公爵令嬢とデート②※ルードルフ視点
「ディア、どこに行きたい?」
城下町に出掛けるのは初めてだ。出来るだけクラウディアの望む場所に連れて行ってあげたいと思って尋ねると彼女は困ったような表情になる。
行きたいところがありすぎて困っているようには感じられない。確かクラウディアはあまり城下町に来た事がなかったはず。どこに行けば良いのか分からないのかもしれない。
もうお昼も近いので「とりあえず昼食にしようか」と提案すると安心したように頷いた。
案内したのは行き慣れたレストラン。通してもらったのは普段使っている広めの個室。
護衛達には外で待機してもらい、中に入るのは私とクラウディアだけだ。
「あの、二人きりは良くないかと…」
おどおどした様子で言ってくるクラウディア。
普通なら婚約者であろうと男女が二人きりになるのは世間体を考えたら良くない。それがよく分かっているからこその台詞なのだろうが私としては二人きりが良いのだ。
誰にも邪魔をされたくない。
扉の前で待機しているキーランドを呼びに行こうとするクラウディアの手を握って「大丈夫、誰にもバレないよ」と笑いかける。
「そういう問題では…」
「折角のデートなんだ。少しでも長く二人でいさせてくれ」
ずるいと思うがお願いするように言ってみた。
折れてくれたクラウディアは離れたところに行こうとするが逃すつもりはない。隣に腰かけると彼女から激しい動揺を感じた。
照れているのかクラウディアは頬を赤く染めて「ルード様、近いですよ」と離れようとする。
可愛いな。もっと見たい。
「駄目?」
「店員の方に見られたら困りますから」
「気にしなくて良いから」
ここの店員は口が堅いと分かっている。
ただクラウディアはそれを知らない。だからこそ不安になっているのだろう。
諦めた様子で「店員が来たら離れてくださいね」と言ってくる。
「分かったよ」
折れてあげたのはこちらなんですが、と言いたそうな表情を見せるクラウディアに笑ってしまいそうになる。
偉そうにするなと一言くらい言っても良いくらいなのに。
「ディアは何を食べたい?」
「ルード様のお勧めのもので良いです」
尋ねるとクラウディアはやや適当に返事をしてくる。
私を信用しているからこその返事なのだろうけど、ちょっとした悪戯をしたくなるのは彼女が可愛いせいだ。
「じゃあ、ディアの苦手なものを選ぼうかな」
クラウディアが魚料理を苦手だと知っている。わざと言ってみると嫌そうな表情で「魚介類以外にしてください」と返してきた。
悪戯が成功して嬉しい。子どもみたいな笑顔を見せると溜め息を吐かれてしまう。
「適当に返事をする方が悪いよ」
「ここに来るのは初めてなので任せたかっただけです」
明らかに適当に返事をしていたのに。誤魔化すように言うクラウディアは拗ねた表情を浮かべていた。
やっぱり彼女と過ごす時間は楽しくて堪らないな。
「それなら仕方ないね」
次に適当な返事をしたらどんな悪戯をしてあげようか。
そんな馬鹿みたいな事を考えた。
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