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門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層との交渉

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第111話「どうすれば聞く」

三日間、三人で封印層に通い続けた。


 毎日、フォルは「いた」。毎日、短いやりとりがあった。会話が少しずつ、長くなってきた。


「向こうが——慣れてきている気がする」とカイルが言った。


「俺もそう思う。最初は返答まで時間がかかっていたが、今は少し速くなっている」


「でも——本質的な部分はまだ話してくれない」


「本質的な部分、とは」


「なぜ封印を押していたのか。外から何を目的としてここにいるのか」


「そうだな。「止まれた」とは言っていた。理由があるかどうか考えた、とも言っていた。でも——「なぜここにいるのか」は、まだ答えていない」



 



 ゴブが「俺に考えがある」と言ったのは、その夜だった。


「聞く」


「フォルは、「なぜ俺が話に来るのか」を不思議に思っている。「なぜそこまでするんだ」と何度も聞いてくる。でも調停者の答えが——俺には今ひとつ響かないんじゃないかと思う」


「俺の答えが」


「「聞かないと損だから」「聞いてから判断するから」。それはお前の話だ。お前がなぜ来るのか、の説明だ。でも——フォルが本当に聞きたいのは」


「フォルが何者かを誰かが聞いているか、だと思う。「俺たちは何なのか」が聞きたいんじゃないか」


「調停者が言うとそうなるが——俺が言うと違う」


「どう違う」


「俺も難民だ。第七迷宮の中にいる難民だ。外の脅威に追われて逃げてきた。フォルも——何かから来たはずだ。何かを求めてここにいるはずだ。俺が同じ立場として話せば——「なぜここにいるのか」を聞きやすいかもしれない」



 



 俺はその提案を聞いた。


「お前が話す、ということか」


「俺にはスキルがない。フォルに届くかどうかわからない。でも——お前が翻訳してくれれば、俺の言葉を伝えられる」


「俺が翻訳して届ける。フォルの返答を俺が受けて、お前に伝える」


「そういうことだ」


「カイルは「見える」からフォルの状態を確認できる。俺が翻訳して届ける。ゴブが「感じる」で補う。三人でやれば——今より多くのことができる」


「うまくいくとは限らない」


「わかってる。でも——試してみないと損だろ」


 ゴブが俺の言葉を真似た。俺はそれに気づいた。


「うまくなったな」


「三ヶ月、調停者と一緒にいたからな」



 



 翌日、カーラに状況を伝えた。


「ゴブが自分で話す、ということですか」


「翻訳を通してだが。ゴブが難民として、同じ立場から話しかける」


「それは——効果があると思いますか」


「わからない。ただ、俺が「聞かないと損だ」と言い続けても、フォルには「お前の話だ」と思われているかもしれない。別の視点から来た言葉は、刺さり方が違うかもしれない」


「なるほど」


「カーラ」


「何ですか」


「カーラも来るか」


 カーラが「……私が封印層に?」と言った。


「人間の側から話す人間がいた方がいい。ゴブが難民として話す。俺が翻訳する。カーラが王国の人間として——「王国も協力する」という意思を見せる」


「でも——議会の許可が」


「セルディン議員はここに来た。見た。帰った。議会の動向はどうだ」


「……今、内部で議論中です。セルディン議員が報告したことで、「封印問題は実在する」という認識は広がっています。ただ——行動に移すかどうかはまだ」


「議会が動く前に、俺たちが動く必要があるかもしれない」


「議会の許可なしに」


「許可を待っていたら、封印強度が30%を切る前に動けなくなるかもしれない。封印が消えたとき、「許可を待っていた」という理由は——意味を持たない」


 カーラが長い間、黙った。


「……わかりました。行きます」


「いいのか」


「私が決める、ということです」


 それはゴブがよく言う言葉だった。

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