↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層との交渉

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
92/315

第92話「同じ目で見られる」

「なぜ平気か」と俺は繰り返した。


「そうです。王国内での立場が悪くなる可能性について、あなたは気にしないのですか」


「気にすることが、何かを変えますか」


「……気にすることで、対策を立てることができます」


「対策は立てます。立てるけど、気にはしない」


「違いは」


「気にする、というのは——「そうなったら嫌だ」という部分だ。嫌でもなる時はなる。なったときに対処すればいい」


 カーラが少し黙った。


「……あなたは、感情を持たないのですか」


「持ちます。ただ、感情で結論を出すと、聞けなくなる。「嫌だ」という感情があると、「嫌なことを言う人間」の話を聞けなくなる」


「感情を切り離しているのですか」


「切り離していない。置いておく、という感じです。後で取り出す」



 



「舐められてるほうが聞いてもらいやすい。ずっとそうだった」


 俺はそう言ってから、少し考えた。


「ランク外の門番が来ました、と言われたとき、議員たちは俺を舐めた。でも、舐めていると——「どうせ何も言えないだろう」という油断が生まれる。その油断が、聞く余裕になる。ちゃんとした身分の人間が来るより、舐められた方が、言葉が届く場合がある」


「それは——意図してやっていることですか」


「最初はそうじゃなかった。ただそうなっていた。でも、今は使えることだと思っています」


 カーラが「……そうですか」と言った。


「カーラさんは」と俺は続けた。「「魔物に肩入れしている」と思われることを、気にしていますか」


「気にしています」


「どういう部分で」


「私は軍人です。軍人は信頼で動く。信頼が崩れると——動けなくなる」


「なるほど」と俺は思った。


「それは、本当の問題です」


「そうです。だから——」


「だから俺が前に出て、あなたの信頼が傷つかないようにする、という形もありますが」


「……それは」


「嫌なら言ってください。別の方法を考えます」


 カーラが少しの間、沈黙した。


「……今は、まだわかりません。ただ、あなたがそういう考え方を持っていることは——わかりました」


「わかってくれれば十分です」



 



 翌朝、カイルが「俺は第四迷宮に戻る」と言った。


「ナハトが待っている」


「そうか。護衛は」


「要らない。剣士だ」


「そうだな」


「ヴォルトとの話は——次は俺も聞きたい」


「繋げてみます。スキルがどこまで拡張できるか、わからないが」


「わからないけどやってみる、がお前の基本か」


「そうだ」


「……そうか。じゃあ、俺もそうする」


 カイルが出発した。


 ゴブが「あいつ、変わったな」と言った。


「そうだな」


「俺が最初に会ったとき、目が違った。「俺の方が強い」という目をしていた」


「今は」


「今は——「何かを探してる」目をしてる。まだ見つかってないが、探してる」


「それは」と俺は言った。「いい変化だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。