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門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層の正体

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第24話「カイルの選択」

カイルが三人を連れてきた。


 全員Bランク冒険者。男二人、女一人。全員、カイルと同期か近い年齢だ。


「護衛の話があっただろ。連れてきた」


「紹介してくれ」


「マルク。剣士、Bランク。俺の同期で一番強い」


 大柄な男が頷いた。無口そうだ。


「レナ。魔法使い、Bランク。制御が得意」


 女性が軽く手を上げた。目が鋭い。


「ソウ。斥候、Bランク。索敵と情報収集が専門だ」


 細身の男が「よろしく」と言った。


 俺はゴブを呼んだ。


「ゴブ、紹介する。護衛候補たちだ」


 四人が出てきたゴブを見た。ゴブが四人を見た。


 マルクが剣に手をかけかけて——止めた。カイルに目配せされて、止めた。


 レナが「本当に話せるんだ」と呟いた。


 ソウが「情報通りだ」と手帳に何か書いた。



 



「確認したいことがある」


 俺は四人に向かって言った。


「ここで護衛をするということは、迷宮の民と共同で動くことが増えます。それに問題がある人は、ここで断ってもらってかまいません」


 沈黙。


 マルクが口を開いた。


「俺は問題ない。カイルが信用しているなら信用する」


「レナは」


「魔物と一緒に仕事するのは初めてだが——」


 レナがゴブを見た。ゴブが真顔で見返した。


「——まあ、やってみる」


「ソウは」


「情報が欲しい。迷宮内部の情報を提供してもらえるなら、何でもやる」


 現実的だ。


「提供します」


「なら問題ない」



 



 カイルが俺を引っ張った。少し離れた場所で、声を落として言った。


「……俺も残ろうかと思っている」


「残る、とは」


「ここに。護衛として」


 俺は少し考えた。


「Bランクだと試験が続くんじゃないか」


「Aランク試験は第七迷宮の35層到達だ。ここにいた方が、むしろ近い」


「それを口実にしているだろ」


 カイルが少し黙った。


「……そうかもしれない。でも、なんか——このままギルドで普通の攻略をしていると、お前のやっていることを遠くで見ているだけになる気がして」


「それの何が問題だ」


「問題じゃないけど——つまらない」


 俺は少し笑った。


「そういう理由なら歓迎だ」


「本当か」


「Aランクの実力があれば護衛として頼りになる。それに——本音で話す人間は信頼できる」


 カイルが照れたように頭を掻いた。


「……お前にそういうこと言われると、なんか恥ずかしいな」


「なんでだ」


「お前がいつも感情なさそうな顔をしているから」


「感情はある。ただ出し方を知らない」


「同じじゃないか」



 



 五人の護衛が揃った。


 カイル、マルク、レナ、ソウ、そしてドルグが時々来る。


 施設の外に詰所を作った。ルーナ村の大工に頼んだ。また銀貨が出た。


 ゴブが詰所を見て言った。


「人間がこんなに増えた」


「増えた」


「居心地は——悪くない」


「そうか」


「子供たちが人間に慣れてきた。マルクが木の棒で遊んでやっていた」


「無口な奴が子供と遊んでいるのか」


「無口だが優しい。子供はわかる」



 



 じいさんが草案を仕上げた。


 三者の契約、骨格案。全五章、二十三条。


 俺が読んだ。


 第一章:この世界と霧の世界の関係の定義


 第二章:霧の帰還条件と手順


 第三章:迷宮の民の地位と外界との関係


 第四章:人間が守るべき義務


 第五章:調停者の役割と継承


 第五章が俺を少し止めた。


「継承?」


「調停者は一人じゃ続かない。次の世代に引き継ぐ仕組みが必要だ」


「俺がずっとやるつもりだったが」


「何十年も続くぞ。霧が帰っても、世界の窓口は必要だ。お前が老いた後も」


 俺は少し考えた。


「……そうか。その話は後で考えよう」


「いつまでも十七歳ではないぞ」


「わかっています」



 



【迷宮管理 Lv.4(経験値:178/500)】



 



 ◆ 次話「第25話:草案を巡る攻防」

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