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破滅はお断りです  作者: 高萩


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23/41

ヒロインは私※バルバラ視点

私、バルバラには前世の記憶がある。

前世の私は日本という国で生まれ育った平凡な人間だった。特に秀でた部分もなく、容姿も並程度。それでも充実した毎日を送っていたのにある日の帰り道に交通事故に巻き込まれてあっさり死亡。

目が覚めると異世界に飛ばされていた。

最初は最悪だと思っていたけど自分の顔を見た瞬間そんな気持ちはどこかに消えていく。新しい自分は前世で大好きだった乙女ゲームのヒロインと同じ顔だったのだ。

ゲームのタイトルは『恋する魔法学園~愛してくれる王子様は誰?~』

何周も何周もやり込んでいたゲームだ。

大好きな乙女ゲームの中に転生したのは不慮の事故で死んだ私に神様がくれた贈り物だと。

そう思い込んでいた。


「問題は誰を攻略するかよね」


正直どのキャラも大好きだった。

出来る事なら全員を攻略したいところだけど逆ハーレムは無理。一周目で出来る事じゃないからだ。

諦めて一人に絞るしかない。

そう考えたところでやっぱり前世の推しにする事にした。


「やっぱりルードルフ様よね!」


キャラ投票でも一位になっていた王子様ポジションの大人気キャラだ。

かっこよくて、どこか冷めていて、でもヒロインには優しくて選ぶなら絶対にルードルフ様一択だ。

彼の婚約者である悪役令嬢クラウディアにいじめられるのは嫌だけどルードルフ様が守ってくれるから大丈夫よね。

そう思っていたのにいざ学園に入学するとゲームと内容が違った。


最初のイベントである転んだところをルードルフ様に助けてもらうのは失敗に終わった。

悪役令嬢にぶつかったのはわざとじゃないし、悪かったと思うけど、だからって睨みつける事はないでしょ。

私はヒロインなのに。

どんな事をしてもヒーローに愛されるべき人間なのに。

悪役令嬢を連れて保健室に向かうルードルフ様の背中を見ている事しか出来なかった。


「せっかくの保健室イベントが…」


ルードルフ様ルートのイベントが二つも潰されてしまった。

全部悪役令嬢が転んだせいだ。

でも、大丈夫。最後に選ばれるのは私なのだから。


楽観的な考えを持っていたが入学式以降、ルードルフ様と関わりを持てる部分など一切なかった。

近寄ろうとするだけで軽蔑の眼差しを向けられるし声をかけるなという雰囲気を身に纏うルードルフ様。

何故か悪役令嬢も私に絡んでこない。

全くイベントが進行しないのだ。

ルードルフ様に好かれないという苛立ちは周囲の貴族の男を籠絡し、婚約者から奪う事で発散させた。

最初はストレス発散で行っていた略奪だったけど多くの男が自分に夢中になる姿は見ていて気分が良かったのだ。だからどんどん信者を増やしていった。

入学から三ヶ月が経ったある日の事。

攻略対象者の一人であるアロイスの攻略に成功した。馬鹿だけど正義感の強い彼を使ったら悪役令嬢クラウディアを嵌める事が出来るのでは?と考えた。


「私、クラウディア様に…イジメられていて…」

「なんだと!」


泣いたふりをしながらアロイスに助けを求めたら怒った彼はクラウディアの元に向かった。

馬鹿な男は扱いやすくて助かるわ。

そう思いながら彼の後を追うと人混みが出来ていた。中心にはクラウディアとアロイスが対峙しており面白い事になっていると一人笑う。しかし言い争いもすぐに終わりを迎えた。

ルードルフ様がクラウディアを庇い、アロイスを責め始めたのだ。

それどころか入学式の日に行った私の行為まで暴露されて周囲は呆れた声を出していた。

中には私に対する批判も多くイライラする。

そしてルードルフ様に責められて意気消沈のアロイスを助けたのは彼ルートの悪役令嬢エーディトだった。

その一件以降アロイスはエーディトとラブラブ。私の事は完全に避けるようになっている。

話しかけようとするだけで逃げられるのだ。

それだけじゃない。今まで私を構ってくれていた高位貴族の男共まで私を避け始めた。


「なんでよ!どうして上手くいかないの!」


私はヒロインよ!

愛されるための存在なのにどうしてぞんざいな扱いを受けないといけないのよ!


「……そうよ。全部ルードルフ様をたぶらかしているクラウディアが悪いのよ。あの悪役令嬢をどうにかすれば良い話じゃない!」


悪役令嬢は悪役令嬢らしく舞台から退場するべきなのよ。


「待っていなさい。ルードルフ様は私のものよ!」


だって私はヒロインなのだから。

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