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門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層との交渉

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第112話「四人で降りる」

翌朝、四人で封印層に向かった。


 レン。ゴブ。カイル。カーラ。


 カーラは甲冑を脱いでいた。


「なぜ脱いだ」


「武装していると——攻撃的に見えるかもしれないと思いました」


「向こうには見えないが」


「でも——私の気持ちの問題です」


 俺はそれ以上何も言わなかった。


 カイルが「俺も剣は置いてきた」と言った。「同じ理由だ」


「俺は最初からない」とゴブが言った。「俺はゴブリンだからな。爪しかない」


「爪は置けないな」


「置けない」



 



 封印の壁の前に立った。


 フォルを呼んだ。


「来た。今日は四人いる」


【受信:「……人数が増えた」】


「俺以外に、三人。一人は「見える」者。一人は「感じる」者。一人は——人間の側の代表者だ」


【受信:「代表者?」】


「外の世界で、俺たちの行動に責任を持つ者だ。お前と話し合う席に——正式な立場で来た」


【受信:「……正式な立場。それに意味があるのか」】


「意味があるかどうか、来てから決めた。まあ——聞いてから判断しよう」


【受信:「……またその言葉だ」】


「気になるか」


【受信:「気になる。その言葉が出るたびに、俺は止まる」】


「なぜ止まる」


【受信:「わからない。でも——何かが引っかかる」】



 



 ゴブが「俺が話したい」と言った。


「今だ」と俺は言った。「ゴブ、話せ。俺が届ける」


 ゴブが封印の壁に近づいた。人間語で言った。俺がスキルで翻訳して届けた。


「俺はゴブだ。この迷宮の難民だ。二年前、外の脅威——お前たちに追われて、第23層から逃げてきた」


【受信:「……追われた、と言ったか」】


「そうだ。お前たちが来た。俺たちは逃げた。逃げた先がここだった」


【受信:「……俺たちが来た場所から逃げたのか」】


「ああ。お前たちに会ったことはない。顔も見えない。でも——お前たちが近づいてくる「気配」はわかった。だから逃げた」


 長い沈黙があった。


【受信:「……お前たちを、追ったつもりはなかった」】


 俺は受け取った。ゴブに伝えた。


「追ったつもりがなかったらしい」


「じゃあ何をしていたんだ」


「聞く」


 俺はフォルに言った。「「追うつもりはなかった」とはどういう意味だ」


【受信:「俺たちは——前に進んでいただけだ。目的があって前に進んでいたわけじゃない。ただ——前に何かがあって、そこに向かっていた」】


「前に何があったんだ」


【受信:「……封印があった。その先に、何があるのか——知りたかった」】



 



 カイルが「フォルの光が揺れている」と言った。小声で。


「強く揺れているか」


「さっきより大きく揺れている。でも——攻撃的な感じじゃない。何か——困惑しているような感じがする」


「困惑」


「さっきのゴブの話で、何か想定外のことがあったんだと思う」


 俺はフォルに言った。


「「封印の先に何があるのか知りたかった」と言ったな。それが、封印を押していた理由か」


【受信:「……そうかもしれない。正確には——理由というほどはっきりしていなかった。ただ、そこに封印があった。内側に何かがある。それを確かめたかった」】


「確かめた上で、どうするつもりだった」


【受信:「……考えていなかった。確かめることしか、考えていなかった】


「確かめたかっただけか」


【受信:「破壊したかったわけじゃない。入りたかったわけでもない。ただ——中に何があるのかを——知りたかった】


 ゴブが「それを聞いてどうする、調停者」と言った。


「俺も聞いていた。まだ整理できていない。でも——」


 俺はフォルに言った。


「今、封印の内側に何があるかを——教えてやろうか」


長い沈黙があった。


【受信:「……聞きたい」】

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