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その召喚聖女はちょっとヤバめです。  作者: ハラ カナウ
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神様の言う事には(閑話)

 こちらの世界に呼ぶ子を選ぶ時、ボクは二つだけ条件を決めている。


 一つ目、愚かである事。

 二つ目、可哀想な子である事。


 このどちらかに当て嵌まれば、他にこれと言った条件はない。

 あとはボクの目に留まるかどうか。

 いくら、神とはいえ認識出来ないモノはどうにも出来ない。興味もない。

 まぁ、ヒトよりは目がいいからね。見えるモノは広いし多いよ。


 そんなこんなで、ボクが造った世界は瘴気が溜まりやすい。

 世界を創造した時に、思いつきで“ひと手間”を加えたら、うっかり出来ちゃった欠陥なんだけどね。

 何百年か周期で、ボクが作ったこの“神珠”で吸い取らないといけない。

 面倒だけど、瘴気が出ないようにこの“ひと手間”を取り除くと、もっと面倒な事になるから仕方がない。


 さてさて、この神珠なんだけど、直接ボクが渡すとそれを巡って、世界うちのこ達、奪い合って戦争とか始めちゃうんだよね。

 だから、別の世界のヒトに来てもらって、ボクの代わりに渡してもらうようにしている。

 因みにその別の世界を造った神は、育成に飽きちゃったみたいで、どっか行っちゃった。

 一応、許可はもらってるし、呼ぶ子は厳選している。

 そう、最初の条件の子。

 神様ボクだって、幸せな子を引き離して恨まれるより、感謝されたいし。

 愚かな子は、テキトーに煽てて持ち上げて何かしらの能力をあげれば、ホイホイ言う事を聞いてくれる。

 可哀想な子は、同情してこっちの世界に来れば、幸せになれるよ〜とか、選ばれた特別な存在なんだよ〜とか言っとけば、泣きながら喜んでくれる。


 ぶっちゃけ、神珠を持たせて、ボクの世界に送ったら後はどうでもいい。知らな〜い。

 何なら、ボクの世界の子達が届いた神珠を正しく使わず、滅んだって構わない。

 創造主として、ちゃんと生き残るチャンスは与えてるし、滅んだら滅んだで新しく造り直せばいいだけ。


 そして今回も、造った神珠を届けてくれる子を探してた時、見つけてしまった。

 血だらけな女の子。

 お友達が殺されたみたい。自分も殺されそうになっている。


 可哀想な感じの子だ。

 いい感じに、絶望している。

 絶望だけじゃない、怒りも感じる。憎しみも、深い殺意も。

 なんて“カラフル”な子なんだろう。


 面白〜い!

 今回はこの子にしよう。


 ボクはその子がトドメを刺される寸前で、“引き上げた”。


 それから少し大変だった。

 引き上げた子は、本当にボロボロであっちこっち欠損してるし、生きてるのが不思議なくらい。

 ボクは優しいからね、怪我や欠損部分を再生させたり修復したりして、身体を完全回復させてあげた。

 ついでに、着ていた衣服も身につけていた物も再現してあげた。


 その子が目覚めた時、ボクはビックリした。

 いきなり、飛びかかってくるんだもん。

 まぁ、ボクには実態が無いからね。分かりやすいように、それらしい幻影は出しているけど。

 女の子はボクを貫通して転がっていった。元気だなぁ〜。


 ボクは女の子を落ち着かせ、状況を説明してあげた。

 その子は、自分がこれから異世界に行くことより、“サクラコさん”って子の事を気にしていた。

 サクラコさんって、この子の目の前で死んでた子かな?

 流石の神様ボクでも、死者を甦らせる事は出来ない。

 あんまりにもしょんぼりするモノだから、ついサービスしてあげたくなった。


 君がちゃんと、この“神珠”をボクの造った世界に届けてくれるなら、そのサクラコさんの生まれ変わりを幸せなモノに調整してあげるよ。


 そう言った瞬間、女の子はボクに向かって、頭を地面に擦り付けて懇願してきた。


『何でもします!桜子さんがどんな形でも救われるのなら……どうかどうか、桜子さんが望むような……新しい幸せな人生を差し上げてください!その為になら、私は何でもいたします。』


 目の前でこんなに請われて願われて、流石のボクも無碍に出来るわけがない。

 まぁ、ボクにかかれば、人一人の転生先なんてどうにでも出来るし。

 神様だから、贔屓したっていいのいいの。


 でも、渡した神珠を丸飲みされた時は、ビックリしたなぁ。

 思わず、“おかわり”させしちゃった(笑)


 地上で、召喚の儀式をしている子達が、この子を呼んでいる。

 女の子の体が光に包まれる。ボクが教えた召喚の儀式だ、上手上手〜。

 おっと、忘れるところだった。

 ボクは女の子に、特別な力をあげるけど、どんなのがいい?と聞いてあげた。

 呼ぶ子には全員、言語に困らない能力と、ちょっと特別なスキル、それを使う為の膨大な神力か魔力をあげるようにしてる。

 よく言う“チート”ってやつね。

 でも彼女は……。


『何もいりません。』


 キッパリと断ってきた。


『私は自分の持っている力だけで、充分生きていけます。その分をどうぞ、桜子さんに使ってください。』


 強がりでも何でもない。微塵も自分に欲しいとは思っていない。

 まっすぐな黒い目だった。


 そうして女の子は何も持たず、お腹の中に神珠を抱えて、光の中に吸い込まれていった。


 あんなヒトもいるんだ……。ビックリした。

 だって、全く知らない世界に行くんだよ?

 そこが安全な所とは限らないし、たとえ腕に覚えがあったって、備えあれば憂いなしでしょ?


 変な子……。

 面白い子……。


 そんな子だから、ついつい構いたくなる。見守りたくなる。

 こっそり、会話だけ出来るようにしてあげたり。

 ギルドカードをチョチョイっと作ってあげたり。

(魔力に反応して発行するから、魔力無しのこの子じゃ、絶対作れないでしょ?)

 まぁ、すぐ捨てられちゃったけどね〜。


 それでもいいんだ。

 もっとこの子に、何かしてあげたい。

 折を見て、何かご褒美とかあげたら喜んでくれるかな〜?

 どんな顔で喜んでくれるだろ〜?


 そんな事を思いながら、ボクは今日もあの子を見ている。



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