第30話 「世界の裏側を知る者たち——観測者を管理する“組織”の正体がヤバすぎる」
「こちらです」
黒い服の男に案内され、俺たちは街の奥へと進む。
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石造りの建物。
重厚な扉。
そして——
明らかに“普通じゃない”空気。
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「……ここね」
リリアが小さく呟く。
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男が扉の前で立ち止まる。
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「お入りください」
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「……行くぞ」
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扉を開ける。
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中は広い空間だった。
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中央には、大きな机。
そして——
そこに座っている、一人の人物。
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「待っていた」
落ち着いた声が響く。
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「……あんたが“上”か」
俺はまっすぐ見据える。
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「いかにも」
男はゆっくりと立ち上がる。
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「この街——いや、この組織を統括する者だ」
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「……名前は?」
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「呼び名は好きにしろ」
軽く笑う。
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「だが、そうだな——」
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「“管理者”とでも呼べばいい」
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リリアが眉をひそめる。
「また分かりにくいの来たわね……」
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「で?」
俺は腕を組む。
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「観測者のこと、知ってるんだろ」
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「当然だ」
管理者は迷いなく答える。
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「彼らは——」
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「“世界のバランスを保つ存在”だからな」
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「……バランス?」
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「そう」
ゆっくりと歩き出す。
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「お前たちが戦ってきた“黒い存在”」
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「あれは、世界を侵食する側」
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「……」
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「そして、観測者は——」
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「それを監視し、調整する側だ」
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「……調整、ね」
俺は目を細める。
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「でも、あいつ言ってたぞ」
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「俺たちを“スカウト”するって」
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「その通りだ」
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管理者が頷く。
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「観測者は常に人材を探している」
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「バランスを維持するための“駒”としてな」
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「……駒、か」
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「気に入らないか?」
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「当然だ」
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「はは、正直でいい」
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管理者が軽く笑う。
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「だが、それが現実だ」
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「世界は——」
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「誰かに管理されている」
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沈黙。
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リリアが小さく呟く。
「……スケール、でかすぎでしょ」
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「まだ序の口だ」
管理者が言う。
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「本当の“上”は、さらにその先にいる」
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「……まだいるのかよ」
思わず呟く。
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「いる」
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「観測者を束ねる存在」
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「そして——」
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「この世界そのものに干渉する者たちがな」
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「……は?」
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理解が追いつかない。
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「だからこそ」
管理者がこちらを見る。
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「お前たちは、重要だ」
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「……俺たちが?」
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「そうだ」
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「観測者にスカウトされるほどの力」
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「幹部を倒した実績」
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「そして——」
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「まだ“完全ではない”伸びしろ」
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「……」
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「選べ」
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管理者の声が低くなる。
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「このまま進むか」
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「それとも——」
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「我々の下で、真実を知るか」
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空気が張り詰める。
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リリアが小さく言う。
「……どうするの?」
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フェンがこちらを見る。
「ワン……」
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俺は、少しだけ考える。
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そして——
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「どっちもだ」
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「……?」
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「従う気はねえ」
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「でも——」
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一歩踏み出す。
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「利用できるもんは、全部使う」
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管理者が、静かに笑った。
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「いい答えだ」
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「気に入った」
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「ならば——」
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「お前たちに、情報を与えよう」
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新たな扉が、開かれる。
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世界の裏側。
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そのさらに奥へ——




