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どうかしてるわ/obsession  作者: やましたゆずる
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第17章 ありさの入院最後の日のご褒美

入院最後の朝はいつものルーティンで始まった。朝6時に起床してガートルをガラガラ引きながらトイレに行って体重を測り49キロだった。1キロ落ちた。髪の毛のせいかなと思って頭を触ったら髪の毛がほとわど無かった。ありさは顔を見るのが嫌でしばらく鏡は見て無かった。いつものごとくナースカートを押しながらガラガラと看護師が病室へ入って来た。体温と血圧を測り、血糖値を測り高い患者にインシュリンを打ってありさの所へ最後に来た。めずらしい、あまり見ない看護師だった。ありさは体温、血圧を測り正常。体重を聞かれると「49キロ」と言うと「あら!減ってるわね。」看護師は驚いた表情でありさの母を見た。「これのせいだと思います。」とありさは頭を触ったら看護師は「嫌!違いますよ。」と静かに微笑んだ。名札を見たら(実習生木下)とあった。「実習生ですか?隣の看護学校の生徒さん。私もそこの看護学校の出身なのよ。」ありさは木下の顔を見て優しく微笑んだ。「この病院で実習なんて優秀なんだね。かなかななもんだよ。頑張りなさい。美人の校長は元気なの?」ありさは木下の顔を見て優しく微笑んだ。「元気ですよ。午後から見に来ます。明神さんは今どちらの病院で看護師をしているんですか?」木下は笑顔でありさを見た。「私か?看護師はしていない。老人施設で見守りの世話人をしています。後ダブルワークでキャバクラのキャストをしてます。それでこんな病気になっちゃたから復帰は無理かな?」ありさは木下の顔を見て優しく微笑んだ。「そんな事ないですよ。良くなって復帰して下さい。」木下はありさの顔を見て静かに微笑んだ。「今日、中山さんは?」ありさは木下に尋ねた。「中山さん。居ますよ。ナースステーションに。書類整理だとかで代わりに私が来ました。」木下はありさの顔を見た。「7時に朝食お持ちしますから。」木下はその言葉を残し病室からナースカートをガラガラ押して出て行った。8時になると斎藤幸恵さんのお母さんが来て荷造りをしついた。9時に転院先から迎えに来るらしい。8時50分に看護師が迎えに来て斎藤幸恵さんを呼んだ。病室の出口に4人並んでお別れの挨拶をした。ありさは「お見舞いに行くからね。お見舞いは現金にするから。それでは、元気でね。会えて良かった。」と声をかけて握手をして別れた。斎藤は少し涙ぐんで言葉にならなかった。そして斎藤幸恵はお母さんと病室を出て行った。病室には幸恵が寝ていたベッドがポツンと空いていた。9時になると中山さんが木下さんを連れて点滴の交換に来た。中山さんは木下さんに手取り教えて木下さんがありさの点滴を上手く交換して行った。一生懸命メモをとっていた。誰がやっても針を入れる時は痛いのは変わらなかった。10時30分になると中山さんが木下さんを連れて病室に来た。ファイルをテーブルの上に置くと「11時からラジエーションハウスね。受付にそのファイルを出してください。」中山がニコリ微笑んだ。木下は一生懸命にやはりメモをとっていた。10時50分になると病室を出てガートル台をガラガラ引きながら病室を出て行ってエレベーターに乗った。1階で下りてラジエーションハウスの受付にファイルを出した。ベンチでしばらく待つと嶋田先生が迎えに来た。「明神さん。迎えに来ました。お待たせ致しました。放射線照射室へ行きましょう!」嶋田先生がありさの顔を見て優しく微笑んだ。「はい。よろしくお願いします。」ありさは嶋田先生の顔を笑顔で見た。昨日までとは違う雰囲気だった。「明神さん。今日は高橋先生から素敵なプレゼントを預かっております。治療終了後にお渡ししますから。」嶋田先生はありさの顔を振り向いて見た。「なんですか?プレゼントって!」ありさが尋ねると「終わってからの楽しみにしましょう?」嶋田先生はまた、振り向いてありさの顔を見てニコリ笑った。二人は放射線治療室へ入った。「今日は仰向けに寝てください。」嶋田先生が指示した。ありさは仰向けに黙って寝た。10分くらいで終わった。「今日はこれで終わります。明日から電流電場腫瘍治療を新しく始めます。よろしいですか?」嶋田先生はありさの目をじっと見つめた。「はい。分かりました。」ありさが返事をすると「プレゼントですね。こちらです。中身を見てください。」嶋田先生はありさひ大きな箱を渡し姿見を奥の部屋から出して来た。「ウィッグだ!」ありさは箱の中身を見て大きな声をあげた。「私がてけますか?」嶋田先生はありさに尋ねるとありさは「自分でやります。」嶋田先生の顔を見てニコリ笑った。ありさは姿見の前で箱からウィッグを出して自分で付けた。カタログで選んだ。少しブラウンのミディアムボブだった。「よく似合うよ。ありさん。」嶋田先生はありさの顔を見てニコリ微笑んだ。「なかなか良いわね。」ありさも満足そうな笑みを鏡に映した。「良いよ。バッチリだよ。また、明日お会いしましょう。ご苦労さまでした。退院おめでとうございます。」嶋田はありさの髪の毛がある姿を久しぶりに見て良い女だと思ってくれればいいとありさはニヤニヤしながらガートル台をガラガラ引きながら廊下を歩いた。エレベーターで4階に上がるとナースステーションの前を必ず通るのでナースが全員、ありさを見てため息をついていた。さっきまで丸坊主だったからウィッグをついているありさに違和感があったに違いない。病室に入ると皆が「誰かと思ったわ。良い女になっちゃて!ナンバーワンなの分かりました。」ありさの顔を見て福島さんが声をあげた。「やっぱり女には髪は大事よね。」吉沢さんが皆の顔を見て言った。「そう!そう!」と言う声が聞こえた。12時になると中山がコンテナをゴロゴロ引いて昼食を持って来た。病室に入るなりありさの顔を見て「誰かと思ったわ。明神さん。お昼です。今日はカレーです。やっぱり良い女だわ。あなた。」中山がありさの顔を2度見して言った。中山が配膳が終わると病室を出て行く間際も一度ありさの顔を見て出て行った。「いただきます。」合掌してスプーンを持って食べ始めた。「ごちそうさまでした。」合掌してスプーンを置いた。完食した。「ありさちゃん。カレーは美味しかったかい。」福島さんがありさの顔を見て尋ねた。「うん。美味しかったです。皆さんは糖尿病メニューなのでカレーは出ないんですか?」ありさは真顔で聞いた。「そうだな!一回も食べた事がない。美味しかったか?うらやましいよ。」福島は唇を噛んだ。「言えば出してくれるんじゃないですか?母が来たら聞くと良いですよ。つくば記念病院の内科の看護師長だったから!」ありさが言うと福島は大きく頷いて「お母さん、立派な方なんだね。だったからってなんだい?辞めたのかい?」福島がありさの顔を静かに見た。「はい。私が病気になったのを口実に辞めました。大変な仕事だから前々から辞めたいと言ってましたからね。」ありさは福島の顔を見て優しく微笑んだ。噂をすれば少し早めに母が来た。「あら!ありさ、ウィッグ似合うわね。びっくりしたよ。今日退院だから早めに来たよ!あんたの愛車、ベンベターボに乗って来た。車高低いから立体駐車場停められないから天久保ショッピングセンターの駐車場に停めて来た。帰りは歩くわよ。あの車乗ってると皆、ジロジロ見るから恥ずかしいったらありゃしないよ。」母親はありさの顔を見て微笑んだ。それと同時に早川さちよも顔を出した。「ありさが退院だからお昼を遅くしてもらったから。ウィッグ似合うね。ありさ、退院したらツーリング行かない?フェアレディ240zで私とありさと中川さんで日光でも?」さちよがありさの顔を見て微笑んだ。「良いね。私はブラウンの240zにするわ。行こう!」ありさは満面の笑顔でさちよを見た。「決まり、次の日曜日なんか?」さちよが尋ねると「その日は駄目なんだよ。デートで?」ありさがニヤニヤしながら言った。「ありさは彼氏いないじゃなかった?」さちよはびっくりした表情でありさを見た。「昨日告白したらオッケーしてもらえた。誰かは言えない。ごめん。」ありさはさちよの顔を見てニヤリ微笑んだ。「ありさ、私に隠し事する気なの?水くさい。誰にも言わないから教えてよ。この病院の人か?ありさの行く所で良い男が居る所か?ラジエーションハウスだな?嶋田先生か?津川さんか?本宮さんか?」さちよは感が良かった。「ありさ、放射線治療か?嶋田先生だな?図星でしょう?」さちよはニヤニヤしながらありさの顔を良く観察した。「嶋田先生ならこの病院で看護師達や女性職員に人気ナンバーワンの男だよ。それを入院患者にかっさわれるなんて冗談じゃないわ!」さちよは目をつり上げてありさを睨んだ。「さちよさん。相変わらず感が良いですわね?当たりだよ。私が仕留めたよ。絶対に内緒だよ。駄目になっちゃうからさあ?」ありさはさちよが顔を見て微笑んだ。「私、絶対に言わないから安心しな!」さちよがありさの目をじっと見つめた。その時、中山看護師が来た。「明神さん。退院は点滴が終わるまで待ってくださいね。」中山看護師がありさと母親の顔を見た。「オッケー!」ありさは中山に返事をした。「中山さん。今までお世話になりました。このフルーツバスケットの果物、皆さんで食べてください。ここの患者さん、食べられないので、もらいものですが是非受け取ってください。受け取れないのをわかって言ってますが、看護師長には私から言っておきます。看護師長はナースステーションにいますか?ご挨拶したいので。」母親は中山の目をじっと見つめた。中山が母親をナースステーションに入れて充希を看護師長に紹介した。「井川看護師長、明神さんのお母様がこれを皆さんで食べてくださいと言われましたのでいただきました。看護師長にご挨拶をしたいとの事でよろしいでしょうか?」中山は看護師長の目を見た。「どうぞ、おとうしして!」看護師長は中山の目を見た。「明神さん、中へどうぞ。こちらが井川看護師長です。こちらが明神ありささんのお母さんの明神充希さんです。」中山が二人を引き合わせた。「明神ありさの母です。この度は娘のありさがお世話になりました。本日で無事退院いたします。今までありがとう御座いました。こちらもらいものですが是非皆様でお召し上がりくださいませ。受け取れない事情は充分わかっております。遠慮なく受け取ってください。」母親は井川看護師長の目を見つめた。フルーツバスケットを井川看護師長に渡そうとした。「明神さん。規則では受け取れない事になっております。お気持ちだけ頂戴致します。」井川看護師長は充希の目を見つめてフルーツバスケットを受け取らなかった。「井川看護師長、元つくば記念病院の内科病棟看護師長の明神充希さんが是非と言っているのだから気持ち良く頂戴したらいかがでしょうか?」声をかけてくれたのはドクターデスクに座っていた。後藤脳外科部長だった、「受け取っていただきありがとう御座います。どうぞ、皆様で食べてください。」母親は後藤先生の目を見つめてフルーツバスケットを手渡した。「明神さん、ありがとう御座います。皆でいただきます。娘さんの」ありささんのグリオーマの診察を後日させていただきます。後藤博之と申します。脳外科の部長をしております。ありささんの膠芽腫を根治させていただきたいと思っております。当院でも膠芽腫の完治患者は過去に3名おります。これからは通院になりますがお元気でお過ごしください。ありがとう御座いました。」後藤先生は充希の目を見つめた。「まだ、点滴が終わるまで居させてください。ありがとう御座いました。これからもよろしくお願いします。」充希は後藤先生の目を見つめて頭を下げた。充希は病室へ戻った。ありさは山田さん、福島さん、吉沢さんとゲラゲラと笑っていた。この病院に時々、幽霊が出ると言うのだった。奥のトイレに女の幽霊が出る。髪の長い綺麗な女だけど一つも怖くないそうだ?それを聞いた三人がそんな幽霊はいないと笑っていたらしい。それを聞いた充希は「それ、あながち嘘じゃないわよ。私がいた病院でも見た事あるもの!廊下を歩いていたよ。私、見えるタイプの人間だから嘘じゃないわよ。おばあさんの霊。わあ!」充希はそう話て最後に驚かせようと大声を出した。「あら!さちよさんは帰ったの?」充希がありさに尋ねた。「仕事だから帰ったよ。お母さんによろしくお願いします。とか言ってったよ。さちよ。この病院辞めたがっているから、つくば記念病院に紹介してほしいらしいよ。彼女も内科担当だから。」ありさは母親の顔を見て優しく微笑んだ。「慣れた病院の方が良いよ。あまり変わらないから考え直した方が良いと思うわ。」充希がありさの顔を見てニヤリ微笑んだ。ありさがナースコールを押した。「点滴終わりました。」とマイクで言うと中山さんがスッとんできた。「はい。ありがとう御座います。本日は退院おめでとうございます。」中山はありさの顔を笑顔で見て頭を下げた。「中山さん。お世話になりました。」ありさも中山の顔を笑顔で見た。ありさは赤のジャージに着替えて、山田さん、吉沢さん、福島さんとお別れを言って握手をして「お見舞い来るから。」と言葉を残し病室を後にした。エレベーターで1階に下り、次の予約を取り、会計をして正面玄関から出て行った。駐車場まで歩いて行くと懐かしいベンベターボがあった。あかりは運転席に乗り込んだ。母親はキャリーバックをトラックに入れ助手席に乗り込だ。ありさの10日間の入院生活は終わった。



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