第6章 施設に現れたのは真知子さんの霊
真知子さんの亡くなった次の晩の午前3時に真知子さんの寝ていたベッドの枕元に真知子さんの霊が立った。「あら!真知子さん、早いお帰りですね。あちらの世界は水に合いませんか?それとも忘れ物でも?」ありさは真知子の霊に向かっていつものように話かけた。まるで生きていた時と変わらずすんなりと会話ができたし、霊の姿を初めて見た。ありさには驚きは無かった。「嫌、あんたに大ニュースを持って来た。私の姿見えるのかい?私といればあんたの周りの霊を見る事か出来るし話も出来るらしい。だから、毎日、ここに出るからね。許しておくれ。あっちの世界は水に合わない!だから、ここに居させてください。あんたの私に対する献身のおかげだよ。特別に許可してもらった。イタコって知ってるかい?あれと同じ資格をあんたは貰ったんだよ。それにあんたの周りにいるこの人達のおかげだよ。この人達はあんたの車のコレクションの初代オーナー達たとわかった。皆、車を今でも大切にしてくれている、あんたに感謝してるんだよ。そういう事だから。」真知子さんの霊がありさに泣いて頼んだ。「好きなだけ居ていいよ。寂しくないしね。」ありさは真知子の霊を見た。「ああそうかい?ありがとう。助かります。」真知子の霊がありさの顔を見た。「うちの家族達、私が死んで誰も泣かなかったね。娘なんか、せいせいした顔してたね。財産の話ばっかりしてさあ?あんたに財産あげるって遺書見たとたん人間がガラッと変わっちゃって、迷惑かけたね。でも弁護士もこの遺書は有効だって言ってたから安心したよ。でも、あんた、辞退したりちゃて私の計画はオジャンよ。まったくもう?あんたにお願いがあるんだけどその金で新しいお墓建ててくれないかしら?じいちゃんと私の二人の墓を頼むよ。お墓はどっかの霊園でいいからさあ?この間、チラシで牛久大仏の所の霊園募集してたから後で一緒に行くか?」真知子の霊は手をパチンと叩いた。真知子の家は美浦村の農家だった。ありさは土浦市だった。お父さんは市役所職員で母親はつくば市の大きな病院で看護師長をしていた。「あんた誰と話したい?いつも、あんたの側にいるこの赤のバラクーダの良い男にするか?」真知子さんはありさの隣に立っていた赤のバラクーダの男に声をかけた。「ねえ!ちょっと、あんた、お名前は?」真知子が男に声をかけた。「おばあちゃん。話す事出来るように、なったのかい?俺は鈴木実享年38歳、病気で死んだ。」鈴木の霊は真知子の顔を見て名前を名乗った。「あんた、この男は鈴木実って言うらしいぞ!病気で死んだって?」真知子の霊はありさの顔を見た。「真知子さん聞こえてますよ。鈴木実さんですか?どの車のオーナーだったんですか?赤だから赤のケンメリGTRですよね?」ありさが真知子を介し話かけた。「そうだ。」男がありさを見て優しく微笑んだ。「あの車は限定車で赤のケンメリは数台しか生産されなかったやつで日産の知り合いのコネで月賦で1973年に20歳の時買ったんだよ。でも、俺、36歳の時、ガンが見つかり余命3カ月で死んだんだ。それまで一緒にいた車で思い出があってなあ?その後、二人目であんたに巡り合えたんだよ。いつも綺麗に磨いてくれてありがとう。近いうち乗りたいなあ?」鈴木実はありさの顔を見てニコリ笑った。「鈴木さん。抹消してあるから公道を走行出来ません。倉庫の敷地内なら大丈夫だけどそれでいい?明日の朝私が交代の時に一緒に行こうか?」ありさは鈴木実の顔を見てニヤリ笑った。「いいんですか?」鈴木実はありさの顔を見てニコニコした。そしたら、霊達が一斉にザワついた。「俺も、俺も」と収集がつかなかった。その時、新入りの女性の霊が声をかけて来た。「私、まだ、来たばかりですけどなるべく早く乗せてもらえないですか?なんか、今、前のオーナーが売る話をしていまして?よろしいですか?」女性がありさの目を見つめた。「そうか?さちよがハコスカGTR売るってか?初耳だな?それじゃあ!わかった。明後日の朝だな?」ありさは女性の顔を見つめた。「ありがとう御座います。」女性が頭を下げた。「オッケー!」ありさは女性の顔を見てニヤリ笑った。ありさは、皆と上手くやっていけそうだった。「ありさちゃん。皆と話せてよかったね。」真知子さんの霊がニヤリ笑った。やっぱり、霊なので薄気味悪かったが真知子さんの霊が居ないと話せないからがまんした。こうして、ありさと真知子の霊とその他大勢の霊の共同生活が始まった。そして、夜が明けた。朝9時に交代の世話人宮本が出勤してきた。「おはようございます」宮本がありさに挨拶をした。「おはようございます。ご苦労さまです。真知子さんの霊が昨夜から居ますよ。」ありさは宮本に耳打ちした。「あなた、真知子さんの霊見えるの?私には見えないわよ。」宮本はありさの顔を見て驚いた。「何故か?見えるようになったんですよ。私に憑いてる沢山の霊も見えるようになりました。真知子さんのおかげです。真知子さんの霊ここに居ますよ。ニコニコして宮本さんの顔を見てますよ。」ありさが自分の左側を指差した。宮本は、身震いをさせて驚いた。「嫌だ!びっくりさせないでよ。あなたどうかしてるわ!」宮本はありさの肩を小突いた。「宮本さん。私、これで失礼します。後、よろしくお願いします。一人、連れて帰ります。」ありさは宮本の顔を見てニヤリ笑った。「連れて帰るって?誰を?」宮本は驚いた表情を見せた。「私に憑いている、鈴木実って男性の霊です。私が趣味で所有している車の初代オーナーなんですよ。是非車に乗りたいと言うので連れて行きます。」ありさは宮本の顔を見てニコニコしながら腰にぶら下げた鍵をガシャガシャ鳴らしながら部屋を出て行った。貴重な車の鍵を10本必ず持っていた。ありさはバックには入れないで腰のベルトにかけて居たためガシャガシャと歩くたびに鳴った。ありさは施設を出ると玄関の目の前に停めてある、BMW2002ターボに鈴木実の霊を乗せると「あんた、渋い車乗っているの知っていたから是非乗りたかったんだよ。このベンベターボ。」鈴木実の霊は助手席に座るとそう言って、いきなり室内を触り出した。「ベンベターボか?昔の人はそう言ったらしいね。面白いです。アハハハ!」ありさはそう言って笑いながらエンジンをかけた。倉庫へ向かって走り出した。




