第二王子とデート②
「ディア、どこに行きたい?」
どこと言われても…。
城下町についてはあまり詳しくない。返答に困っていると「とりあえず昼食にしようか」と提案されるので頷く。
案内されたのは学生が来るようなレストランじゃなかった。
流石は王子様。
店内に入ると通されたのは広めの個室だった。
「あの、二人きりは良くないかと…」
婚約者であろうと男性と二人きりになるのはまずいと思う。貴族社会というのはちょっとした事が醜聞に繋がるような世界なのだから。外で待機しているキーランドに入ってもらおうとするが手を掴まれてしまう。
「大丈夫、誰にもバレないよ」
「そういう問題では…」
「折角のデートなんだ。少しでも長く二人でいさせてくれ」
懇願するように言われると私に拒否権はない。
せめて離れたところに座ろうと思うのにルードルフの方から隣に座ってくる。
流石に近すぎでしょ。
ちょっと動くだけで膝小僧がぶつかる距離に座るルードルフに戸惑いを感じる。
「ルード様、近いですよ」
「駄目?」
「店員の方に見られたら困りますから」
「気にしなくて良いから」
気にするから。
最も世間の目を気にしないといけない存在なのにどうして堂々としているのだろうか。
母親である王妃様に叱ってもらいたいところだけど、あの人の性格を考えると「仲良しなのね」と笑われるくらいだ。
ルードルフの兄であるバルデマーに言ったら…。
私が叱られそうなのでやめておこう。
「店員が来たら離れてくださいね」
「分かったよ」
仕方なさそうに返事をするルードルフ。
折れてあげてるのは私の方なのに。
何か言い返そうと思ったが何を言ってものらりくらりと躱されてしまうだろう。
中身が大人な私は自分が引く事にした。
「ディアは何を食べたい?」
「ルード様のお勧めのもので良いです」
ルードルフは王子だけあってかなりのグルメだ。
彼のお勧めなら間違いないだろうと思って投げやり気味に返事をしてしまう。
「じゃあ、ディアの苦手なものを選ぼうかな」
「魚介類以外にしてください」
魚料理はあまり好きじゃないのだ。
よく一緒に食事をしているルードルフは私の好き嫌いを熟知している。悪戯っぽい笑顔を向けてくる彼に深く溜め息を吐いた。
「適当に返事をする方が悪いよ」
「ここに来るのは初めてなので任せたかっただけです」
適当に返事をした私が悪いけど子どもみたいな嫌がらせはやめてほしい。拗ねたような表情を向けるとルードルフは楽しそうに笑った。
「それなら仕方ないね」
今度から適当に返事をするのはやめようと心に決めた。
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