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門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層との交渉

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第115話「理由が知りたかった」

「「なぜ出てはいけないのか」の答えが知りたかった——それが三百年分の力の正体だったのか」


 俺はその言葉を受け止めた。


「フォル。今から答えを言う。聞いてくれ」


【受信:「……聞く】


「お前たちは「出てはいけない」わけじゃなかった。封印を維持していたヴォルトたちも、「出るな」という意思でやっていたわけじゃなかった。互いに——相手が何者かわからなかった。怖れていた。それが三百年続いた」


【受信:「……つまり——俺たちは、ただ怖れられていただけか】


「最初はそうかもしれない。でも今は違う。俺は今、フォルと話している。怖れていない」


【受信:「……なぜ怖れない】


「聞いたから。話を聞けば、怖れる理由がなくなることが多い」


【受信:「……それが、お前の「口癖」の意味か。「聞いてから判断しよう」という】


「そうだ」


 長い沈黙があった。



 



 カーラが俺の隣に来て「フォルは今、どういう状態ですか」と聞いた。


「カイルに聞いてくれ。俺には感知方法が違う」


 カーラがカイルに聞いた。


「……今まで見た中で、一番静かです」とカイルが言った。「揺らいでいない。ただ——沈んでいる感じがする」


「沈んでいる、というのは」


「悲しい、とは違う。何か重いものを受け取って、処理している感じ。落ち着いているが、軽くはない」



 



 フォルから返答が来た。


【受信:「……俺たちは——三百年、「なぜ」を聞けなかった。お前が来て——初めて聞けた。答えも来た。それで——何かが変わった気がする】


「何が変わったと感じる」


【受信:「……動く理由がなくなった。押し続ける必要が——今はない。「なぜ出てはいけないのか」の答えが来た。「出てはいけないわけじゃなかった」という答えが。だから——押す必要が、もうない】


「封印を押すのを——止めるということか」


【受信:「そうだ。俺一人では決められないが——俺はそう思っている】


「一人では決められない、というのは、他の「光」がいるからか」


【受信:「俺たち複数で動いてきた。俺が「止まる」と言っても、他が止まらなければ意味がない。でも——話せることが伝われば——変わるかもしれない。伝える方法がないが】


「俺が——他の「光」と話せるか」


【受信:「……わからない。俺と話せたのは——お前のスキルが俺の「声」に届いたからだ。他の者も届くかどうかは、わからない】



 



 カイルが「俺が見える視点で確認する」と言った。


「何か見えるか」


「他の「光」が——今、フォルの方向に向いている。フォルが変化しているから、気づいているのかもしれない」


「気づいている」


「ただ、まだ遠い。近づいてくる感じはない」


「フォルが変わったことで——他も変わる可能性はあるか」


「わからない。でも——無視はしていない感じがする」



 



 俺はフォルに言った。


「他の「光」が——お前の方を向いている。気づいているかもしれない」


【受信:「……そうか。俺が「止まった」ことで、何かを感じたかもしれない】


「伝える方法がない、と言っていた。ただ——こちら側と話せることが伝わる方法はあるかもしれない」


【受信:「どういう方法だ】


「お前が「止まっている」ことを、他の者が見ている。お前が「何かを受け取って変わった」ことが——伝わっているかもしれない。行動で伝わる可能性がある」


【受信:「……「聞かないより聞いた方が得だ」ということか。お前の言い方で言えば】


「そういうことだ」


【受信:「……お前は本当に、その言い方が染みついているな。どこで覚えた】


「生まれつきかもしれない」


【受信:「……「生まれつき」。俺たちにも、生まれつきのものがある。動くこと。前に進もうとすること。それが「口癖」と呼べるなら——俺たちの口癖は「前に進む」だったかもしれない】


「だとしたら——今は止まっている」


【受信:「止まっている。初めて、止まっている。それは——悪くない】

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