5話
テレレレン!
翌日。
寝坊した前日の反省を踏まえ、彼女は就寝前に携帯のアラームをセットすることにした。
そして、スマートフォンのアラームによって楓の意識が浮上してくる。
「うー…まだ寝たい」
しかし、彼女の脳が起きることを拒んでいた。
「お、おやすみ…なさい…」
そして楓は再び眠りについた。学校に遅刻するかもしれないことよりも、自身の睡眠欲を取ったのである。
「ふぁー。あ…」
二度寝したことにより心地よい起床をした楓だったが、すぐに現実と向き合うことになった。
「遅刻する!」
彼女は今日もまた大急ぎで学校に行くための準備を始めるのだった。
慌てて制服に着替えながら楓は思う。今まで起こしてくれる母親がいたのは恵まれたことだったんだなと。
そして時間のない楓は身支度を終えたら、朝食を食べてすぐに家を出た。
今日からは授業が始まるので昼食を用意しないといけない。本当はコンビニで買って行くつもりだったのだが、寝坊した彼女にそんな時間は無かった。
「あ、朝比奈さんじゃん。おはよう」
楓が家を出るのと同じタイミングで隣の家のドアが開き、中からは堂林明照が姿を表す。
「おはようございます」
「寝坊でもした?」
時間も無いのに、何でイケすかないイケメンと話さなければいけないのかと楓は思った。
「そうですね、貴方もそうですか?」
「そうだね。恥ずかしい話し、今までは親に起こしてもらってたから」
「分かる! 私も同じ! やっぱり1人だと起きれないよね!」
「……」
(可愛い…)
今まで興味なさげに話していた楓が急にテンションを上げたので、明照はそのギャップに動揺した。
「で、では! 急いでいるので私はこれで!」
(しまった! 何をやっているんだ私は!)
逆に我に返った楓は恥ずかしさからその場を去ろうとする。
2日連続で寝坊してしまった彼女としては、共感の出来る話題につい盛り上がってしまったのだ。
「ま、待って朝比奈さん!」
しかし楓が逃げようとするのを遮る人物がいた。
「な、なんでしょうか!」
もちろんその人物は堂林明照である。
「俺もその話し分かるよ」
「そ、そうですか…」
「あと、俺たち同級生なんだから敬語じゃなくていいよ」
「わ、分かりました」
「あと、」
(まだあんのかい!)
恥ずかしさから一刻も早くこの場を去りたかった楓は大人しく返事をしていたが、明照の話しが終わらないことにイライラしてきた。
「なんですか!?」
そして、ついに恥ずかしさよりも怒りが上回り楓の語気が強くなる。
「俺、君のことを好きになっちゃった」
「……」
(なに言ってんのコイツ……)
楓は急な告白にドン引きしたのだった。




