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7話

7



「あ、あの! 朝比奈さん!」



 放課後。

 楓が帰宅しようとしていると、昇降口で知らない男子生徒に後ろから声をかけられた。



「ち、ちょっと…よろしいでしょうか!?」



 どうやら彼は楓のことを待っていたようで、凄く緊張した様子だった。



「なんでしょうか?」



「え、えーと…場所を移しても」



 そんなガチガチの様子を見て、楓はこれから告白されるんだろうなと悟った。



「すいません、急いでいるので」



「そ、そうですよね! すいません…」



「いえ」



「朝比奈楓さん! お、お…俺と付き合ってください!」



 そして案の定、男子生徒は彼女に好意を伝えてきた。その表情は緊張から強張っていたが、ほんの少し期待するような目をしている。



「ごめんなさい」

 


「で、ですよねー。時間を取らしてすいませんでしたー!」



 楓がお断りの言葉を伝えると、彼はガックリと肩を落として去っていく。

 


 そんな姿を見て、彼女はいくらなんでも勢いで告白しすぎじゃないかと思った。そもそもが楓と彼は初対面なわけで、男子生徒は凄いイケメンというわけでもなかった。



 どう考えても成功する確率が低い。もし自分なら絶対に挑まない。それなのに無謀にも挑戦してきた心意気は凄いなと楓は思った。







・・・







 放課後の告白イベントを済ました彼女が帰宅していると、雨がざーざーと勢いよく降ってきた。



(今日は雨だったのか)



 当然の如く彼女は傘などという物は持っておらず、内心でしまったと思った。



 今までは雨かどうかは親が教えてくれていたため、彼女自身は天気予報など確認したことがなかったのだ。




「朝比奈さん」



 楓がこれからは天気予報を見ないとなと反省していると、後ろから自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。




「小さいけどこれ使って」



 振り返るとそこには明照がおり、彼は折りたたみ傘を楓に手渡す。



「ちょっと待って! 堂林くんは?」



「俺は走って帰るから大丈夫! 大した雨でもないし!」



「いや! 雨足強くなってきてるよ!」



「本当に大丈夫だから。それに好きな女の子が雨に濡れてるのを見たらほっとけないし!」



 そう言って明照は宣言どおりに走り去っていった。



「なにそれ…」



(おかしい……なんでこんなに心臓がバクバク言ってるの? それになんか顔が熱い……いやいや! 全部雨で濡れたせいだから!)



「そうに決まってる」



(それに私は男に何か言われたって何も思わないはずだし……だって放課後に告白された時は何も思わなかったし!)



(ちょっと優しくされたぐらいで堕ちるほど私はチョロく無いんだから!)


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