第67話「カイルとの再会、そして緊急通信」
通信を受けたのは夜の十時過ぎだった。
『アシダ、聞こえるか』
「聞こえる。どうした」
『ドランの維持モードに、変化があった』
俺は立ち上がった。
「どういう変化だ」
『出力の数値が、また動き始めた。「観測中」のままだったやつが——』
ゴブが少し間を置いた。
『「不安定」に変わった』
【迷宮管理Lv.7:第七迷宮第十七層/核状態——観測中→不安定移行】
スキルが、遅れてデータを送ってきた。
「ゴブ、今どこにいる」
『第七層の出口付近。北口まであと一時間ぐらいのところ』
「残留の十八体は」
『まだ第十二層。バインと一緒にいる。適応の第二段階が今夜から始まる予定だった』
「今夜は中断しろ」
『それを言いたくて通信した。バインは「続けられる」と言ってるが』
「バインに聞いてくれ。今夜の作業が中断した場合と、不安定な核の近くで作業を続けた場合と、どちらのリスクが高いか」
短い間があった。
『……「中断します」と言った』
「バインが「中断します」と言ったのか」
『はい。珍しいな』
「珍しい状況だからだ。ゴブ、今すぐ第十二層に戻れるか」
『走れば四十分』
「走ってくれ」
『わかった。アシダはどうする』
「今夜中に出発する」
『王都から第七迷宮まで馬で三日かかるだろ』
「最短で行く。カーラに手配を頼む」
『カーラさん、そういうことできるのか』
「やってもらう」
ゴブが少し間を置いた。
『俺、また戻ることになったな』
「まだ戻れていないが、そうだ」
『……そうだな』
カーラへの連絡は深夜になった。
カーラは眠そうな声で通信を受けたが、状況を説明すると声の質が変わった。
「リレー馬の手配をします。王都の西門から出れば、中継点が三箇所あります。通常三日の行程を二日以内で行けます」
「できますか」
「できます。夜明け前に整えます」
「ありがとうございます」
「お礼は後で聞きます。一つだけ確認です」
「何ですか」
「カイルも連れて行きますか」
俺は少し考えた。
「連れて行く」
「理由を聞いてもいいですか」
「今のうちに、実際の状況を見ておいた方がいい」
「危険があるかもしれない」
「あるかもしれない。でも、安全な場所でしか見られないなら、それはただの見学だ」
カーラが少し黙った。
「……わかりました。準備します」
カイルに話したのは、それから十分後だった。
カイルは眠そうな顔で扉を開けたが、俺の顔を見て目が変わった。
「何かあったか」
「第七迷宮の核が不安定になった。今夜出発する」
「俺は」
「来るか」
カイルが少し間を置いた。
「一つだけ聞かせてくれ。俺に何ができる」
「今は、わからない」
「わからないのに連れて行くのか」
「お前が何かできるかどうかは、行ってみないとわからない。でも、来ないよりは来た方がいいと思った」
カイルがしばらく俺を見た。
「……お前が言うんだったら、来る」
「今回は聞く前に答えが出た」
「うるさい」
カイルが荷物を取りに戻った。
夜明け前に、俺たちは王都の西門を出た。




