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【OLふたり、今日も明日も】  作者: 桜餅 詩音


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19/40

第19話「涙の金曜日」

第19話は、前回の続きです。

傷ついたひよりを、支える人たちが現れます。

課長の謝罪、そして澪の登場。

辛い展開から、

少しずつ温かさが戻ってくる。

そんな物語です。

ひよりは一人じゃない。

支えてくれる人がいる。

それを、感じていただけたら嬉しいです。

それでは、第19話をお楽しみください。

金曜日の朝。私は、重い足取りで会社に向かった。


昨夜は、ほとんど眠れなかった。


桜井さんのこと。


ホテルでのこと。


全部、頭から離れなかった。


会社に着いて、営業部のフロアに入ると、課長が私を見つけた。


「朝比奈、来たか」


「おはようございます……」


「会議室に来てくれ」


私の心臓が、ドキッとした。


会議室。


怒られる。


契約が取れなかったこと。


会社の期待を裏切ったこと。


全部、私のせいだ。


私は、また泣きそうになるのを必死に堪えた。


会議室に入ると、課長が先に立っていた。


私は、覚悟を決めて、ドアを閉めた。


「すみません、課長。契約が……」


「朝比奈」


課長は、私の言葉を遮った。


そして、深々と頭を下げた。


「すまなかった」


「え……?」


私は、目を疑った。


課長が、謝っている。


「今朝、先方からクレームの電話が入った」


「クレーム……?」


「ああ。桜井拓也という男からだ」


その名前を聞いて、私の身体が固まった。


「何でも、うちの社員が無理やりホテルに連れ込もうとしたとか、そういう言いがかりをつけてきた」


「そんな……!」


「安心しろ。俺は信じてない。お前がそんなことするわけがない」


課長は、顔を上げた。


「それで、事の顛末を聞いた。お前が騙されたこと。危ない目に遭いそうになったこと」


課長の目が、真剣だった。


「朝比奈、すまなかった。俺が、お前に無理をさせた」


「課長……」


「お前の成長のために、全てを任せすぎていた。もっと細かく報告させていれば、こんなことにはならなかった」


課長は、また頭を下げた。


「本当に、申し訳ない」


私は、涙が溢れてきた。


「すみませんでした……!」


私も、頭を下げた。


「私が、馬鹿だったんです……! 騙されて……ホテルまで行って……!」


「朝比奈、お前は悪くない」


「でも……!」


「お前は、一生懸命やってただけだ。悪いのは、あの男だ」


課長の声が、優しかった。


「それに、俺だ。『可愛いから近づけ』なんて、そんな指示をした俺が悪い」


「課長……」


「朝比奈、今日は仕事しなくていい。週末だし、ゆっくり気持ちを立て直してくれ」


「でも……」


「いいから。お前は、もう十分頑張った」


私は、大号泣してしまった。


課長は、黙って私が泣き止むのを待っていてくれた。


会議室を出て、私は自分のデスクに戻った。


仕事をしなくていいと言われても、何をしていいか分からない。


とりあえず、デスク周りの掃除を始めた。


書類を整理して、引き出しを片付ける。


気持ちを整理するために、手を動かした。


そうしていると、少しずつ落ち着いてきた。


その時、営業部のフロアに、見覚えのある人が入ってきた。


「澪さん……?」


澪さんだった。


仕事中に、澪さんが私のところに来るなんて、珍しい。


「ひより」


澪さんは、まっすぐ私のところに歩いてきた。


そして、いきなり私を抱きしめた。


「え……澪さん……?」


「話は聞いたわ。ごめんね、何も知らなくて」


澪さんの声が、優しかった。


私は、また涙が溢れてきた。


「澪さん……!」


「大丈夫。もう大丈夫だから」


澪さんは、私の頭を撫でてくれた。


周りの視線が気になったけど、今はどうでもよかった。


澪さんの温もりが、嬉しかった。


「ごめんなさい……私、馬鹿で……」


「ひよりは悪くない。悪いのは、あの男よ」


澪さんは、私を離して、私の顔を見た。


その顔が、すごく怖かった。


いつもの落ち着いた澪さんじゃない。


目が、冷たく光っている。


「澪さん……?」


「もう大丈夫だから……」


「え……?」


「じゃあ、仕事に戻るわね。何かあったら、いつでも言って」


澪さんは、そう言って、営業部を出て行った。


私は、呆然とその後ろ姿を見送った。


澪さんのあんな怖い顔、初めて見た。


でも、不思議と安心した。


澪さんがいてくれる。


それだけで、私は救われた気がした。


私は、また掃除に戻った。


デスクを綺麗にして、書類を整理して。


少しずつ、気持ちが落ち着いていく。


窓の外を見ると、秋の空が広がっていた。


今日は、ゆっくり休もう。


そして、また月曜日から、頑張ろう。


騙されたこと。


傷ついたこと。


全部、忘れないけど、乗り越えよう。


私は、そう決めた。


そして、澪さんのことが、少し気になった。


あの怖い顔。


何を考えていたんだろう。


でも、澪さんなら、きっと大丈夫。


そう信じて、私はその日を過ごした。

第19話、いかがでしたでしょうか。

少し、救われましたか?

課長の謝罪、温かかったですね。

そして、澪の登場。

でも、澪の顔が怖かった...。

そう、澪さんは怒っています。

大切な友達を傷つけられて。

次回、第20話は澪の視点。土曜日、澪の復讐が始まります。冷静に、でも容赦なく。理詰めで追い詰め、最後は...。スカッとする展開です。澪のかっこよさが爆発する、第20話です!お楽しみに!

最後まで読んでくださって、

ありがとうございました。

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