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門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層との交渉

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第97話「反対派議員との対話」

ウォリック議員の執務室は、議事堂の三階にあった。


 俺が「話を聞かせてください」と申し入れると、一日置いて「来い」という返事が来た。


 扉を開けると、ウォリック議員が机の前に座っていた。書類を読んでいた。俺が入っても、すぐには顔を上げなかった。


 一分ほど待った。


 ウォルリック議員が顔を上げた。


「座れ」


「はい」


「何の話だ」


「通路設計の話です。迷宮と外をつなぐ安定した経路を作る。その合意を取りたい」


「今日の来訪の目的が、それか」


「はい。ただし——合意の前に、何か聞きたいことがあれば、まずそれを聞かせてください」


 ウォリック議員が少し眉を上げた。


「……珍しいことを言う。普通は説得から入る」


「聞く前に話しても意味がないです」


「なぜ」


「聞かないと、何が引っかかっているかわからない。引っかかりが残ったまま合意しても、後で問題になる」


 ウォリック議員がしばらく俺を見た。


「……なぜ、私に声をかけた」


「反対派のまとめ役だからです。あなたが合意すれば、委員会を実質的に動かせる」


「お世辞には聞こえないが——」


「お世辞ではありません。反対した理由がある人間が合意した方が、賛成しか知らない人間の合意より重い」


「……なるほど」



 



「一つだけ聞かせてくれ」とウォリック議員が言った。


「どうぞ」


「私に、なぜ話を聞きに来た」


 俺は少し考えた。


「あなたが「証明できないではないか」と言ったからです」


「どういう意味だ」


「「ありえない」とは言わなかった。「証明できないではないか」と言った。その言い方は——証明できれば、可能性を検討する余地があるという意味だと受け取りました」


 ウォリック議員が少しの間、口を開かなかった。


「……それを拾ったのか」


「拾いました」


「私自身、そういうつもりで言ったかどうか——わからない。ただ反論したかっただけかもしれない」


「わかりません。でも、俺には可能性として届きました」


「……そうか」

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