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第73話【立てば争端、座れば牡丹、歩く姿はウエスタン】

 安成がバッドランドでの戦いを終えた夜、時を同じくして、その男は高層ビルの頂上にいた。


 東京の街を見下ろす男は───────。























 挿絵(By みてみん)







 「ヘイヘイ〜…!」


 〘ん?〙


 「先に出動したエージェントから聞いたよ〜?"SMOoDOのΩランクエージェントと話がしたい"んだって〜?」


 〘YOUがその…Ωランクエージェントかい?〙


 「そうだよ〜♡」


 〘呼べば来るのか…随分フットワークの軽い組織だな!〙


 「"ディストートの方から呼ばれたら"出動するに決まってるじゃん〜!」


 〘ご立派だな。この国の人間は幸せだぜ。こんなに真面目な奴らが、命をかけて戦ってくれているんだからな。〙


 先刻、先んじてこの男に出くわしたSMOoDOのAランクエージェントから、"ディストートの方からΩランクエージェントと話がしたいと交渉してきた"と報告が入った組織は、現場に最も近い場所にいた紫葡に、ドレミを通じて連絡。今しがた到着したのだった。

 さて…紫葡はディストートから呼ばれたから出動したと言ったが、もちろん実際には、ディストートから呼ばれたからといってΩランクエージェントがわざわざ出動するケースは少ない。


 つまり、紫葡がわざわざ出動した時点で、SMOoDO上層部が、この男のことをそれだけの脅威だと認めたということである。


 〘さて、お嬢ちゃん…1つお願いがあるんだが?〙


 「なぁに〜?」






















 〘そのドス黒い毒を…〙


























 挿絵(By みてみん)











 〘抑えてくれると助かるぜ。〙



 「ディストートやっつける組織のトップがディストート相手に警戒しないと思う(半径15m以内の生物なら毒に直接触れてなくても問答無用でウイルスに感染して死ぬのに…)?」


 〘そりゃ御尤(ごもっと)も、けどな〜お嬢ちゃんには悪いが…オイラにウイルスは効かんのよ。〙


 「(コイツ…なんでウイルスだとわかったの!?)」


 〘なるほどな。お嬢ちゃんの毒なら"七怪"のバカ共にも効くかもな…まあそれはともかくだ。オイラと〙


 「お話したいならツラくらい見せろヨ。」


 〘おっとゴメンよ!それは失礼したな!〙






















 挿絵(By みてみん)









 〘これで対等だな?お嬢ちゃん。こちらの要望通り、ちょっくらトークしてくれんのかい?それとも…死ぬかい?〙





 挿絵(By みてみん)





 挿絵(By みてみん)







 「ん〜…。」



しゅううううぅぅぅぅぅ…



 〘お!〙


 「なんか悪いヤツじゃなさそうだし〜?」


 〘話が通じるヤツで良かったぜ!〙


 「それで〜?ポイを呼んだ理由は〜?」


 〘あぁ…実はな────────。〙








 「…………………………は?」


───────────────────────────



 そして、時は再び現在に戻る。


《8月10日 AM7:00 ジャッキー・シルバーの館》


 「そうか…わかった。」


 ピッ


 「どうしたの?ルリ子。」


 「おぉ鶴…悪いけど東京戻るぜ。お前も来いよ。」


 〘何かあったか?〙


 「組織のディストートセンサーにΩランクの反応が出たんだと…それで紫葡のやつが向かったらしい。」


 「また…!?」


 〘立て続けだな…駆けつけた子は無事だったのか?〙


 「あぁ…それがn


 「おはよ…あれ?どうしたの3人揃って…。」


 〘早いな安成。〙


 「ごめんな安成…アタシとルリ子、ちょっと東京戻るわ。」


 「任務?」


 「えぇ…もう少しゆっくりしたかったんだけど…ごめんね。」


 少し寂しそうな顔をした安成の頭を優しく撫でる鶴。口では一言"ごめんね"と謝っただけだったが、安成への申し訳なさは、言葉にできないほどに大きいものだっただろう。


 「大丈夫…どうせ東京に戻ったら何時でも会えるしね。」


 「そうだな…ま、久しぶりの島だろ?満喫しろな。」


 〘……………お前たち、ちょっとここに並べ。〙


 「「「 ? 」」」


 言われるままに横一列に並ぶ3人を見つめるジャッキー・シルバー。


 〘……………3人とも本当に立派に育ったものだ…。〙


 「「「 ! 」」」


 〘お前たちを引き取ってから長く経った…身体も大きくなったし、1人の人間としてようやく形になってきたといったところだ。環境の変化もあるだろう…出会いがあれば別れも…まだまだこれからたくさんある。だがそんな中で、どれだけの時間が経とうと、決して変わらないものがある。〙


 「「「 変わらないもの…? 」」」


 〘お前たち3人の…娘たちへの愛だ。これから先、たとえ何があっても…私は、絶対にお前たちの味方だ。お前たちの本当の親ではない…お前たちも血の繋がった姉妹ではない…だが、本当の家族のようなものだと、私は思っている。〙


 「"ようなもの"ね…それは違うな親父。」


 〘?〙


 「本当の家族だぜ…コイツらもそう思ってるよ。」


 「ええ。」


 「もち。」


 〘……………そうだな…。〙


 「おう…じゃ、アタシと鶴は行くぜ。」


 〘気をつけてな。〙


 「パパも身体に気をつけてね。」


 〘うむ。〙


 「頑張ってね2人とも。」


 〘そうだルリ子。〙


 「ん?」


 〘ちゃんと勉強を頑張れ。〙


 「あーったよ。」


───────────────────────────


 1時間後─────。


 「えー!?ルリ子ちゃんと鶴ちゃん、帰っちゃったの!?」


 「うん。帰った。」


 〘SMOoDOのトップは忙しいということだ。〙


 「そんなぁ〜〜〜〜〜…私全然お話できなかった…。」


 「來美ちゃんは絶対会うでしょこれからも。」


 「そうだけどぉ…。」


 「てか寝すぎじゃない?あの2人。」


 「耐心ちゃんも翔馬くんもお手伝い頑張ってたから、疲れちゃったんだよ。」


 〘良い良い…東京よりも静かで深く眠れているのだろう。寝ることも子どもの仕事の1つだ。〙


 「安成ちゃんも寝たら?あんまり寝てないでしょ?」


 「いや、目ぇ覚めたからもう。」


 〘全く寝なくても3日は活動できるように鍛えている。〙


 「どんな修行したんですか?それ。」


 「全く寝なくても3日は活動できるようにする修行。」


 「とってもわかりやすい説明ありがとう。」


 〘傷も目立たなくなったな。〙


 「そうだね〜。まだ全快じゃないけど、全然生活に困ることはないかな。」


 「無理はしちゃダメだよ?」


 「はいはい。」


 〘フフフ…では今日からはゆっくり過ごすことだ。せっかくの夏休みだろう。泳ぐなら"蛤浜(海水浴場)"、観光したいなら"うどんの里"にでも行ったらどうだ?〙


 「いいじゃんハマグリ。」


 「ハマグリが取れるの?」


 〘上五島屈指のオーシャンビューだ…コバルトブルーの海と白い砂浜が美しいビーチでな。〙


 「日本の海水浴場100選にも選ばれてる。」


 「すごーい!ここから近いんですか!?」


 〘「 いや、遠いね(な)。 」〙


 「遠いんかい。」


 〘山王山を下山しなくてはいけないからな。〙


 「それは買い出しの時に痛感しましたよ…トホホ(泣)」


 「てか水着あんの?」


 「レンタルしてないの?」


 「耐心と翔馬のは買わなきゃでしょうが。」


 「あそっか…。」


 〘ハッハッハ…まあ無理に今日でなくとも良いではないか…海は逃げんからな。〙


 「じゃあ今日は買い物しようよ。時間空いたらカラオケとか行けばいいし。」


 「そうだね!ゲームセンターとか、あと映画とか見ればいいもんね!」


 〘「 そんなもん(ゲーセンや映画)この島にはない。 」〙


 「へ?」


───────────────────────────


《8月10日 PM13:40 カラオケ》


 「次私〜。」


 (安成ちゃんの歌って聞いたことない!)


 (やっぱりアンナちゃんだから外国の歌なのかな…?)


 「何でもいいから早く入れろよ。てか予め入れとけよ。」


 「うるっさいな〜。はい。」





 "君は薔薇より美しい(布施明)"





 「なんでだよ。」






















☆次回予告☆




 バカンスを楽しむ安成達!しかし、平和であるはずの上五島に、新たなる刺客の影!?




───次回!




第74話




【お前のテリトリー】!




 故郷を守れ!安成!

※USB編でアンナちゃんとルリ姉が黒紫を発動した紫葡ちゃんの近くにいて無事だった理由は、D.B.M細胞が体内に入ってきた毒をやっつけるからです(それでも名古屋でお腹壊したので紫葡の毒は強烈です)!

影狼と雪蘭が飛行機に医療キットを取りに行ったギリギリのタイミングで発動したので2人も無事でした。

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