第119話「合意を取る」
また合意が必要だった。
今度の当事者は——ヴォルト、フォル、カーラ、カイル。セルディン議員。そして第四迷宮のヴェグと、カイルが話しているもう一人の「光」。
「全員から取れるか」とゴブが言った。
「取れるかどうか——聞かないとわからない」
「また「聞いてみる」か」
「それしかない」
ヴォルトから始めた。
「接続点を設計したい。全当事者の合意が必要だ」
「——合意する。「繋がりの場所」として作るなら——封印が「壁」から「道」になったときと同じ意図だ」
「そうだ」
「——ただ——一つ確認させてくれ」
「何だ」
「——接続点が作れれば、フォルたちはそこにいる。俺たちも声が届く。でも——物理的に内側に入ってくることは」
「フォルに聞いていないが——フォルは「外に出たいわけじゃない」と言っていた。「声が届く場所」が欲しいと言っていた」
「——それなら、構わない。「声が届く」という意味なら——合意する」
フォルに合意の意思を確認した。
【受信:「合意する。「声が届く場所」は——俺たちが求めていたものだ】
「他の者たちは」
【受信:「今、伝えている。全員ではないかもしれないが——フォルが止まってから、話を聞く者が増えてきている。半分以上は合意すると思う】
「半分以上でいいのか」
【受信:「俺たちは「塊」として動いてきたが——個々の意思がある。合意しない者もいるかもしれない。でも——合意しない者は、接続点に来なければいい。来る者は来る。それでいい】
「それでいいのか」
【受信:「強制はできない。でも——「行きたい者は行ける場所がある」なら、時間が経てば来る者が増えるかもしれない】
「そうかもしれない」
カイルに第四迷宮の状況を確認した。
「ヴェグと、もう一つの光は——合意できそうか」
「聞いてみた。ヴェグはすぐに合意した。もう一つの——こっちで「シャル」と呼んでいる光は、三日かかったが合意した」
「三日かかった」
「疑っていたが——俺とのやり取りが続いて、信用してくれた」
「お前も聞けるようになってきたな」
「……少し。まだお前ほどじゃない」
「十分だ」
セルディン議員への書簡を書いた。
経緯を全部書いた。フォルとの接触。「なぜ封印を押していたのか」という理由。「出ていい」という言葉で止まったこと。接続点の設計が必要なこと。全当事者の合意が必要なこと。
最後に一行書いた。
「議会の代表として、合意をいただけますか」
送ったのは前日の夜だった。返答は翌朝来た。
「アシダ殿。来る」
短かった。
セルディンが来た。今回は従者なしだった。一人だった。
「書簡を読んだ」とセルディンは言った。
「読んでいただけましたか」
「読んだ。全部は信じていない。でも——全部を疑う気にもなれなかった」
「なぜですか」
「前回来たとき——あの子供のゴブリンを見た。怖かったが——怖ろしいとは感じなかった。それが引っかかった。今回、書簡を読んで——「押す理由が知りたかっただけだった」という部分が、引っかかった」
「どう引っかかりましたか」
「わかる気がした。「なぜ」を知りたくて、でも聞けなくて——ただ押し続ける。それは——人間もやることだ、と思った」
俺は「そうですね」と言った。
「合意します。ただし——」
「ただし」
「議会の代表としてではなく——この場にいる一人の人間として。議会の名前はまだ出せない」
「それでも十分です」
「……本当に十分なのか」
「今は十分です。議会の名前が出るのは——もう少し後でいい。今は、動ける人間が動く」
翌日、スキルを展開した。
【迷宮管理Lv.8——「接続点設計」起動条件:合意者確認中——】
確認が終わった。
【確認完了。合意:ヴォルト・フォル(過半数)・ヴェグ・シャル・カーラ・カイル・セルディン・レン。「接続点設計」起動可能状態】
「起動していいか」
全員が頷いた。
「起動する」
【「接続点設計」——起動】
封印の壁に——変化が起きた。




