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【OLふたり、今日も明日も】  作者: 桜餅 詩音


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第37話「微妙な距離」

木曜日の朝。

いつもの澪の一日が始まります。

でも今日は、何かがおかしい。

復帰した佐藤くんと、木内さんの様子が――

微妙な距離。

目を合わせない二人。

澪は、観察します。

それでは、第37話、どうぞ。

木曜日の朝。


いつも通りに会社に着いた。


デスクに座って、パソコンを起動する。


メールをチェック。


今日も多い。


一つずつ、処理していく。


隣の席の木内さんが、声をかけてきた。


「澪、クリスマスどうするの?」


「ん?」


「クリスマス。予定ある?」


「まだ何も考えてないなぁ」


私は、正直に答えた。


ひよりは、どうするんだろう。


聞いてみないと、分からないかぁ。


「澪は、一人が好きだもんね」


「まあ、そうね」


「私は、家族でケーキ食べるくらいかな」


「いいじゃない」


木内さんは、スマホで息子の写真を見せてくれた。


「去年のクリスマス。息子、すごく喜んでたんだ」


「可愛いわね」


「今年は、何あげようかな」


木内さんは、嬉しそうだった。


その時。


フロアの入口から、声が聞こえた。


「皆さん! 長い間休んでしまって、申し訳ございませんでした!」


佐藤くんだ。


深々と頭を下げている。


ああ、今日から復帰なんだ。


「佐藤、お疲れ」


課長が声をかけた。


「おかえり」


「ありがとうございます!」


佐藤くんは、自分の席に向かった。


私たちの近くを通る。


木内さんの席の、少し手前で止まった。


微妙な距離。


「木内さん」


佐藤くんは、木内さんを呼んだ。


でも、視線は壁の方を向いている。


「お見舞い、ありがとうございました」


「いえ! どういたしまして!」


木内さんも、全く別の方向を見ている。


窓の方だ。


え?


何、その微妙な距離。


そして、何で二人とも目線を合わさないの?


え?何かあったの??え?え?


パソコンの画面を見ながら、さりげなく観察する。


佐藤くんは、自分の席に座って仕事を始めた。


木内さんも、何事もなかったかのように仕事を始めた。


なに?なんなの?


九時。


朝礼が始まった。


「はい、みんな。今日も頑張りましょう」


課長の声。


「佐藤、復帰おめでとう」


「ありがとうございます!」


「無理しないでね」


「はい!」


朝礼が終わった。


それぞれの仕事に戻る。


私は、請求書の処理を始めた。


黙々と、データを入力していく。


十時頃。


佐藤くんが、木内さんに声をかけた。


「木内さん! 書類の確認、お願いします。」


棒読みだ。


完全に、棒読み。


「はい、分かりました、佐藤くん」


木内さんも、棒読み。


二人とも、目を合わせない。


佐藤くんは、書類を木内さんのデスクの端に置いた。


いや!遠い遠い!


そして、すぐに自分の席に戻る。


木内さんは、書類を確認し始めた。


いや。だから、何!?なんなの!?


お見舞いに行ってたけど、だからなに?


とにかく午前中、ずっとそんな感じだった。


お昼休み。


木内さんは、一人で社員食堂に行った。


私も、食堂に行った。


木内さんは、窓際の席に座っていた。


私は、木内さんの隣に座った。


「一緒に、いい?」


「ええ、どうぞ。」


棒読みじゃない…


それ、日替わり?


「うん、日替わりB。」


「ここの日替わり、量が多くてお得よね。」


ふと入口の方に目を向けると佐藤くんが食券を買っていた。


「佐藤くんも誘おっか?」


「え?佐藤くん?いやでも佐藤くんも忙しいかもしれないしすぐ仕事に戻るかもしれないし私もう食べ終わりそうだしそうなると結局一人で食べることになるから同じことだと思うし………」


すっごい早口……


「ふふ」


私は思わず笑ってしまった。


食べ終わって午後の仕事。


午後から電話が増えて少し忙しくなった。


あっという間に五時になった。


私は、デスクを片付けた。


「澪、帰るの?」


「うん。帰りにクリスマスケーキ予約して帰ろうかなと」


「いいわね。じゃ、また明日ね。」


「うん。お疲れ様。」


今日は、帰りにケーキ屋に寄ろう。


会社を出て、駅前のケーキ屋に向かった。


店内は、もうクリスマス一色。


ショーケースには、綺麗なケーキが並んでいる。


イチゴのショートケーキ、チョコレートケーキ、チーズケーキ。


どれも美味しそう。


「いらっしゃいませ」


店員さんが、声をかけてきた。


「クリスマスケーキの予約をしたいんですけど」


「はい、ありがとうございます」


店員さんは、カタログを出してくれた。


いろんな種類がある。


ホールと、カット。


サイズも、いろいろ。


私は、少し考えた。


そういえばまだひよりと約束してないけど…


ひより、クリスマスどうするのかな。


う~ん。一応、ホールにしておこう。


私は、五号サイズのイチゴのショートケーキのホールを選んだ。


二人で食べるには、ちょうどいい。


「これ、お願いします」


「ありがとうございます。お受け取りは、いつがよろしいですか?」


「二十五日でお願いします」


「かしこまりました」


予約を済ませて、店を出た。


夜風が、冷たい。


電車に乗って、家に帰った。


部屋に着いて、ソファに座る。


ふう。


今日の木内さん、面白かったな。


どこまでしたのか分からないけど、何かあったのは間違いない。


木内さんは結婚してるから応援はできないけどね。


まあ、二人とも大人だし、ご自由にってかぁ~んじ!


私は、お風呂に入って、ベッドに入った。


布団に包まれて、目を閉じる。


明日ひよりが来るからクリスマスの予定、聞いてみよ。


そんなことを考えながら、私は眠りについた。

お読みいただき、ありがとうございました。

佐藤くんと木内さん、完全に気まずいですね。

棒読みの会話。

微妙な距離感。

目を合わせない二人。

澪は気づいています。

「何かあったのは間違いない」と。

でも澪は、深く追求しません。

「二人とも大人だし、ご自由にってかぁ~んじ!」

この軽さが、澪らしいですね。

そして、クリスマスケーキを予約した澪。

ひよりとのクリスマス、楽しみですね。

次回は金曜日。

ひよりが来る日です。

それでは、また次回お会いしましょう。

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