表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
副司令と新しい戦場

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/73

第70話「戻る決断」

核の前に、一人で座った。


 バインとゴブは十八体のいる第十二層に戻った。カイルは北口方面に向かった。


 静かだった。


 九十秒に一度、石柱が振動する。遠くで地震がある、という感触に似ている。足の裏から来る。


 俺はスキルを展開したまま、ただ待った。


 【迷宮管理Lv.7:迷宮核——残存パターン検出。読み取り試行中……】


 試行中、という表示は珍しい。スキルが能動的に何かをしている感覚だ。


「聞こえるか」


 俺は声に出して言った。


 返事はなかった。


「ドランではないのはわかってる。でも、何かがいる」


 また九十秒が経った。振動が来た。


「その振動が信号なら、別の方法で返してほしい」


 俺はスキルのデータを見続けた。


 変化はなかった。


 十分、二十分と過ぎた。


 俺は「まあ」と思った。「すぐ答えが出ないこともある」



 



 一時間後、スキルが動いた。


 【迷宮管理Lv.7:迷宮核——残存パターン読み取り開始。言語変換:非対応——概念として受信します】


「概念として、か」


 感覚が来た。言葉ではない。映像でも音でもない。


 何かが——眠っている、という感覚。


 眠っているが、目覚めようとしている。


 そして——外を探している。


「外を探している、というのは」


 また感覚が来た。


 「窓」。


 「窓がなくなった」。


「窓が——」


 俺はドランのことを思い出した。


 ドランは「門は外への唯一の窓口」と言っていた。「外が見えなくなると、迷宮の中で恐慌が起きた」とも。


「窓を探している。つまり、外を見たい」


 スキルが少し変化した。


 【迷宮管理Lv.7:迷宮核——概念読み取り継続。応答可能範囲:限定的】


 限定的でも、応答できる、ということだ。


「わかった。俺が窓になる。ただし、今の核の不安定は、何とかしてほしい」


 感覚が来た。


 「できない。外が見えないと、落ち着けない」


「逆だ。落ち着けば、外を見られる」


 しばらく何もなかった。


 それから——振動が、一度だけ、大きく来た。


 スキルが変化した。


 【迷宮管理Lv.7:第七迷宮第十七層/核出力——変動幅±3.1%に収束中】


 数値が落ちた。六パーセントから三パーセントへ。


「通じた、か」


 俺は立ち上がった。



 



 その夜、カイルが戻ってきた。


「北口から東に二キロのところに洞穴群があった。規模は小さいが、閉鎖環境は作れる。バインも「使えます」と言っていた」


「十八体、全員入れるか」


「少し窮屈だが、入る。移動時間は半日以内だ」


「それは助かった」


 カイルが俺の様子を見た。


「核の方はどうだった」


「少し通じた」


「話せたのか」


「話す、というより——概念でやり取りした。「窓がほしい」と言ってきた。「窓になる」と言ったら、少し落ち着いた」


「窓」


「外が見える場所、という意味だ。俺が定期的に来れば、安定するかもしれない」


「じゃあお前はここを離れられないのか」


「……難しくなった」


 カイルが「そうか」と言った。


 俺は「第四迷宮の話は、ひとまず保留だ」と言おうとした。


 その前に、スキルが動いた。


 【迷宮管理Lv.7:第四迷宮——緊急アラート受信。管轄外情報として通知——「調停者死亡。代替を求む」】


 俺はカイルを見た。


 カイルも俺を見た。


「……何の通知だ、それは」とカイルが言った。


「第四迷宮の調停者が死亡した。代わりに来てくれと言っている」


 しばらく、二人とも黙っていた。


「俺が——行くか」とカイルが言った。


「一人でか」


「お前がここを離れられないなら、他に誰がいる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ