表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【OLふたり、今日も明日も】  作者: 桜餅 詩音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/40

第21話「思い出の場所で」

第21話は、二人揃っての日曜日です。

辛い出来事の後だからこそ、

この優しさが、染みます。

思い出の場所で、

二人の絆を確認する。

言葉にしなくても分かる関係。

でも、時には言葉にすることも大切。

「出会えて良かった」

「ずっと友達よ」

シンプルだけど、

とても大切な言葉。

温かい気持ちで、

読んでいただけたら嬉しいです。

それでは、第21話をお楽しみください。

日曜日の昼。私は、駅前でひよりを待っていた。


秋晴れの気持ちいい日。


少し早く着いたので、ベンチに座って本を読んでいた。


「澪さーん!」


ひよりの声が聞こえた。


顔を上げると、ひよりが手を振りながら走ってくる。


「おはよう」


「おはよう! 待った?」


「いえ、今来たところ」


ひよりは、少し元気がないように見えた。


でも、笑顔を作っている。


「じゃあ、行きましょうか」


「うん! どこ行くの?」


「着いてきて」


私は、ひよりを連れて、駅から10分ほど歩いた。


住宅街を抜けて、小さな商店街に入る。


「この辺り……」


ひよりが、何か気づいたような顔をした。


「そう。覚えてる?」


「まさか……」


私たちは、一軒の小さなカフェの前に立った。


「カフェ・ソレイユ」


木の看板に、手書きの文字。


「ここ……!」


ひよりの目が、大きく開いた。


「初めて、二人で来たお店」


「覚えてる……!」


そう。ここは、ひよりと出会って間もない頃、初めて一緒に来たお店。


入社して3年目だった私と、新人だったひより。


仕事で関わるようになって、ひよりが「澪さん、美味しいお店知ってますか?」と聞いてきた。


それで、私がこのお店を紹介した。


あれから、2年。


私たちは、カフェに入った。


店内は、あの時と変わらない。


木の温もりがある、小さくて居心地のいい空間。


「いらっしゃいませ」


マスターが、私たちを見て微笑んだ。


「あれ?久しぶりですね。お二人とも」


「お久しぶりです」


「相変わらず、仲良しですね」


マスターは、嬉しそうに言った。


私たちは、窓際の席に座った。


あの時と、同じ席。


「何にする?」


「えっと……」


ひよりは、メニューを見ている。


「あの時と、同じのにしようかな」


「じゃあ、私も」


私たちは、ハンバーグランチを注文した。


あの時も、同じものを頼んだ。


料理を待つ間、ひよりが言った。


「懐かしいね。あの時、私、めっちゃ緊張してたんだ」


「そうなの?」


「うん。澪さん、すごく落ち着いてて、綺麗で……私なんかが一緒にごはん食べていいのかなって」


「大げさよ」


「本当だよ! でも、澪さんが優しくしてくれて、嬉しかった」


ひよりは、笑った。


「それから、ずっと一緒だもんね」


「ええ」


料理が運ばれてきた。


湯気の立つハンバーグ。デミグラスソースの香り。


「いただきます」


「いただきます」


二人で、食べ始めた。


味は、あの時と同じ。


優しくて、温かい味。


「美味しい……」


ひよりは、一口食べて、少し涙ぐんでいた。


「ひより?」


「ううん、大丈夫。ただ……なんか、色々思い出しちゃって」


ひよりは、ハンカチで目を拭いた。


「この2年間、楽しかったなって」


「そうね」


「澪さんと出会えて、本当によかった」


私は、ひよりを見た。


彼女は、笑顔だけど、少し寂しそうだった。


色々 思ってるんだろう。


でも、私は何も聞かなかった。


ただ、言った。


「私も、ひよりと出会えて良かったわ」


「澪さん……」


「あなたがいなかったら、私はきっと、もっと閉じこもっていたと思う」


私は、ハンバーグを一口食べた。


「でも、あなたが私を外に連れ出してくれた。色々な場所に、色々な経験に」


「私、そんな……」


「それに、あなたと話すのは楽しいの。いつも元気をもらってる」


私は、ひよりの目を見た。


「だから、ありがとう。」


ひよりの目から、涙がこぼれた。


「澪さん……!」


「これからも、ずっと友達よ」


「うん……!」


ひよりは、泣きながら笑った。


「ありがとう、澪さん。私も、ずっと友達でいたい」


「じゃあ、決まりね」


私も、微笑んだ。


それから、二人で食事を続けた。


ひよりは、少しずつ元気を取り戻していった。


最近あった面白いこと、仕事のこと、他愛もない話。


いつもの二人に、戻っていく。


「ねえ、澪さん」


「何?」


「今度の金曜日、また晩ごはん食べに行っていい?」


「もちろん。いつでも来て」


「やった! じゃあ、何作ってくれる?」


「何がいい?」


「えーっと……肉じゃが!」


「分かった。作るわ」


ひよりは、嬉しそうに笑った。


食事を終えて、店を出た。


マスターが、手を振ってくれた。


「また来てくださいね」


「はい、また来ます」


外は、まだ昼間の明るい光が差していた。


私たちは、駅まで歩いた。


「今日、ありがとう」


ひよりが言った。


「お礼なんていいわよ」


「ううん、言いたいの。澪さんがいてくれて、本当に助かってる」


ひよりは、真剣な顔で言った。


「私、これからも頑張るよ。色々あるけど、でも、澪さんがいるから大丈夫」


「ええ。私もいるから」


駅で別れる時、ひよりが言った。


「じゃあ、また金曜日!」


「ええ、待ってるわ」


ひよりは、手を振って、改札に消えていった。


私も、反対方向のホームに向かった。


今日は、いい日だった。


ひよりの笑顔が、少し戻った気がする。


辛いことがあっても、前を向いて歩けるように。


私は、そっと彼女を支えていこう。


それが、友達というものだから。


電車に乗りながら、私は窓の外を見た。


秋の景色が、流れていく。


来週の金曜日。


また、ひよりが来る。


肉じゃがを作って、ビールを飲んで、たくさん話そう。


それが、私たちの日常。


それが、私たちの幸せ。


そんなことを思いながら、私は家路についた。

第21話、いかがでしたでしょうか。

温かい気持ちになりましたか?

辛い展開が続いた後だからこそ、

この優しさが、心に染みますね。

二人の絆、とても素敵です。

思い出の場所に戻る。

それは、原点回帰。

そして、これからも続いていく関係を、

改めて確認する。

大切な友情の物語でした。

次回、第22話はひより視点。月曜日、桜井からの謝罪と退職の連絡。そして、気持ちを切り替えて営業に出かけるひより。でも、がむしゃらになりすぎて...。

第22話もお楽しみに。

最後まで読んでくださって、

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ