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2話



「ふぁー」



 朝比奈楓。

 入学式の最中、学園長のありがたいお話しを聞きながら睡魔に襲われている彼女はtsっ娘である。



 中学生3年の春休み。目覚ましのアラームに起こされて、眠りから目覚めると彼は彼女になっていた。



 最初は体に違和感を覚えた。慣れ親しんだ相棒が下半身からなくなり、代わりに2つのメロンが上半身にある。



 スマホのカメラを内側にしてみれば、映るのは自分と同じパジャマを着た見たことない美少女。 

 


 その姿を見た瞬間、楓は自分に起きた不思議な現象を忘れて魅入っていた。そして、こんな彼女がいたら幸せなんだろうなーと漠然と思った。



 しかし、それも一瞬のことで、楓は自分の性別が変わるという超常現象が起きたことに慌て始める。



 男から女になったなんて与太話を誰が信じてくれるのか。家族は鏡に映る変わってしまった自分に気づいてくれるのか。


 

 戸籍や身分証はどうなるのか? 

 はたまた特殊な体を調べるためにマッドサイエンティストに誘拐されるのではないか?



 楓の脳内に様々な不安が渦巻いていく。これから自分はどうなってしまうのだろうかと。



 ところが、楓が不安を感じているのに対し、誰も彼女の身に起こったことを言及する者はいなかった。



 楓の家族はいつも通りの様子で彼女に接しており、彼が彼女になっていることに違和感や驚きを覚えいる様子がなかった。




 なぜなら朝比奈楓が男だったという記憶が存在しないからだ。楓以外にとって、彼が彼女であるのは当たり前。



 むしろこの世界でおかしいのは楓の方だったのだ。

 


 そのことに気がついた楓は自身の持ち物に目を通す。



 手始めにタンスの中を覗けばそこには女性用の下着が入っており、よく見てみればハンガーにかけてあった制服もズボンからスカートに変わっている。



 そのあとも彼女は卒業アルバムや学生証などを確認したが、それら全てにおいて楓の写真は性別が変わっていた。



 つまり自分が男だった頃の記憶が周囲から無くなっているということだ。


 

 そして彼女は思った。



 あれ? むしろ美少女に生まれ変わってラッキーじゃねと。

 


 

 

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