公爵令嬢とデート④※ルードルフ視点
「ずっと思っていたけどディアはいつから本が好きなの?」
前々から気になっていた事だ。
ずっと欲しいと言っていた本が手に入って嬉しいのかご満悦状態のクラウディアに尋ねる。
「四歳の頃からですよ」
四歳の頃から、ね。
その若さで本好きになるのは貴族の子女でも珍しい。
親に甘えて好きな物を買ってもらう。王族でもなかったらそれが普通の事だ。
そう考えるとクラウディアはかなり珍しいのだろう。
それにしてもどうして本を好きになったのか。気になって「本を好きになった理由はあるの?」と尋ねてみた。
「一度読んでみたら面白くて好きになりました」
ごく普通の答えに「そっか」と呟く。
面白い本を読めば好きになるのは当然の事だ。
クラウディアに薦められる本はどれも面白く、外れがない。彼女のおかげで私も読書の機会が増えたくらいだ。
それにしても本を好きになる前のクラウディアはどんな子だったのだろうか。
「本を好きになる前はどんな子だったの?」
「屋敷の中を走り回っている子供でしたよ」
苦笑いで答えるクラウディア。
すっかり忘れていたが会う前の彼女に関する噂はろくなものじゃなかった。
我儘で傲慢、公爵達に迷惑をかけても平然としている。そんな話ばかり聞かされていたのだ。
鵜呑みにした結果、会う前は彼女を嫌悪していた。
「実を言うと会うまでディアの事をろくでもない令嬢だと思っていたんだ」
思わず溢れ出た言葉に「ろくでもない令嬢ですか?」と首を傾げるクラウディア。失礼な言い方になってしまった。
不愉快な気分にさせてしまったと慌てて謝る。
「失礼な言い方になってごめん」
「気にしていませんよ」
実際その通りでしたと言ってきそうな表情を浮かべるクラウディア。
ずっと話していなかった事を伝えようと、自分の気持ちを正直に話そうと話を切り出す。
「我儘な子だと聞いていたからディアを婚約者にしたがっていた母の気持ちが重くて仕方なかったんだ」
「そう、ですか…」
叶う事ならクラウディア以外の令嬢と婚約したいと思っていた。でも、彼女と会って嫌悪していた自分を殴りたくなった。
もっと早くに出会えていればと思っていたのだ。
好きで好きで堪らなくて、他の誰にも譲りたくない人。だから卑怯な事をしてまで彼女の婚約者の座を手に入れた。
いつか好きになってもらえたら、そう望み続けて。最近になってようやく自分を意識してもらえるようになった。
「でも、出会ってから…ディア?」
話を続けようとクラウディアを見ると衝撃を受けた。
ぽろぽろと涙を零す彼女に激しく動揺する。
「どうして泣いているの?」
私が言うまで気づいていなかったのかクラウディアは驚いた様子で自分の涙を拭い始める。
どうして泣いているんだ。
私は何かしてしまったのか。
「ディア、どうしたの?」
手を伸ばした瞬間、クラウディアは逃げるように走り出した。
「ディア!」
待ってと叫ぶが彼女は止まらない。
必死になって追いかけようとするが姿を見失ってしまった。
「キーランド、すぐにディアを探せ」
「かしこまりました!」
今日は町中に護衛を配置させている。
すぐに見つかるはずだ。
「どうして逃げたんだ、ディア…」
私からの告白を受けたくなかったのか…?
察したから逃げたのだろうか。
もうそれでも良い。彼女が望まないなら告白などしない。だからどうか。
「無事でいてくれ…」
君が私の前から消えるのだけは耐えられないのだから。
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