第39話「クリスマス」
十二月二十五日。
クリスマス。
ひよりは、朝からソワソワしていました。
今日は、澪の家でクリスマスパーティ。
プレゼントを交換して、チキンを食べて、ケーキを食べて。
二人だけの、温かいクリスマス。
それでは、第39話、どうぞ。
十二月二十五日。
クリスマス。
朝から、ソワソワしていた。
今日は、澪さんの家でクリスマスパーティ。
楽しみで、楽しみで。
仕事にも気合いが入るってもんよ!
「では、また年末にカタログお持ちします。」
午後四時。
最後の取引先を出た。
今日は朝イチから動いてるから早めに回り終えることができた。
よし、会社に戻ろう。
今日は、何がなんでも定時で上がる。
車を走らせながら、考える。
澪さんへのプレゼントも買ってある。
昨日、デパートで買った。
澪さんに似合いそうな、落ち着いた色のマフラー。
喜んでくれるかな。
会社に戻って、報告書を書き終えた。
五時ピッタリ。
デスクを片付けて、急いで会社を出た。
「朝比奈、お疲れ」
課長が、声をかけてきた。
「お疲れさまです!」
「クリスマス、楽しめよ。」
「はい! ありがとうございます!」
会社を出て、駅に向かった。
街は、もうクリスマスモード。
イルミネーションが、綺麗に光っている。
カップルが、たくさん歩いている。
みんな、幸せそう。
私も幸せな気分になる。
その時。
前から、女性が歩いてきた。
あれ?
あの人、確か…
思い出した!澪さんの隣の席の人だ。
名前、何だっけ。
隣には、若い男の人がいた。
二十代前半くらいかな。
誰だろう。
旦那さん?
……にしては若すぎる気もするけど…
じゃあ、誰だろう?
弟さんとか?
よく分からない。
二人は、笑いながら歩いている。
楽しそうだ。
私は、そのまま通り過ぎた。
まあ、いいか。
私は駅前のスーパーに寄った。
ビールとお菓子を買い込む。
レジを済ませて、澪さんのマンションに向かった。
歩きながら、街を見る。
クリスマスツリーが、あちこちにある。
サンタクロースの飾りも。
ああ、クリスマスだなぁ。
澪さんのマンションに到着してインターホンを押した。
「はい」
澪さんの声。
「澪さーん! 来たよー!」
「いらっしゃい」
ドアが開いた。
澪さんが、笑顔で迎えてくれた。
「メリークリスマス!」
「メリークリスマス」
私は、部屋に入った。
部屋には、小さなクリスマスツリーが飾ってあった。
「わあ、可愛い!」
「ひよりが来るから、飾ってみたの」
「嬉しい!」
テーブルには、もう料理が並んでいた。
チキン、サラダ、ポテト。
美味しそう。
「ビール、冷蔵庫に入れておくね」
「ありがとう」
私は、冷蔵庫にビールを入れた。
それから、バッグからプレゼントを取り出した。
「澪さん、これ」
「え、プレゼント?」
「うん。開けて」
澪さんは、プレゼントを開けた。
マフラーが出てきた。
「わあ、素敵」
「似合うと思って」
「ありがとう、ひより」
澪さんは、嬉しそうだった。
「私も、あるわよ」
澪さんは、テーブルの上の箱を取った。
「はい、ひより。メリークリスマス」
「わあ、ありがとう!」
私は、箱を開けた。
中には、可愛い手袋が入っていた。
「可愛い!」
「寒いから、使ってね」
「うん! ありがとう、澪さん!」
プレゼント交換が終わって、二人で乾杯した。
「メリークリスマース!」
「メリークリスマス!」
ビールを飲みながら、チキンを食べた。
美味しい。
澪さんが焼いてくれたチキン。
ジューシーで、スパイスが効いている。
「美味しい!」
「よかった」
「澪さん、料理上手すぎ!」
「そんなことないわよ」
サラダも、ポテトも、全部美味しい。
ビールが、進む。
二人で、いろんな話をした。
仕事のこと。
今年あったいろいろ。
楽しい話、辛かった話。
全部、話した。
その時、ふと思い出した。
「あっ! そう言えば、澪さんの隣の席の人、何て名前だっけ?」
「隣の席? 木内さん?」
「そう、木内さん! ここに来る途中に見かけたよ!」
「そう。家族で?」
澪さんが、聞いてきた。
「う~ん、たぶん違うと思うんだよね。若い男の人と二人だけだったから」
「若い男の人?」
澪さんは、少し考えるような顔をした。
「誰だろうね」
「さあ。弟さんとか?」
「かもね」
澪さんは、そう言ったけど、何か考えてる顔だった。
「さ、ケーキ食べましょう」
「やった!」
澪さんは、冷蔵庫からケーキを取り出した。
イチゴのショートケーキ。
ホールサイズ。
綺麗!
「わあ、美味しそう!」
「予約しておいたの」
「ありがとう、澪さん!」
ケーキにろうそくを立てた。
火をつける。
「じゃあ、消そうか」
「うん!」
二人で、息を合わせて消した。
ふう。
「願い事した?」
「願い事?ケーキに?」
「何でもいいのよ。」
「あははははは!何それ!ケーキに願い事って!」
二人で笑いあった。
澪さんは、ケーキを切って皿に乗せてくれた。
甘くて、美味しい。
イチゴも、大きい。
「澪さん、このケーキ、すっごく美味しい!」
「このお店、イートインもあるから今度一緒にいこ。」
「うん!楽しみ!」
ケーキを食べながら、また話した。
「澪さん!楽しいね。」
「うん。」
澪さんと一緒だと、いつも楽しい。
ケーキを食べ終わって、お茶を飲んだ。
ふう。
お腹いっぱい。
幸せ。
時計を見ると、もう十時を過ぎていた。
「あーあ、今年もあと一週間かぁ」
私は、呟いた。
「ひより、今年もお世話になりました!」
澪さんが、真面目な顔で言った。
「あはははは! 澪さん、ちょっと早くない?」
私は、笑った。
「だって、もう年末だもの」
「まだ一週間あるよ」
「そうね。ふふふ…」
澪さんも、笑った。
二人で、笑い合った。
楽しいクリスマス。
今日は、今年一番いい日かもしれない。
「じゃあ、そろそろ帰るね。」
私は、立ち上がった。
「ありがとう、澪さん。今日、すっごく楽しかった」
「こちらこそ」
玄関で靴を履いた。
「手袋、さっそく使わせてもらうね。」
「あら!いつの間につけたの。」
「あったかい。」
「よかったわ。」
「じゃあね、澪さん! メリークリスマス!」
「うん、メリークリスマス。気をつけて帰ってね」
「うん!」
私は、階段を降りた。
外は、寒い。
でも、手は温かい。
街は、まだイルミネーションが光っている。
カップルが、たくさん歩いている。
楽しかったなー!
家に帰ってお風呂に入った。
冷えた体にお湯が気持ちいい。
服を着替えてベッドに倒れ込む。
今年も、あと一週間。
早いな。
私、ちゃんと成長できてるのかな。
まだまだ知らないことも多いし、できないことも多い。
たくさん勉強して、いろんな経験をして、人として成長していきたい。
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠っていた。
お読みいただき、ありがとうございました。
二人のクリスマス、温かくて楽しかったですね。
プレゼントを交換して。
美味しい料理を食べて。
たくさん笑って。
そして、ひよりが街で見かけた木内さん。
若い男の人と一緒だった。
澪は、何か気づいている様子でしたね。
今年も、あと一週間。
ひよりは成長を実感しながら、眠りにつきました。
次回もお楽しみに。
それでは、また次回お会いしましょう。




