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【OLふたり、今日も明日も】  作者: 桜餅 詩音


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第3話「朝比奈ひよりの失敗と奮闘」

第3話は、再びひより視点です。

今回は、仕事での失敗の話。

誰にでも、ミスはあります。

大事なのは、その後どうするか。

ひよりは、失敗しても諦めません。

前を向いて、走り続けます。

そんな彼女の姿に、

きっと勇気をもらえると思います。

「仕事はクレームから始まる!」

この言葉の意味を、

ひよりと一緒に感じていただけたら嬉しいです。

それでは、第3話をお楽しみください。

火曜日の午前中。私は得意先の「マルヤマスーパー」の事務所で、頭を下げ続けていた。


「本当に申し訳ございません!」


向かいに座る仕入れ担当の丸山部長は、腕を組んだまま、険しい顔で私を見ている。


「朝比奈さん、これで何度目ですか」


「……2度目です」


「2度目ですよね。前回も数量の間違いでしたよね」


ぐうの音も出ない。


今朝、丸山部長から電話があった時、嫌な予感がした。そして、その予感は的中した。


昨日納品した冷凍食品の数量が、発注書と全然違っていたのだ。


注文は30ケースだったのに、10ケースしか届いていない。しかも、今日の夕方からチラシに載せる目玉商品だという。


「本日中に、残りの20ケースを必ず届けさせていただきます!」


「当たり前です。でもね、朝比奈さん。問題はそこじゃないんですよ」


丸山部長は、ため息をついた。


「信頼です。取引ってのは、信頼で成り立ってるんです。2度も同じミスをされたら、こちらとしては考えざるを得ない」


その言葉が、胸に突き刺さった。


「取引の見直し、ということですか」


「まあ、そこまでは言いませんが……」


丸山部長は、書類を閉じた。


「今日中に納品してください。話はそれからです」


「はい。必ず」


私は深く頭を下げて、事務所を出た。


外に出ると、10月の風が冷たい。


携帯を取り出して、すぐに倉庫に電話した。


「もしもし、朝比奈です! 至急、マルヤマスーパー向けの冷凍食品、20ケース用意してください! はい、今日中に届けます!」


倉庫の担当者は少し困った様子だったが、なんとか午後には準備できるという。


よし。まずは商品を確保した。


次は、どうやって挽回するか。


私は駅前のコンビニに入って、缶コーヒーを買った。ベンチに座って、一息つく。


失敗した。


またやってしまった。


でも、ここで落ち込んでいる場合じゃない。


私は缶コーヒーを一気に飲み干して、立ち上がった。


先輩の営業マンが、昔言っていた言葉を思い出す。


 **「仕事はクレームから始まる!」**


最初は意味が分からなかったけど、今ならなんとなく分かる。


クレームが来たら、それは関係を深めるチャンスなんだ。普通の納品をしているだけじゃ、お客さんと深く話す機会なんてない。でも、トラブルが起きた時にどう対応するかで、信頼は決まる。


よし。


私は、もう一度マルヤマスーパーに電話をかけた。


「丸山部長、朝比奈です。午後三時までに商品をお届けします。それと……少しお時間をいただけないでしょうか。ご提案したいことがあります」


電話を切ってから、私は走り出した。


向かった先は、会社の企画部。


資料をコピーして、提案書を作る。マルヤマスーパーで、もっと売れる商品の組み合わせ。季節のおすすめ商品。新商品のサンプル。


私は必死に準備をした。


午後2時。倉庫から商品を受け取って、マルヤマスーパーへ向かう。


納品を済ませると、丸山部長が出てきた。


「朝比奈さん、間に合いましたね」


「はい。お時間をいただけますか」


丸山部長は、少し驚いた顔をしたが、事務所に案内してくれた。


私は、準備した資料を広げた。


「今日はご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした。ですが、私はマルヤマスーパー様ともっと良いお取引をしたいんです」


そして、一つ一つ、提案を説明した。


この時期に売れる商品。お客様の購買データから見えるニーズ。新商品のサンプルと、それを使った売り場づくりのアイデア。


丸山部長は、最初は険しい顔だったが、だんだんと興味を持ってくれているのが分かった。


「朝比奈さん、よく調べましたね」


「はい。マルヤマスーパー様は、私にとって大切なお客様ですから」


「でも、数量ミスは困りますよ」


「はい。今後は、納品前に必ずダブルチェックをします。それと、週に一度、在庫確認のお電話を入れさせていただきます」


丸山部長は、少し考えて、それからニヤリと笑った。


「分かりました。じゃあ、この提案、試してみましょうか」


「本当ですか!」


「ただし、条件がある。次にミスをしたら、取引見直しです」


「はい! 絶対にミスしません!」


私は、深く頭を下げた。


事務所を出ると、夕暮れの空が広がっていた。


やった。


なんとか、挽回できた。


携帯を取り出して、澪さんにメッセージを送ろうとして、やめた。


今日は、澪さんを心配させたくない。金曜日に会った時に、笑い話として報告しよう。


駅に向かいながら、私は思った。


仕事は、本当にクレームから始まるんだ。


失敗して、怒られて、それでも諦めずに挽回する。


その繰り返しで、お客様との信頼が生まれる。


私は、まだまだ新人だ。


でも、少しずつ成長している。


そう信じて、今日も前に進もう。


コンビニに寄って、ビールを買った。


今日は、一人で乾杯だ。


自分へのご褒美。


明日からまた、頑張ろう。

第3話、いかがでしたでしょうか。

ひよりの失敗と挽回の物語、楽しんでいただけましたか?

仕事をしていると、必ずミスはあります。

でも、そこで諦めるか、立ち上がるかで、未来は変わる。

ひよりは、まだ若くて未熟です。

でも、諦めない強さを持っています。

そんな彼女の成長を、これからも描いていきたいと思います。

次回、第4話は澪の視点から。いつもはまっすぐ家に帰る澪さんが、ふと立ち寄った焼き鳥屋で、思いがけない出会いをします。落ち着いた大人の女性・澪の、新しい一面が見られるかも?

第4話もお楽しみに。

最後まで読んでくださって、

ありがとうございました。

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