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門番、魔王軍と交渉する〜ハズレジョブでも、話を聞く奴が世界を動かす〜  作者: ハル
第23層との交渉

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第100話「通路が開く」

翌朝、第七迷宮の北口の前に立った。


 ゴブが隣にいた。バインが少し後ろにいた。カーラが馬で来ていた。


 カイルは第四迷宮にいる。通信で繋がっている。


「今から、通路設計を起動する」と俺は言った。


「何が起きるんだ」と聞いたのはゴブだった。


「わからない。スキルを使うのは初めてだから」


「わからないのか」


「やってみないとわからないことがある」


「まあ、そうだな」



 



 スキルを展開した。


 【迷宮管理Lv.7:通路設計——起動】


 北口の石門が、少し振動した。


 石の表面に、文字のような模様が浮かんできた。迷宮語だ。俺には読めないが、スキルが「設計中」と翻訳した。


「何かが出てきた」とゴブが言った。


「設計が始まった。少し待ってくれ」


 スキルの処理が続いた。


 一分。


 五分。


 十分。


 北口の石門の形が、わずかに変わり始めた。


 「門」の形をしていたものが——少しずつ、「道」の形になっていく。


 幅が広がる。高さが変わる。石の色が、わずかに変わる。


 「閉じているもの」が「繋がっているもの」になっていく感じ。


 ゴブが「うわ」と言った。


「見えてるか」と俺は聞いた。


「見えてる。なんか——すごい」


「どう違う」


「前の門は、「ここから先に入るな」という感じだった。今のは——「ここから向こうに行ける」という感じがする」



 



 スキルが完了した。


 【迷宮管理Lv.7:通路設計——完了。第七迷宮北口——「門」から「道」へ移行】


 石門があった場所に、「道」があった。


 物理的な形はほとんど変わっていない。でも——何かが違う。


 ゴブが前に出た。


 道の入口に立った。


 少し、中に足を踏み入れた。


 それから振り返った。


「変な感じ」とゴブは言った。


「変な感じ、とは」


「出ていい、という感じがする。前は「ここが境界だ、越えるな」という感じがあった。今は——どちら側にいてもいい、という感じがする」


「スキルが変えた感覚かもしれない」


「そうかもしれない。でも——悪くない」



 



 カーラが馬から降りて、道の前に立った。


「これが——「道」ですか」


「そうです」


「……中に入っていいのですか」


「全当事者が合意しています。入っていいです」


 カーラが一歩、中に入った。


 それから、すぐに出てきた。


「中は——」


「どうでしたか」


「……普通でした。ただの洞窟でした」


「そうだと思います。特別なことはないですが——入っていい場所になった」


「それが、大事なことですね」


「そうです」



 



 ヴォルトに接続した。


「道ができた」


「——感じる。変わった」


「外から来られるようになった。来るか」


「——来る。ただし——まずは、あなたが来てくれ」


「俺が」


「——あなたが来て、中を確認してほしい。私は——まだ「外の者が来る」ということに、慣れていない」


「わかった。行く」


 ゴブが「俺も行く」と言った。


「二人で行くのか」


「ドランがいなくなった迷宮を、俺も確認したい。それと——」


「それと」


「一人で行かせると心配だ」


「心配しなくていい」


「心配する。それは俺が決める」


 俺は「まあ、そうだな」と言った。



 



 スキルが動いた。


 【迷宮管理Lv.8:解放——「封印層接続」可能状態】


 Lv.8。


 俺はその表示を見た。


「ゴブ」


「何だ」


「スキルが上がった」


「どういう意味だ」


「第23層に——直接繋がれる状態になったかもしれない」


「それは——まずいのか」


「まずくはない。でも——」


 俺は少し考えた。


「封印層に接続できるなら——外から押しているものの状態がわかる。今まで見えなかったものが、見えるかもしれない」


「見えた方がいいのか」


「見えないよりはいい。聞かないと損だ」


 ゴブが「それを言うと思ってた」と言った。


 俺たちは道の中に入った。


 第七迷宮の、かつての「門」が、今は「道」になっていた。


 その先に何があるのか、まだわからない。


 でも——道はある。


 繋がっている。


 それだけで、今は十分だった。

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