第七話 駆けつけた母
第七話 駆けつけた母
「朝浦さん、少し、コンビニに寄ってもよろしいですか?」
「……うん、いいよ」
長原はそう言ってコンビニに寄る。
「車内でゆっくりしてくださって構いません。……何か、買ってきましょうか?」
「……大丈夫」
「かしこまりました。では、すぐに戻ってきます」
長原はそう言って、車を出た。
長原は駐車場の隅でスマホを取り出す。打ち込むのは、朝浦の実家の電話番号だ。数コール後、朝浦母が電話に出る。
「お世話になっております。長原です」
『お世話になっております。みなとのことで、何かありましたか?』
「認識合わせですが、伊藤ひなさんのことは何か聞いていらっしゃいますでしょうか?」
『ひなちー、もう五日も帰ってきてない、んですよね?』
「はい。単刀直入に申し上げます。伊藤ひなさんの失踪により、湊さんのメンタルも崩れかけています。……活動を休止したい、と」
『……やっぱり』
電話口の朝浦母は、ふっと微笑む。
『みなとを連れて帰りましょうか?』
「いえ、できれば、東京に出てきていただけると助かります」
『東京に?』
「はい。……伊藤さんたちのお近くにいれば、ひなさんの情報をいち早く知れます。それと……状況は徐々に悪化しています。……このままでは、伊藤さんたちも……」
長原は一度言葉を切る。すぐに明るい声が返ってきた。
『なるほど。あなた〜、仕事休める?』
「……よろしいのですか?」
『困った時はお互いさま。伊藤さんには、いっぱい助けてもらったので。……休めそう? ある程度は? なら、わたしがメインで東京行って、あなたは休みの時に来てね』
「ありがとうございます。ホテルの手配は任せてください」
『あら、いいの? 助かるわぁ。……その、なるべくお安く……』
「もちろんです」
『伊藤さんにはこっちから話しておくわね』
「ありがとうございます」
『今夜から取ってくれますか?』
「分かりました。詳細はすぐにメールで送ります。失礼いたします」
『は〜い』
電話を切り、すぐにいつも利用しているホテル予約サイトを開く。立地と値段を加味し、三つほどホテルをピックアップして朝浦母へと送る。
すぐに『伊藤さんに伝えたわ。ありがとうって。ホテルは1で!』という返事が返ってきた。
それを見た長原は、一週間ほどの予約を確保する。
『とりあえず、一週間で部屋を押さえました。詳細はこちらです』
『ありがとうございます。すぐに向かいますね』
読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。




