6話
6
いきなりの告白。予想外のことに戸惑った楓だったが、すぐに断りの台詞を告げる。
「ごめんなさい」
「付き合ってる人とかいるの?」
「いないですけど」
「じゃあ俺、これからもアピール続けるから」
そう言って明照はこの場を去っていった。
(びっくりした……)
「って、早く行かないと私も遅刻する!」
・・・
「重役出勤お疲れ様」
隣りの席に座る美咲から声をかけられる。
「うー、最悪」
結局のところ楓は学校に遅刻した。しかも彼女は1番前の席なので、他のクラスメイトの目に高確率で映るため目立ってしまうのだ。
(それもこれもアイツのせいだ!)
自分が寝坊したことを棚に上げて彼女は怒りを覚える。
「なんで遅刻したの?」
「寝坊した」
「寝坊か」
「今まで親に甘えていたことを痛感させられたわ」
「あー、一人暮らしなんだっけ?」
「そう」
「そういえば王子も遅刻してきたらしいよ」
「王子?」
美咲が王子と言ったのを聞いて、楓には誰のことか分からなかった。
「ほら、昨日クラスの女子が騒いでた堂林くん」
「あ、あー…」
つい先ほどの告白を思い出して楓の表情が引き攣る。
「お、噂をすればなんとやらってやつだね」
そう言った美咲の指さす方を見れば、先程ぶりの堂林の姿が彼女の瞳に映る。
そしてそれはお互い様だったようで、楓と目があった明照は笑顔を浮かべて手を振った。
「きゃー!」
「きっとあれは私に振ってくれたのよ!」
「そんなわけないでしょ! あれは私に振ったのよ!」
それを見た周りの女子生徒たちが騒ぎ出すのを見ながら、楓は内心で冷や汗をかいていた。
これだけ女子から人気のある男が手を振っていたのが自分だとバレるわけにはいかないと。
(ましてや告白されたなんてバレたら絶対にめんどくさいことになる)
「す、凄い人気だね…」
「……」
「どうしたの?」
なぜだか反応がない美咲に楓は首を傾げる。
「今、堂林くんが手を振ってたのって…楓にじゃ無かった?」
「そ、そんなことないでしょ」
「なんか楓を見てた気がするんだけどな」
「気のせいだよ。もしかしたら美咲のこと見てたのかもよ」
「いや、それはないわ。私と目が合わなかったもの」
「そっか」
そのあとは会話の中身も代わり、楓はなんとかその場を乗り切ることが出来た。




