしているし、お母様は王妃様と仲良く談笑していらっしゃる。
二人は実の姉妹なのだから仲が良い事は変ではないのだ。
楽しんでいる二人を見て溜め息が出る。
「ディア、ちょっと良い?」
ケーキを口に入れて美味しさを感じているとお母様がこちらにやって来て声をかけてくる。同席の子達に礼をしてから母のところに向かった。
王妃様との会話はもう良いのだろうか?
「お母様?王妃様のところに居たのでは?」
「その王妃様が貴女と話したがっているのよ」
周りに聞こえないように耳打ちをされた。
王妃様が私に?それは嫌な予感しかないから話したくないのだけど。
もちろん王妃様が嫌いというわけじゃない。さっき初めて挨拶をさせてもらったけどお母様の姉だけあって優しくて穏やかな印象を受ける人だった。仲良くしたい気持ちはある。
この場が第二王子の婚約者決めの場でなかったら、の話だ。
「嫌そうな顔ね」
「気後れしてうまく話せそうにないです」
尤もらしい事を言うと母はちょっとだけ困ったように眉を下げた。
「お姉様は優しい人よ?」
「お母様にとってはお姉様だから緊張せず話せるのですよ。私にとっては王妃様です」
嘘は言ってない。
いくら血の繋がった伯母といっても雲の上の存在である事に変わりはないのだから。
比べたら失礼だけど取引先の社長に会うより緊張する。
「それはそうね…」
「王妃様は私となにをお話したいのですか?」
「それがルードルフ殿下の事らしいの」
ルードルフの名前を出されて固まった。
今この場で彼の名前が出されるという事はおそらく婚約に関する話なのだろう。
「分かりました」
あまり話したくはないが仕方ない。
嫌な予想が私の中で出来上がりつつあった。
それを確認するためには王妃様と話す必要があるので出向くしかないのだろう。
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