表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
副司令と新しい戦場

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/81

第69話「維持モードの限界」

第十七層に着いたのは昼過ぎだった。


 バインが出迎えた。表情は平静だったが、目の下に疲れが出ている。三日以上、ここで張り付いていたのだろう。


「アシダさん、よく来てくれました」


「状況を報告してくれ」


「はい。核の出力変動は、昨夜からさらに拡大しています。現在の変動幅は±六パーセント。一時間前の観測では一瞬、九十九・四まで上がりました」


 俺はスキルを展開した。


 【迷宮管理Lv.7:第七迷宮第十七層/核状態——不安定(変動幅±6.1%)(最大値99.4%観測済み)】


「崩落の兆候は」


「直接的な兆候はありません。ただ——変動のパターンが規則的になってきています」


「規則的、というのは」


「九十秒に一度、山が来ます。正確に。それ以外の変動は不規則です」


 バインが手帳を出した。観測の記録が、細かい数字で並んでいた。


「九十秒ごとに、一回だけ大きく変動する。その間隔が、昨夜から一定になりました」


 俺は記録を見た。


「これは信号だ」とカイルが言った。


 俺はカイルを見た。


「信号?」


「規則的に変動する、ということは——何かを送っている、ということだろ」


「……なるほど」


 バインが「そういう解釈もできます」と言った。「私は「呼吸が規則化した」という感覚で観測していましたが、確かに」


「送っているとすれば、何を送っている」


「わからない。ただ、九十秒間隔で発信している何かがある」


 俺は核の前に近づいた。


 六角形の石柱。ドランの刻んだ記録が刻まれた面。


 白い光がない。光は、ドランと一緒に消えた。


 代わりに、石柱の表面が微妙に振動していた。


「ドラン?」


 返事はなかった。


 当然だ。


 でも——別の反応があった。



 



 スキルが動いた。


 【迷宮管理Lv.7:迷宮核——残存パターン検出。残存データ量:不明。読み取り可能:現在不可】


「残存パターン」と俺は声に出した。


「何ですか」とバインが聞いた。


「ドランが消えた後、迷宮核に何かが残っている。スキルが検出しているが、読み取れていない」


「何が残っているんだ」とカイルが聞いた。


「わからない。でも、それが九十秒ごとに変動を起こしているとすれば——」


「呼びかけている、ということか」


 俺は「そうかもしれない」と思った。


「カイルの言い方を借りると、信号を送っている」


「どこへ向けて」


「おそらく、外へ」



 



「アシダさん」とバインが静かに言った。「一点、お伝えしなければならないことがあります」


「何ですか」


「残留の十八体の適応状況です。予定では今週中に全員が第一段階を完了するはずでしたが——核の不安定が続いているせいか、三体が体調不良になっています。迷宮環境の変化が影響していると思われます」


「深刻ですか」


「今のところ、軽度です。ただし——核の変動が±十パーセントを超えると、影響が出る可能性があります」


「±十パーセントになるまで、どのぐらいの時間がありますか」


 バインが手帳を見た。


「現在の変動幅の拡大速度を計算すると——あと七日、保てないかもしれません」


 七日。


「七日で、全員を外に出せるか」


「……難しいです」


 俺は「わかった」と言った。


「ゴブ」


「何だ」


「残りの十八体を、どう動かすか。バインと相談して、今夜中に案を出してくれ」


「わかった」


「カイル」


「何だ」


「北口の周辺、使えそうな閉鎖空間を探してくれ。見つけたら、バインと一緒に適応環境を作れるか確認してくれ」


「俺が?」


「お前が行って、判断してくれ」


 カイルが少し間を置いて、頷いた。


「……わかった。やってみる」


「俺は核の「残存パターン」と何とか話を試みる」


「ドランがいないのに、話せるのか」とカイルが聞いた。


「わからない」と俺は答えた。「でも、聞かないよりはいい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ