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番外編-ミステリーイベントに行ってみよう

 今日も今日とて、図書カードに釣られた私は悪役をやることになっていた。

 本日のテーマはミステリー。

 ほっこり系ではなく最初にある人物が殺され次々と……という、よくあるアレである。


 ちなみに生き残ったものが最終的に勝利らしい。

 そしてミステリーなので犯人がわかった場合は、それを告げて犯人を捕まえれば大勝利であるらしい。

 そういった内容を聞いた私はとりあえず、手持ちの小道具を使って死体のふりをすることに。


「一番初めに犯人である私が倒されちゃっていいの?」

「大丈夫!」

「後は者で仲間を殺すのはちょっと嫌だよ?」

「あー、それ用の対策として、この謎のロープで縛ればその人は終了だから」


 と、従兄弟の蒼一兄ちゃんに言われて私は納得していた。

 そして血糊やら何やらを床に撒き散らすというか貼り付けて、後は血糊のついたナイフ、それも半分くらいに折れたものを適当に体に貼り付けて私は転がった。


「死体役~、でもこの死体役って、意外に床が冷たくてどうなんだろう?」


 夏には床が冷たくて気持ちが良いのかもしれないが、残念ながらそこまで熱くはないのでひんやりしていて寒い。

 早く皆来ないかなと目をつむっていると足音がした。

 話し声から全員一緒で行動しているようだ。


 さ、殺人犯と一緒になんて、以下略な行動にはならないらしい。

 ばらけているよりは、現在の私の状況では一緒にこのイベントを終わらせられるのでいいのだが。

 ここで現在の私の状況について説明しようと思う。

 

 ミステリーなので、例えばドラマであったりするならば犯人や殺人現場が一番初めに出てきたりする。

 それのように本来は死んだはずの人間が実は、というわけで一番初めに私の死体もどきシーンをいれることにしたらしい。

 本当は生きているのだけれどね。


 そして彼らが犯人を探しに行くと同時に、私はこの場から立ち上がり、死体を隠したかのようにして……もう一人のミントと時々入れ替わりながら、次々と捕まえていくのである。

 ちなみにもう一人のミントはこのことは伝えていないことになっている。

 というわけで早く皆、犯人探しに行かないかなと私は思った。


 だが、予定というものは常に狂うものである。つまり、


「「「犯人はここにいるミントです!」」」

「何故バレたし!」


 私は慌ててその場から起き上がり逃走した。

 そんな私を皆が追いかけてくる。

 ミステリーからサバイバル物になってしまった。


 やはり日ごろ悪役をやっているから気づかれてしまったのだろうか?


「これは改善の余地しかないわね。でも、絶対逃げ切ってやる!」


 このミントの体はハイスペックなので、容易に彼らから結局は逃げられた。

 それからは、私は次の行動を開始する。

 つまり、一人ずつ犠牲者という名のぐるぐる巻きにしていくのだ。


 さて、丁度目の前にローズマリーが歩いている。

 周りに他の人物の影はない。

 ゆっくりと音と気配を消すように、そっと背後に近づいて……。


「と、なるだろうと思って、皆で待ち伏せしてみた。ローズマリーは餌だ」


 振り返ると珍しくドヤ顔のユーマがいる。

 というか全員が揃っている。あれ、と私は思いながらも彼らが縄を手にしているのを見ながら私は、


「えっと一人に対して複数人は酷いかなって思ったり?」

「「「背後から襲いに来た人間が言うな!」」」


 とのことで、捕まってしまったのだった。









 結局このイベントはもう一捻り入れることになってしまった。

 つまり犯人役を、もう一人増やすということになったらしい。

 ちなみにそのイベントも大成功だったらしい。


 けれどそろそろ新しい物も作りたいなと蒼一兄ちゃんが言っていたのでまた変わったものを作るのだろうか?


「由紀の言動は面白いから、これからもよろしく」


 とのことだったのでこれからも私は呼ばれるのだろう。

 それは短めのミニイベントかも知れないが、最近少し楽しみになってきた気がする。

 それに図書カードは美味しい。


「次はまた違った行動をしてみよう」


 そう私は今回のことで学習したのだった。









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